パクリと思わせないのが自分の技量(笑)「いいオマージュだ」と言われるよう勝負してます
日本プロレス界きってのハードコアレスラー、葛西純選手や藤田ミノル選手など数えきれないほどのレスラーからグッズデザインオファーのラブコールが絶えず、インディーズプロレスファンからもそのデザインが大絶賛されている、黄昏番長。アーティスティックな仕事をしながら日頃は会社勤めをする彼の生き方を、求職中の人も参考にしてみては。
会社員をしつつオファーを請ける今のスタンスは変えずに続けたい
──プロレスラーからオファーが殺到していますが、デザインを始めたきっかけは?
「常連だった地元の飲み屋で知り合った女子レスラーとの縁で、今『WAVE』という団体の社長をしているGAMIさんを紹介してもらったんです。当時フリーになったばかりのGAMIさんが持ってきたデザインを、自分が印刷する形でおつき合いが始まりました。15年近く前から今も仲良くさせて頂いてます」
──そこからレスラー考案ではなく、ご自身のオリジナルをデザインするに至った経緯は。
「その飲み屋で知り合った女子レスラーの紹介で、BADBOY非道選手のTシャツを作ったのが最初です。あの人すげぇいい加減で(笑)、タトゥー雑誌を持ってきて『この顔に有刺鉄線巻いて』とアバウトな感じで依頼されたから、自分がデザインさせてもらったんです。非道君が大日本に上がってからだから、10年以上前ですね」
──そして現在はカルト的人気を誇る葛西純選手のグッズも手がけているんですよね。
「小さい頃から新日も全日も好きでしたけど、葛西選手が大日本からデビューして間もない猿キャラだった頃、アメリカのCZW(コンバット・ゾーン・レスリング)と戦うのを観て、すげぇハマって大ファンになったんです。で、葛西選手が『FREEDOMS』を旗揚げ後、ファンメイドみたいな形でTシャツを作って渡したらすごく喜んでくれて、それが商品化されて、5〜6年前から今も続いてるって感じなんです」
──人との縁で現状がありますが、過去にデザインの経験はあったのでしょうか。
「幼い頃から絵を描くことが好きで、17歳から20歳すぎぐらいまで友達のバンドの手伝いでビラやフライヤー、デモテープのジャケットを作ったりはしてました。メンバーと金を出し合って買った『Tシャツくん』で、簡易的な方法でTシャツ作りは経験してたんです」
──なるほど。デザインで意識することは?
「なるべくパクリと思われないようにすることですかね(笑)今まで好きで触れてきたバンド、映画、漫画にインスパイアされているデザインが多いと思うんで、完全なオリジナルというよりは、どうしてもオマージュしたデザインが多いかと思います。例えば葛西選手だったら自分の中でのイメージはハードコア・パンク。二度ほど作った竹田(誠志)選手はスラッシュメタル。ただし、藤田(ミノル)選手は逆にアイディアを持ってきてくれるんで、その中で自分が昇華させる作り方をしています。パクリとオマージュの境界線って難しいけど、『これパクリだろ』と思わせないのがこっちの技量であって、『コレ、いいところ持っていったね』とニヤリとさせるのが自分の中では勝負だと思っています」
──カッコイイ! 芸術肌なんですね。
「いや、俺なんてクソ野郎ですよ。人肉がテーマの映画が大好きで…(以下、自主規制)」
──それは…(笑)ところで今後、デザインを生業にする予定はありますか?
「嫁さんと子供がいて家族を守ることを最優先で考えなくちゃいけないんで、会社員をしながらデザイン依頼を請ける、今のスタンスを変える予定はないですね。カッコ良すぎることは言いたくないんですけど、プロレスを含め表舞台に立つ人達って、専業で食っていくのが難しい職業なんです。だからこそレスラーには少しでも儲かってもらいたいし、いい思いもしてもらいたい。そのサポートができる今の形で続けていきたいですね」
【宝そば】葛西選手が発見したことを機に黄昏番長も1年ほど前から愛用。番長デザインの宝そばTシャツは販売枚数500枚を突破。「こんなに売れるとは思わなかった」とは番長談。
PROFILE
PROFILE●たそがればんちょう ハードコア&デスマッチプロレスラーとそのファンから大人気を博す新進気鋭のデザイナー。『FREEDOMS』に所属する葛西純選手のグッズ企画とデザイン、製造を手がけつつ日頃はTシャツプリント工場の会社員として働き、二足の草鞋を継続中。デスメタルの潮流を組んだ独特の世界観が他選手からも注目を浴び、依頼が押し寄せている。Tシャツ、キャップ、缶バッジ等のグッズは試合会場で購入可能。
公式Twitter
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PROFILE●たそがればんちょう ハードコア&デスマッチプロレスラーとそのファンから大人気を博す新進気鋭のデザイナー。『FREEDOMS』に所属する葛西純選手のグッズ企画とデザイン、製造を手がけつつ日頃はTシャツプリント工場の会社員として働き、二足の草鞋を継続中。デスメタルの潮流を組んだ独特の世界観が他選手からも注目を浴び、依頼が押し寄せている。Tシャツ、キャップ、缶バッジ等のグッズは試合会場で購入可能。
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