エレキコミックとラーメンズ片桐仁さんによるお笑いユニット・エレ片が今月のパイセンゲスト。05年から活動を開始し、圧倒的人気を誇るTBSラジオ『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』も放送10年を超えた。そして2月20日には2年ぶりの新作コントライブ『エレ片 新コントの人』がDVDリリースされる。テレビや専用劇場、営業でもない場所で活動基盤を作り上げた3人の仕事観とは――。
「〝好き〟と〝稼ぐ〟を一緒にしたいのであれば既存の職業ではなく、 新たな仕事を創り出すことが肝ではないでしょうか。自分発信を お金にすることを考えたほうが、早くたどり着けると思います。」(やつい)
「どんな仕事をしてもお金はもらえますから、お金を好きになり給料を もらった上で引っかかる何かを探して〝好き〟なものを見つけてみては。 好きなことがない人は経験ありきで探してみて下さい。」(今立)
「今思うのは、若い時からいろんな人と繋がっておけばよかったなと。 僕は打ち上げや飲み会とかに全く行かなかったんですが、 どこでどんな縁が繋がるか分からないというのを実感していますから。」(片桐)
『エイリアン』が一番大変だった「片桐催眠」
は本気で掛かって…
──DVD面白かったです! 特に『エイリアン』は冒頭からヤバさが漂っていました。は本気で掛かって…
片桐「あれ、ヤバいヤツですよね。あのネタが最後まで固まらなくて一番大変だったので、僕らも気持ちは同じです。ヤバいの方向性が違いますが」
やつい「本当はやりたくなかったんですよね。本数的にもいらないんじゃないかとは思っていたんですけど、誰も言い出さずに初日を迎えた結果…」
片桐「アホほどスベりまして(笑)これはマズいと」
今立「このネタは本当にネタ合わせの時間が少なかったんですよ!本番前日に3人でカラオケボックスへ行って、2時間ぐらい練習しただけですから」
やつい「これまで被りものを使ったコントっぽいことをやったことがなかったから挑戦してみようということになったんです。だからやる意義はあったかなと」
片桐「意義って何だよ(笑)僕、卵を産むのが本当に大変だったんだよ!本当は股間から産みたかったんですけど、すぐに諦める舞台監督に『テクニカルすぎてできない』と言われて(笑)壁に仕掛け穴を開けて産んだんです。もっとベチャッとした、エイリアンっぽい卵を産みたかったのに」
やつい「ただ、エイリアンはオープニングと繋げるという意味があったんですけど、最後まで楽しくなかったですね。一刻も早くわってほしかったですから」
──大笑いしましたよ!特典映像の『片桐催眠』も最高でした。
片桐「僕、目がイッてますよねぇ。1回もできない腹筋に本気で挑戦しましたし、『充電!』と指示されて壁に体をピタッとくっつけるのも本当に催眠術に掛かっていたから。1時間ぐらい掛かり続けていたんです。あの後3人で中野へ飯を食いに行ったんですけど、リバウンドでひと言もしゃべれなかった。疲れが一気にダダ漏れて」
今立「何かのストッパーが外れたみたいな状態でしたね。映像内で言っていましたけど、催眠術師の先生と僕ら3人で30〜40分ぐらいの営業ができるほど、クオリティが高いですね」
やつい「あんなに笑ったのは久しぶり。コレが撮れた時点で『成功した!』と思いました。例えネタが1つもできていなくても」
宣伝文句はラジオで褒めてくれた〝神田松之丞が絶賛!〟で(笑)
──ところで3人の出会いは大学対抗のお笑いライブでしたよね。今に至るまで仕事面での苦労は。片桐「26〜28歳ぐらいの頃は風呂なし四畳半アパートに住んで、バイト生活を送っていました。でもバイトが楽だったから『このままでもいいかな』と思った時期もありましたね(笑)月給15万円ぐらいもらえるし、家賃は2万7千円だから生活していけましたから」
今立「当時の片桐さんはセレブでしたからね。新しい部屋を借りるんじゃなくて、同じアパートにもう1部屋借りたんです。しかも、廊下を挟んで斜め向かいの2階の角部屋を取ったんです」
片桐「趣味のプラモデルでシンナーの匂いがどうしようもなくなって、大家さんに怒られてはいたんです。『もう1部屋借ります』と言ったら、大家さんが『憎たらしい住人を追い出す』と言って(笑)壁紙を塗り直してもらって住み始めたんです」
──当時はどんなバイトを?
片桐「警備員です」
やつい「そのバイトを僕はクビになったんです」
今立「楽で人に優しくて、誰もクビにならないバイトを」
片桐「クビになったのは、やついとおじいさんの2人だけ(笑)原因は遅刻と、日誌にネタを書いちゃったからなんですよ」
やつい「業務報告を書くべき欄に台本を書いちゃったんです。致命的だったのは喘息」
片桐「ペナルティーがかさんだのは確かだけど、〝喘息差別〟はダメだよね」
今立「今なら喘息ハラスメント」
──(笑)その頃、今立さんは?
今立「実家住まいをしながらドラマ下北沢というゲーム屋で働いていました」
片桐「当時買えなかったプレステ1の本体を取り置きしてもらったこともありましたねぇ。『エヴァンゲリオン』も僕の家で全部観たんですよ。なぜか知らないけど、バカリズムもいたんだよね」
今立「いたっけ?」
片桐「なぜか最終話だけ観に来て。『結局言いたいことはないんじゃないか』って、真に迫る感想を升野(英知)が言ったんだよ」
今立「さすが〝記憶力の片桐〟!片桐さんの記憶力はハンバなくて、3人でいる時にゲームのあらすじを語るんです。でも、読書感想文で書くあらすじ〝だけ〟を延々と語るようなものだから、聞いている側は全然面白くない(笑)」
やつい「しかも、すべて言い終わるまで話を止めないし、いいところで終わろうとしない。カセットテープ以下ですよ」
片桐「僕の記憶力は以前から今も変わりませんけど、今立は昔、松潤みたいにカッコよかったんですよ。今は顔がパンパンに膨らみましたけどねえ(笑)」
今立「太ったり痩せたりを繰り返していますからね」
やつい「モテキャラだったのに。体も鍛えていましたし」
今立「今は何者でもなくなりました(笑)ジムに会費を寄付している〝幽霊会員〟期間が、1ヶ月ぐらい続いています」
やつい「ひと言でいえば今立は自堕落。いっそ〝自堕落道〟を突き詰めてほしいですね」
──そういった下積み時代を経て3人とも〝好き〟を仕事にしましたが、秘訣を教えて頂けますか。
やつい「お金を稼ぐことと好きなことを仕事にするのは別だと思うんです。〝好き〟と〝稼ぐ〟を一緒にしたいのであれば既存の職業ではなく、新たな仕事を創り出すことが肝ではないでしょうか。自分発信をお金にすることを考えたほうが、早くたどり着けると思います」
今立「そうなると、先にお金を好きになるしかないですよね。どんな仕事をしてもお金はもらえますから、給料をもらった上で引っかかる何かを探して〝好き〟なものを見つけるとか。好きなことがない人は経験ありき。一度でも経験しないことには、好きなものも見つけられないので」
片桐「思うのは、若い時からいろんな人と繋がっておけばよかったなっていうことですね。僕はあまり人が好きじゃなくて、打ち上げや飲み会とかにまったく行かなかったんですけど、どこでどんな縁が繋がるか分からないというのを今、実感しているんです。仕事の繋がりが10年後にできる縁もゼロではないと思うので。それを財産にしていく人もいますからね。今や主役級俳優のムロ(ツヨシ)くんなんて、彼がいない場所でも彼の話題になりますから。ということは、どれだけそういった場に顔を出しているかが分かるじゃないですか。僕は面倒で、いまだに参加しませんが(笑)」
──有難うございます。改めてDVDのPRを。
やつい「(小誌の表紙を見ながら)そういえば神田松之丞さんがライブを観に来て、ラジオ番組で絶賛してくれていたらしいですよ!あの、悪口しか言わない男が(笑)だから、彼繋がりで演芸好きな方にも観てほしいですね」
片桐「彼、楽屋には来なかったんですよね。イチ観客として観に来たらしいんです。演芸好きね。確かに広まってほしい」
今立「じゃあ〝神田松之丞が絶賛!〟というひと言のみを今後は宣伝文句にしていきましょう(笑)」
INFORMATION
DVD『エレ片 新コントの人』
【INFO】
TBSラジオ「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」(毎週土曜25時)が10周年を迎え、両国国技館イベントも超満員。ドラマにフェスにゲームに大忙し!そんなエレキコミックと片桐仁によるコントユニット〝エレ片〟が18年1月から3月に東京・大阪・名古屋で上演した2年ぶりの新作コントライブがDVD化。特典映像は「片桐催眠」、副音声でエレ片3人によるコメンタリーも収録。笑いアリ!涙アリ!お下品ナシ!馬鹿マシマシ!まるっと生まれ変わったエレ片の世界を堪能せよ!!
◆『エレ片ライブ 光光☆(ピカピカ)コントの人』東京公演は2月18日(月)まで東京・グローブ座、大阪公演は3月2日(土)大阪・サンケイホールブリーゼ、名古屋公演は3月9日(土)愛知・東別院ホールにて上演。
出演/やついいちろう(エレキコミック)・今立進(エレキコミック)・片桐仁
企画・制作/TBSラジオ/トゥインクル・コーポレーション
発売元/TBSラジオ
ポニーキャニオンから19年2月20日(水)発売。3333円(税抜)
PROFILE
●やついいちろう
1974年11月15日生まれ 三重県出身
公式Twitter
●今立進(いまだち・すすむ)
1975年9月27日生まれ 東京都出身
公式Twitter
●片桐仁(かたぎり・じん)
1973年11月27日生まれ 埼玉県出身
公式Twitter
97年結成のお笑いコンビ・エレキコミック(やついいちろう&今立進)と、片桐仁によるお笑いユニットで、05年から活動開始。TBSラジオ「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」は06年4月、放送スタート。落語研究会に所属していたエレキコミックと片桐仁は学生時代からの友人で、現在も同じ事務所トゥインクル・コーポレーションに所属。コントを中心とした舞台活動を行い、エレ片としてお笑い番組に出演することも。
DVD『エレ片 新コントの人』
【INFO】
TBSラジオ「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」(毎週土曜25時)が10周年を迎え、両国国技館イベントも超満員。ドラマにフェスにゲームに大忙し!そんなエレキコミックと片桐仁によるコントユニット〝エレ片〟が18年1月から3月に東京・大阪・名古屋で上演した2年ぶりの新作コントライブがDVD化。特典映像は「片桐催眠」、副音声でエレ片3人によるコメンタリーも収録。笑いアリ!涙アリ!お下品ナシ!馬鹿マシマシ!まるっと生まれ変わったエレ片の世界を堪能せよ!!
◆『エレ片ライブ 光光☆(ピカピカ)コントの人』東京公演は2月18日(月)まで東京・グローブ座、大阪公演は3月2日(土)大阪・サンケイホールブリーゼ、名古屋公演は3月9日(土)愛知・東別院ホールにて上演。
出演/やついいちろう(エレキコミック)・今立進(エレキコミック)・片桐仁
企画・制作/TBSラジオ/トゥインクル・コーポレーション
発売元/TBSラジオ
ポニーキャニオンから19年2月20日(水)発売。3333円(税抜)
PROFILE
●やついいちろう
1974年11月15日生まれ 三重県出身
公式Twitter
●今立進(いまだち・すすむ)
1975年9月27日生まれ 東京都出身
公式Twitter
●片桐仁(かたぎり・じん)
1973年11月27日生まれ 埼玉県出身
公式Twitter
97年結成のお笑いコンビ・エレキコミック(やついいちろう&今立進)と、片桐仁によるお笑いユニットで、05年から活動開始。TBSラジオ「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」は06年4月、放送スタート。落語研究会に所属していたエレキコミックと片桐仁は学生時代からの友人で、現在も同じ事務所トゥインクル・コーポレーションに所属。コントを中心とした舞台活動を行い、エレ片としてお笑い番組に出演することも。
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一