期待の大型新人女優、佐藤菜月さんの映画2作目にして初主演作となる『ハルをさがして』が8月6日より公開。撮影当時は高校1年生だったそうだが、観客を泣かせる演技力は末恐ろしいほどの実力を発揮している。震災がテーマだがコミカルなシーンも多く性別年齢問わず心に何かが刺さる映画なので、夏休みの思い出作りにぜひ劇場へ!
福島へボランティアに行った経験で役に少し寄り添えました
──撮影中にスタッフから伺いましたが佐藤さんはかなり人見知りする性格だそうですね。「そうなんです。初対面の方と打ち解けるのが苦手で、だから今日、生まれて初めてインタビューを受けるのでドキドキしています…。小学校の頃から仲良しの友だちが3~4人いるんですけど、通っていた小学校が3クラスしかなかったんです。だから必ず友だちと同じクラスになる安心感があって、どうにかやってきた、という感じなんです…」
──そんな内気な性格なのに、なぜ女優になろうと思ったのですか?
「小学校5年生の時、2つ上の姉と地元で開催された映画祭のオーディションを受けたんです。賞を頂いて姉と一緒に映画のCМに出ることになったんですけど、私とは正反対で社交的な性格をしている姉がイキイキとお芝居をしているのに、私は思い通りにできなくて悔しかったんです。私、いつも姉のやることに『私もやりたい!』とついていっていたんですね。書道とそろばん、ピアノも姉の影響です。だからお芝居に関しても姉に追いつきたかったんでしょうね」
──なるほど。そして本作で初主演を務めたわけですが、主な舞台である福島はいかがでしたか。
「実は震災から半年後に、この映画とは関係なく福島へボランティアに行ったことがあったんです。当時の壮絶な光景が今も目に焼きついていて、被災された方には及ばないんですけど、福島から東京へ避難したチエコという役には少しだけ、寄り添えたような気がします」
──ペットシェルターは、実際に現地にある施設を借りて撮影したそうですね。
「だから映像に映っているペットたちがものすごく悲しい目をしているんですけど、それを見た瞬間私、泣きそうになりました」
──今も目が赤くなってますよ。
「私も、母が高校生の頃から飼っていたミックス犬と小学校4年生まで一緒に暮らしていたんです。20年生きたんですけど、犬には馴染みがある生活をしてきたから余計、辛かったです」
中学生目線で震災を描く作品
男子3人組の場面は笑えます
──では、映画に登場するハルとも上手く触れ合えたのでは?「それが…実際に福島のご家庭で飼われている犬をお借りしたんですけど、一番なついたのがプロデューサーさんだったんです。役では一番、私になつくはずなのに、横取りされた感じでした(笑)それとハルは、映画ではチエコが預けていた親戚の家から逃げ出すんですけど、この撮影中も本当に逃げちゃったんです。その時プロデューサーさんは『これで終わった…』と本気で思ったらしいです。結局、数時間後に見つかりましたけど」
──そんな裏話が(笑)ほかにハプニングはありました?
「生まれて初めてブヨに刺されました。学校の理科の先生に聞いたら、治るまで8年かかると言われたんです。撮影当時が高校1年生だから、完治するのが23歳って…(笑)この刺された傷痕を見るたびに、撮影のことを思い出すんでしょうね」
──しかも初主演作ですし。改めて本作のPRを。
「中学生の目線から震災を描いた映画って少ないと思うんです。チエコは本当は福島に残りたかったのに、中学生では自分でお金を稼いで一人暮らしすることができなかったから、泣く泣く親について東京へ行くしかなかった。そういう子どもが多いんだってこと、なかなか気づけない部分なので、どの世代の方にも観て頂きたいです」
──チエコと一緒に旅をする男子3人組もいい味出してますよね。
「チエコに淡い恋心を抱くノボル君は、犬の名前を聞かれているのに自分の名前を答えてしまうお茶目さがあるし、マサル君は極度にママを怖がる。サバイバルゲーム好きなヒロキ君が写真を撃つシーン、見学していたんですけど本当に笑えました。テーマ自体はシリアスですけど、あの3人が和らげてくれてクスッと笑える雰囲気にしてくれているので、ぜひ観て下さい」
INFORMATION
■映画『ハルをさがして』
INFO&STORY
東京から福島へ。失ったものを取り戻す、ひと夏の冒険一。都内の学校に通う中学3年生のノボル(小柴大河)。彼が思いを寄せるチエコ(佐藤菜月)は、東日本大震災後に両親と福島から東京へと自主避難してきた。チエコの気を引くため、中学生活最後の夏休みに福島へ行くと口を滑らしたノボルは、チエコから「福島に残してきた愛犬ハルを一緒に探してほしい」と頼まれてしまう。同じクラスの冴えない2人の仲間も巻き込み、4人は福島へと向かう…。震災後の福島を舞台に、4人の中学生たちのひと夏の経験と成長を描いた。
CAST&STAFF
出演/小柴大河・佐藤菜月・小泉凱・橋本一輝/洞口依子・小沢仁志
脚本・監督/尾関玄 主題歌「呼んでくれ」甲本ヒロト 配給/ISHIO
公式HP
8月6日(土)より、下北沢トリウッドにてロードショー
(C)2015 ISHIO
PROFILE
佐藤菜月(さとう・なつき)
1999年2月17日生まれ 静岡県出身
13年、「第26回東京国際映画祭」スプラッシュ部門出品作品「楽隊のうさぎ」(鈴木卓爾監督)にて映画初出演ながら、その存在感が認められ本作でヒロイン役に抜擢された注目の若手女優。
公式HP
■映画『ハルをさがして』
INFO&STORY
東京から福島へ。失ったものを取り戻す、ひと夏の冒険一。都内の学校に通う中学3年生のノボル(小柴大河)。彼が思いを寄せるチエコ(佐藤菜月)は、東日本大震災後に両親と福島から東京へと自主避難してきた。チエコの気を引くため、中学生活最後の夏休みに福島へ行くと口を滑らしたノボルは、チエコから「福島に残してきた愛犬ハルを一緒に探してほしい」と頼まれてしまう。同じクラスの冴えない2人の仲間も巻き込み、4人は福島へと向かう…。震災後の福島を舞台に、4人の中学生たちのひと夏の経験と成長を描いた。
CAST&STAFF
出演/小柴大河・佐藤菜月・小泉凱・橋本一輝/洞口依子・小沢仁志
脚本・監督/尾関玄 主題歌「呼んでくれ」甲本ヒロト 配給/ISHIO
公式HP
8月6日(土)より、下北沢トリウッドにてロードショー
(C)2015 ISHIO
PROFILE
佐藤菜月(さとう・なつき)
1999年2月17日生まれ 静岡県出身
13年、「第26回東京国際映画祭」スプラッシュ部門出品作品「楽隊のうさぎ」(鈴木卓爾監督)にて映画初出演ながら、その存在感が認められ本作でヒロイン役に抜擢された注目の若手女優。
公式HP
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら