昨今のMCバトルブームを牽引する番組『フリースタイルダンジョン』に、2代目モンスターとして出演中の輪入道さん。初ライブからラップは即興。初出場のMCバトルでいきなり優勝という生粋のフリースタイラーだ。一方で仕事とライブを並行していた時期は長く、当初は大卒後に就職する人生も考えていたそう。「それを凌駕する魅力があった」というHIPHOPに魅せられた人生を語る。
それを凌駕する魅力がヒップホップにはあった
──ラップに興味を持ったきっかけは、般若さんの曲だったそうですね。「それまで聴いてきた音楽にはない攻撃的なワードが多く出てきて『こういうのアリなんだ』と驚きましたね。それからラップにのめり込み、クラブのイベントにも行くようになりました。そこで初めて知り合ったラッパーが、自分と同い年の16歳だったんですよ」
──それで本格的にラップを始めたと。しかも初出場したMCバトルではTKda黒ぶちさんやZORNさんら錚々たる面々を破って優勝したんですよね。
「実力では負けていたと思いますが、会場の空気を掴んで勝てた大会でした。でも、初めて生で見るバトルはホントに怖くてエグかった。ZORNくんは予選の相手の『今日は彼女も来ているから恥かけねえ』みたいなラップに、『今日はお前の彼女生理だろ』みたいに返してて。その日は自分の彼女も来ていたんで『バトルでは彼女のこと言わないようにしよう』と思いました(笑)」
──しかし、いきなり優勝してしまったのがスゴいです。その優勝をきっかけに「ラップを仕事にしよう」と思ったんですか?
「賞金が20万円と、17歳の自分にはデカい金額で『これはオイシイな』とは思ってました。でも仕事にするまでの覚悟はまだなかったですね」
──輪入道さんは大学を中退しているんですよね。当初は普通に大卒後に就職するつもりだったんですか?
「そういう人生を送るものだと思っていましたが、それを凌駕する魅力がヒップホップにはあったんですよね。当時、事情があり家を出ていた母親からは、『お前がラップから足を洗ったら帰ってもいい』とも言われて。親は普通の人生を送ってほしかったんだと思いますが、最後はそれも突っぱねました」
自分に自信を持っていれば心も大きくは崩れない
──その後は仕事をしながらライブやバトルを続けていたんでしょうか。「露天商を7年やって、その後は出版社でバイトをしていました。仕事とライブを両立していくつもりでしたが、長渕剛さんの10万人ライブに出たり、『フリースタイルダンジョン』のモンスターのオファーがあったり、アルバム制作が決まったりして、仕事に普通に出れなくなってきて。中途半端な状態だと迷惑だと思い、辞めることにしました」
──『フリースタイルダンジョン』では、輪入道さんは持ち前のバイブスを活かしつつ、相手に合わせた面白い戦い方もしますよね。歩歩さんとのバトルではステージ上を転がったり、GOTITさんとのバトルでは「どうしよもねぇ話してごめんねぇ~」とシャウトしたり(笑)
「そうでしたね(笑)歩歩さんみたいなスタイルの人なら、『ゴリゴリに詰めて勝っても面白くないよな』と考えますし、最終的にお客さんが楽しんでもらうことを考えて戦っています」
──『so dark』のような怖い曲もある一方で、『徳之島』という温かい雰囲気の曲でも有名ですよね。「徳之島のPVのまんまのいい人」と言っている人もいて、人によってイメージが違うのかなと思いました。
「だから実際に会うと、『めちゃくちゃ普通の人ですね』ってガッカリする人もいるんですよ(笑)『怖い人だと期待されているんだろうな』と思います」
──また、手話を取り入れたボーカル&パフォーマンスグループHANDSIGN(ハンドサイン)とのコラボ曲『新時代』の発表も決まっていますね。
「自分の番組に彼らが出てくれて、手話を教わったんですけど、それが凄く刺さったんですよね。手話は堅苦しいものじゃないと分かったし、自分の左耳の突発性難聴のことともリンクして、『すぐにでも一緒にやりたい』という話になりました。ラッパー自身が手話をするのも新しいかな、と思っています」
──最後に、働きながら大きな夢を追っている人も多い小誌の読者へ向けて、何か助言はありますか。
「露天商でも出版社でも人に恵まれていたので、仕事で大きな苦労をしていないんですよね。だから、『自分に自信を持ってほしい』くらいしか言えないです。僕も仕事を辞めた後、『あの決断は間違ってたんじゃないか』と思うことはありましたが、自分に自信を持っていれば、心は大きく崩れない。あと自信がなくなりそうな時は、『それだけ自分は目の前の事に真剣に取り組んでるんだ』と捉えるといいと思います」
INFORMATION
■DVD『輪入道 PRESENTS 第1回 暴道祭』
INFO
18年5月24日に、渋谷TSUTAYA O-WESTO-WESTにて開催された主催イベント「暴道祭」がDVD化。輪入道をはじめ崇勲、DOTAMA、MU-TON、押忍マン、SIMON JAP、十影、CIMAといったフリースタイル・バトル・シーンの中でも名を馳せているラッパーが多数登場!ほかにもアイドルラップユニットのRHYMEBERRY、10代のラッパーRed Eye、ニュースでも世間を騒がせたUZIなど多彩な面々が出演している。3241円(税別)
公式HP
PROFILE
輪入道(わにゅうどう
1990年2月7日生まれ 千葉県出身
07年頃から活動を開始。数々のライブイベントやMC BATTLEで優勝を飾り、名を轟かせる。13年、主宰レーベルGARAGE MUSIC JAPANを立ち上げ、アルバム「片割れ」「左回りの時計」をリリース。テレビ朝日「フリースタイルダンジョン」2代目モンスターとしてレギュラー出演。FRESH LIVEの冠番組「わにゅう道場」放送中。
公式Twitter
■DVD『輪入道 PRESENTS 第1回 暴道祭』
INFO
18年5月24日に、渋谷TSUTAYA O-WESTO-WESTにて開催された主催イベント「暴道祭」がDVD化。輪入道をはじめ崇勲、DOTAMA、MU-TON、押忍マン、SIMON JAP、十影、CIMAといったフリースタイル・バトル・シーンの中でも名を馳せているラッパーが多数登場!ほかにもアイドルラップユニットのRHYMEBERRY、10代のラッパーRed Eye、ニュースでも世間を騒がせたUZIなど多彩な面々が出演している。3241円(税別)
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輪入道(わにゅうどう
1990年2月7日生まれ 千葉県出身
07年頃から活動を開始。数々のライブイベントやMC BATTLEで優勝を飾り、名を轟かせる。13年、主宰レーベルGARAGE MUSIC JAPANを立ち上げ、アルバム「片割れ」「左回りの時計」をリリース。テレビ朝日「フリースタイルダンジョン」2代目モンスターとしてレギュラー出演。FRESH LIVEの冠番組「わにゅう道場」放送中。
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撮影◎熊代紀章 取材・文◎古澤誠一郎