File.27　日本プロ麻雀連盟所属　井上絵美子プロ

──井上プロは２００８年のリーマン・ショックが女流プロになるきっかけだったそうですね。
「そうなんです。短大卒業後に就職した金融系の会社から、１年３ヶ月でリストラされました（笑）入社当初は秘書課に配属されてたんですけど、途中から人事のお手伝いもしていたんです。業務上、リストラされる社員の名簿を見ていたので、いつ自分の名前が載るのかな…と思っていたら、口頭で上司から言い渡されました。でも、『とりあえず就職しなくちゃ』という感じで入った会社だったし、好きな仕事ではなかったから正直、うれしかったですね」

──そして次に見つけた仕事が雀荘のウエイトレスだったと。
「バイトでもいいから仕事を探そうと求人広告を読んでいた時、目に留まったんです。うちの家族は当時の私も含めて誰も麻雀をしないんですけど、髪型と服装、ネイルが自由な点に引かれたんです。就職してた会社では身なりが厳しかったから、その反動もあったと思います」

──ですが勝負の世界への転職、ご両親は反対したのでは？
「麻雀のことを全く知らないので、プロになると伝えた時は、『怖い人が絡んでる仕事じゃないの？大丈夫？』とは心配されました（笑）父には『プロで稼げないなら普通の仕事に戻った方がいいんじゃないか』とも言われてましたし。でも、ニコ生を観てくれて私の活動を知った１年前ぐらいからはやっと応援してくれるようになりました」

──ツイッターで弟さんが井上プロを応援している姿を見ても、現在はご家族全員が理解を示していることが伝わってきます。ではもし、リストラされていなかったら？
「いい未来を想像するなら、普通のサラリーマンと結婚して今頃は子供を産んでいたかもしれません。悪い未来だと、あの会社に勤め続けてお局化していたかも。でもやっぱり私はいつか、この道を選んでいた気がします。麻雀との出会いは私にとって運命だと思ってますから」

──それほど麻雀は楽しい？
「二度と同じことが起こらないから、一度手を出すと中毒になりますよ。プロになって５年目ですけど、毎日麻雀をしている自分をすごいと思いますもん。今まで何かにハマったりするタイプじゃなかったんですけどね」

──となると恋にもハマらないタイプなのでしょうか。
「それが…私かなり一途で尽くす方なんです。髪型や私服も相手の好みに合わせるし、ご飯を作って帰りを待っていたい。だから、彼ができたら周りにはすぐバレちゃうと思います」

──今でも、女流プロの仕事一筋ですよね？
「もちろん！　でも、人生の目標は結婚です。ある先輩から『30歳までに結婚してない人は、プライベートで幸せになれてる人が少ない』と聞かされて、あと１年しかないから焦ってます。もうこうなったらスピード婚するしか…(笑)」

──あはは！　でも、プロとしての目標も当然お持ちかと。
「所属団体を超えて女流プロの中で強いと言われるようになりたい、という目標はあります。ずっと続けて、おばあちゃん雀士として有名になるという夢も視野に入れていきたいですね」