現在のプロレス人気の立役者である棚橋弘至さんが念願だった仮面ライダー映画に出演。公開中の『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー』で、悪役の来瀬荘司役を熱演している。さらに今回の取材では、ある法則に基づきプロレス以外の仕事もしているという意外な理由も披露。インタビュー冒頭から終始、場を盛り上げ和ませてくれた棚橋さん。取材陣一同またのご登場をお待ちしております!
「自分の夢を言葉にして自らを追い込み、逃げ道をなくす。努力せざるを得ない状況を作ったほうが、人はより頑張れるものです」
──棚橋さんは『アメトーーク!』の仮面ライダー回に出演するほど大ファンですよね。番組ではベルトを巻いていましたし。「そうなんです。念願が叶いました。ライダーベルトを巻いたのは久しく(プロレスのチャンピオン)ベルトを巻いてないからなんですけど…って、おいっ!(笑)」
──あはは!では出演が決まった時はさぞうれしかったのでは?
「夢見心地でしたね。昔、祖母に『だらしないからやめなさい!』と注意されたニターッとした顔をして喜んでいたと思います。道を歩いてる時でも〝思い出しニターッ笑い〟をすることが多くて端から見たら結構気持ち悪いって自覚してます(笑)でも、今まで公言してきたからこそあの番組にも出演できて今回、映画出演できたわけですから、一歩一歩上ってきたというか、言葉にすることで夢を引き寄せたと実感してます」
──有言実行して今があると。
「夢を言葉にするってすごく大事ですよ。僕のキャッチコピーである〝100年に一人の逸材〟なんて、まだプロレスの歴史が100年も経ってないんですから、言ってみればビッグマウスなわけですよ。年数が合わない矛盾を抱えているんです。でも、100年経った時に『棚橋は逸材だったな』と言われて整合性が取れるかもしれないし、キャッチコピーは僕の志そのものなんですよね」
──確かに、ご自身が名づけたと知らなかった当時の記者はキャッチコピーそのままを信じてました。
「でしょう(笑)言い続けているといつか〝逸材感〟が出てくるんですよ。最初は『何言ってんだよ』と思ってもそのうち『あれ、ひょっとして棚橋、逸材かもな』と思ってしまったら、もう僕の罠に引っかかってますよ」
──あと棚橋さんの名言には「疲れたことがない」があります。
「そう、僕は一度も疲れたことがないんです。これもすごく大事でいや本当に疲れてないんですけど(笑)『そうやって生きていく』という意思の現れなんです。就活中の学生さんたちにも『企業がどういう人材を求めているか教えてあげようか?それは疲れない人材だよ』と伝えています。二言目には『疲れた』という人材より、『まだ疲れてません。大丈夫です!』という元気な人材のほうが、絶対に企業が欲しがるはずだ、と」
──確かに。言葉にすることは大切なんですね。
「自分の夢を言葉にするということは、周囲に知られることとイコールじゃないですか。これね、自分で自分を追い込んで逃げ道をなくすってことなんですよ。そうすると、やるしかない状態になるんですね。自分が努力せざるを得ない状況を作っておいたほうが、人はより頑張れるものなんです。しかも、無言実行より有言実行のほうが人に響くんですよ。学生時代テストの時に『勉強してないよ』と言っておきながら満点を取るヤツより『俺100点取るから』と宣言して本当に実行するヤツのほうが格好良く見えたじゃないですか。だから、目標があったら口にしろ、というのが〝棚橋方式〟なんです」
──ですが有言実行は、イケメン人気レスラーの棚橋さんだからこそ叶ったのでは。
「これ僕の自論なんですけど、生き方って顔に出るんですよ。2歳下の弟なんて、僕より老けてますもん(笑)会うたびに『お前しっかりしろよ!』って僕に殴りかかってくるんですけどね(笑)」
──本当に殴るんですか!?
「すみません、嘘つきました(笑)僕より身長が10センチも高いので殴らないです。僕にプロレスを教えた張本人でもありますから」
──本作に出演できたのは元を辿れば弟さんのおかげでもありますが白い衣装を着た時の感想は?
「今回はテーマの1つが医療で、来瀬荘司は医者。プロレスラーの棚橋弘至とはまったく違う、感情がない無機質な人間なんです。これだけ感情あふれる男が感情を封印したので、〝棚橋感〟はゼロなんですよ。名前がロボルバグスターというだけあって、マシーンですね」
──ネット上では「変身前のほうが強そう」という声もありますが。
「あはははははは!じゃあ、もし次回作に出られるなら、変身後は僕自身がボディーペイントでもしましょうか(笑)」
──それも楽しみですが棚橋さんのオリジナルポーズも楽しみです!
「岩を砕くようなポーズの後、大胸筋にグワーッと力を入れるんですけど、『何かないかな』と話を振られた時、『やばい、ない!』って焦りました(笑)だってプロレスで使ってるポーズは全部、仮面ライダーからインスパイアされているんですから、僕が決めたら過去のポーズをまんま戻すだけになっちゃうじゃないですか。それこそキャッチアンドリリースみたいな事態になってしまう。だからうれしい反面、0から考えるのはかなり苦戦しました。そして考案後は、自分がどれだけ仮面ライダーに頼っていたかを思い知らされました…」
──来瀬の上司であるDr.パックマン役の佐野史郎さんとの共演はいかがでしたか。
「いやあ〜、すごいですね。オーラがほかの人とはまったく違いました。佐野さんってみなさんが何度も何度もテレビで観てきた役者さんじゃないですか。何度も観てきた方が目の前にいると思うだけで、圧倒されました」
夢を言葉にするのはすごく大事有言実行で引き寄せ叶えるんです
──棚橋さんだって本作以外にドラマ「牙狼」や「石川五右衛門」に出演してますよ。「僕はまだまだですよ。ただ人間って、繰り返し見てる人をすごいと感じる節があって、テレビにたくさん出ている方ほど実際にお会いすると、『うわっ!!』と息を呑んでしまうものなんです。このメカニズムは僕、プロレスにも還元したいと思って、だからSNSは写真を多めにアップして発信したり、あらゆるところに顔を出すんです。この、〝繰り返し見るだけで他人は勝手にすごい人だと脳に刻む〟という法則を見つけた後、佐野さんにお会いしたら『やっぱりな』と合点がいきました」
──それが忙しいのに精力的にテレビ出演をする理由だったんですね。
「11月放送のバラエティー番組では、ダイエットしてるのに5〜6時間で3杯、チャーシュー麺を完食しましたね。いや〜、食べました。今年ダイエットに失敗してる僕が言うのも何ですけど、何かを得るには何かを犠牲にしないといけないんですね(笑)しっかりと体脂肪を落としてコンディションがいい状態でリングに上がると、ファンの期待感が上がるのが分かるんですよ。特に、去年の(東京)ドームなんかはバキバキだったんで『棚橋、仕上げてきたな』というファンの期待を感じました。だけど、そこに到達するためには大好物の生クリームを我慢しなくちゃいけない。食を節制すると、修行僧のように精神が研ぎ澄まされてもいくのも分かっているのに今、食べまくりで完全に食に制されてます(笑)」
──それで大丈夫ですか?
「いや、ダメですね。去年の今頃は仕上がっていたのに今この状態じゃ、1月4日のドームには絶対に間に合わないです…」
──ファンのためにも仕上げて下さい(笑)ちなみに先ほど「何かを得るには〜」とおっしゃいましたが、本作への出演で何かを犠牲にしたくはないですよね。
「プロレスをまだ観たことない人にも広がるといいなと思って色々と出演させて頂いているのですが、今年はリング上では結果を出せていないんですよね…。だから、この作品を追い風にして一気に東京ドームでベルトを獲れたらチャラになると考えてます。仮面ライダーとはWin‒Winの関係を築きます!」
──では作品の見どころを改めて。
「ですね。冒頭から終わりまでアクションシーンが満載で疾走感がすごいんですけど、ドラマシーンでは軸となる『命の大切さ』というテーマをしっかりと伝えてくれている作品です。これがちびっ子に響くだろうし、大人が観たら、友だちや家族がいるからこそ自分がいるという大切なことを思い出させてくれると思います。…と、怪人役の僕が言うのも何ですけど(笑)観た後に温かい気持ちになれる映画ですね。アクションで気分爽快!というだけじゃなく、戦いの後、僕たちにテーマを1つくれるのが平成仮面ライダーの良さなので、ぜひ観て下さい!」
INFORMATION
映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー』
INFO&STORY
ゲームウイルス生命体「パックマン」が襲来し、感染した天空寺タケル(西銘駿)はゴーストに変身する能力を失ってしまう。一方、敵の正体と感染源を突き止めたエグゼイドこと宝生永夢(飯島寛騎)は、自身の運命を左右する重大な真実に直面。窮地に陥った2人のライダーと人類を救うため、3人のレジェンドライダーが立ち上がる。「仮面ライダー」シリーズの作品がクロスオーバーする「MOVIE大戦」の第8弾で、シリーズ45周年記念作。最新ライダーであるエグゼイド、前作のゴーストに加え、歴代レジェンドライダーであるドライブ、鎧武、ウィザードが結集する。
CAST&STAFF
出演/飯島寛騎・西銘駿・竹内涼真・白石隼也・棚橋弘至・佐野史郎ら。
監督/坂本浩一
原作/石ノ森章太郎
配給/東映
公式HP 12月10日(土)ロードショー
「エグゼイド&ゴースト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
PROFILE
棚橋弘至(たなはし・ひろし)
1976年11月13日生まれ 岐阜県出身
大学時代のプロレス同好会から始まり、、98年2月に新日本プロレスの入門テストに合格。99年に立命館大学を卒業し、新日本へ入門。同年10月、デビュー。主なタイトル歴にIWGPヘビー級王座、IWGPタッグ王座、IWGP U-30無差別級王座、GHCタッグ王座などがある。人気・実力ともにトップクラスのプロレスラーとして活躍する一方、映画やドラマ、バラエティ番組出演など役者やタレントとしての活動も。リングイン時の決めゼリフに「さあ、お前の罪を数えろ」(「仮面ライダーW」)を採用し、〝逸材ポーズ〟も元ネタは「仮面ライダーカブト」であると公言するなど大の仮面ライダーファンでも知られる。17年1月4日(水)恒例の〝イッテンヨン東京ドーム〟ではIWGPインターコンチネンタル選手権試合にて内藤哲也選手と対戦予定。
公式Twitter
映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー』
INFO&STORY
ゲームウイルス生命体「パックマン」が襲来し、感染した天空寺タケル(西銘駿)はゴーストに変身する能力を失ってしまう。一方、敵の正体と感染源を突き止めたエグゼイドこと宝生永夢(飯島寛騎)は、自身の運命を左右する重大な真実に直面。窮地に陥った2人のライダーと人類を救うため、3人のレジェンドライダーが立ち上がる。「仮面ライダー」シリーズの作品がクロスオーバーする「MOVIE大戦」の第8弾で、シリーズ45周年記念作。最新ライダーであるエグゼイド、前作のゴーストに加え、歴代レジェンドライダーであるドライブ、鎧武、ウィザードが結集する。
CAST&STAFF
出演/飯島寛騎・西銘駿・竹内涼真・白石隼也・棚橋弘至・佐野史郎ら。
監督/坂本浩一
原作/石ノ森章太郎
配給/東映
公式HP 12月10日(土)ロードショー
「エグゼイド&ゴースト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
PROFILE
棚橋弘至(たなはし・ひろし)
1976年11月13日生まれ 岐阜県出身
大学時代のプロレス同好会から始まり、、98年2月に新日本プロレスの入門テストに合格。99年に立命館大学を卒業し、新日本へ入門。同年10月、デビュー。主なタイトル歴にIWGPヘビー級王座、IWGPタッグ王座、IWGP U-30無差別級王座、GHCタッグ王座などがある。人気・実力ともにトップクラスのプロレスラーとして活躍する一方、映画やドラマ、バラエティ番組出演など役者やタレントとしての活動も。リングイン時の決めゼリフに「さあ、お前の罪を数えろ」(「仮面ライダーW」)を採用し、〝逸材ポーズ〟も元ネタは「仮面ライダーカブト」であると公言するなど大の仮面ライダーファンでも知られる。17年1月4日(水)恒例の〝イッテンヨン東京ドーム〟ではIWGPインターコンチネンタル選手権試合にて内藤哲也選手と対戦予定。
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一