“遺影”を撮る目的で裸で撮影し、ヌードモデルとしてデビュー後、女性から絶大な支持を得ている兎丸愛美さん&歌手のBOMIさんの主演映画『シスターフッド』が絶賛公開中だ。兎丸さんが「自己否定感が強いひとの気持ちが少しでも薄まってくれたらうれしい」と語る作品の魅力とは。舞台となった東京に対するイメージとともに語ってもらった。。
心を裸にできない人たちが共感して下さっているのかと
──劇中でも述べていますが、改めてヌードモデルになったいきさつを教えて頂けますか。「私は、6人きょうだいの末っ子なんです。物心ついたときから上と比べてしまって何をしても追いつけない悔しさを常に感じていました。ある程度のことをこなしても、それはみんなが当たり前のようにこなしてきたことで、それから自分しかできないことを考えるようになりました。それが裸になることでした。19歳のとき、初めて裸の自分が写る写真を見たとき、ようやく諦めがついたというか、なにもない自分を認めてあげらようになりました。その日から写真の魅力に取り憑かれ、3年後の2014年にヌードモデルとしてデビューすることを決意しました」
──SNSのフォロワーには女性ファンが多いそうですね。
「女性がファンになってくださるのは純粋にうれしいですし、もしかしたらみんなも裸になりたいのかなって。この裸になるということは洋服を着る、着ないではなく、心を裸にしてそのままの姿で生きていくということ。でも、心を裸にして生きていけない人が共感してくれているのかな、と」
──同じく劇中の写真展『きっとぜんぶ大丈夫になる』でも、女性が大勢詰めかけていました。
「写真集には自分のことが嫌いでわざわざ幸せから遠ざかってしまう女の子に作品を見てもらいたいという願いも込めたんですけど、ファンの方々から時折メールを頂くことがあって。やっぱり生きづらさを感じながら生活している女の子はたくさんいて、自己否定感の強い言葉が並んでいると胸が苦しくなります。西原孝至監督はこの映画で『東京』や『生きづらさ』をテーマとして扱っていますが、頂くメールもリンクしている時があります」
自分が自分のままでいることを素直に受け入れられる作品です
──兎丸さんは東京に対してどんなイメージを持っていますか。「手の届かない、遠い場所であってほしい。私は、住む場所も高層ビルが遠くに見えるようなところが好きなんです。遠くから光を見ているとキレイですけど、それが近寄ると眩しすぎて大切なものが見えなくなるというか。だから、東京にはなるべく近づきたくない(笑)東京は、憧れるぐらいでちょうどいいかなって」
──東京を舞台にした本作は、4年間かけて撮影したとか。
「完成作を観た時、昔の自分は狂気じみている印象がありました。『オトナ、マジで嫌い』みたいなオーラが出ていて(笑)でも、ヌードモデルとして生きていくと決めてから、イヤな人が近づいて来なくなったんです。理解してくれる人がお仕事をくれるようになったおかげで最近は、顔が穏やかになったとよく言われます。自分というより周りのみなさんのおかげです」
──最後に兎丸さんが思う作品の魅力を聞かせてください。
「観終わった時に、自分のことを考えるきっかけになる作品だと思います。生きづらさや幸せといった大きなテーマではなくて、『自分が自分のままでいる』ことを素直に受け入れられるというか。『なぜ自分はこんな人間なんだろう』という卑屈になる気持ちが、ちょっと薄まってくれたらうれしい。女性はもちろん、男性が観ても共感できると思います。以前、学んだんですけど、世の中にはフェミニストかそうではない人しかいないそうなんです。だから、どんなひとが見ても、きっと受け入れることができると思います」
INFORMATION
■映画『シスターフッド』
INFO&STORY
フェミニズムを題材にした作品の公開に向け、取材を受ける日々を送るドキュメンタリー映画監督の池田(岩瀬亮)。ある日、池田はパートナーのユカ(秋月三佳)から母親の介護をするため、母が暮らすカナダに移住することを告げられる。友人の大学生・美帆(遠藤新菜)に誘われて池田の資料映像用のインタビュー取材に応じるヌードモデルの兎丸(兎丸愛美)は、自身の家庭環境や彼女がヌードモデルになった経緯を率直に答えていく。独立レーベルで活動を続ける歌手のBOMI(BOMI)が語る言葉に触発される池田。様々な人間関係が交錯し、それぞれが人生の大切な決断を下していく。
CAST&STAFF
出演/兎丸愛美・BOMI・遠藤新菜・秋月三佳・戸塚純貴・栗林藍希・SUMIRE・岩瀬亮
監督・脚本・編集/西原孝至
製作・配給/sky-key factory
3月1日(金)よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開中
公式HP
(C)2019 sky-key factory
PROFILE
兎丸愛美(うさまる・まなみ)
1992年4月16日生まれ
14年にヌードモデルとしてデビュー。17年4月に初の写真集「きっとぜんぶ大丈夫になる」を発売。同年、サニーデイ・サービスのシングル「クリスマス」のジャケット写真でカメラマンデビューを果たす。16年の舞台「幽霊」以降、女優としても活動している。
公式Twitter
公式Instagram
■映画『シスターフッド』
INFO&STORY
フェミニズムを題材にした作品の公開に向け、取材を受ける日々を送るドキュメンタリー映画監督の池田(岩瀬亮)。ある日、池田はパートナーのユカ(秋月三佳)から母親の介護をするため、母が暮らすカナダに移住することを告げられる。友人の大学生・美帆(遠藤新菜)に誘われて池田の資料映像用のインタビュー取材に応じるヌードモデルの兎丸(兎丸愛美)は、自身の家庭環境や彼女がヌードモデルになった経緯を率直に答えていく。独立レーベルで活動を続ける歌手のBOMI(BOMI)が語る言葉に触発される池田。様々な人間関係が交錯し、それぞれが人生の大切な決断を下していく。
CAST&STAFF
出演/兎丸愛美・BOMI・遠藤新菜・秋月三佳・戸塚純貴・栗林藍希・SUMIRE・岩瀬亮
監督・脚本・編集/西原孝至
製作・配給/sky-key factory
3月1日(金)よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開中
公式HP
(C)2019 sky-key factory
PROFILE
兎丸愛美(うさまる・まなみ)
1992年4月16日生まれ
14年にヌードモデルとしてデビュー。17年4月に初の写真集「きっとぜんぶ大丈夫になる」を発売。同年、サニーデイ・サービスのシングル「クリスマス」のジャケット写真でカメラマンデビューを果たす。16年の舞台「幽霊」以降、女優としても活動している。
公式Twitter
公式Instagram
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら