やっかまれるぐらいが注目を集めてる証拠。人に叩かれたり揶揄される事を恐れていたらいい仕事はできない
「芸能生活で4回はしくじった」と語るオリエンタルラジオの藤森慎吾さんが、映画『闇金ウシジマくん Part3』に出演。劇中では一瞬、藤森さんだとは分からないほど役者として好演している。〝しくじりのパイセン〟だからこそ重みある人生訓も交えたロングインタビューをお楽しみください!
〝ポップなクズが欲しい〟という理由でオファーを頂きましたっ!
──人気シリーズ作への出演ですが、原作の大ファンだったとか。「漫画はもちろんドラマも映画も全部観ていたんで、夢みたいな話ですよ。僕が普段やっている〝畑〟じゃない場所にお邪魔する形ではありますけど、爪痕を残したいな、という思いはありました。ま、何が爪痕か分かりませんけど(笑)山田(孝之)さんとは仲良くなりたいなと思って、空き時間に果敢に話しかけに行ったんですね。でも割とクールな方で、山田さんは群れずに1人でスマホを見ていることが多かったんです。それでも空気を読まずに話しかけたらお笑いが好きみたいで、それがきっかけで少しは打ち解ける事ができたかな…と、僕は思っています」
──では連絡先の交換も?
「あ、それはしてないです(笑)そこまで踏み込む勇気はありませんでした。でも綾野剛さんは交換しましたね。綾野さんみたいに甘いマスクで社交的で優しくて気配りできたら完璧ですよねえ。やべ(きょうすけ)さんとか崎本(大海)君とも現場でワイワイおしゃべりさせて頂きました」
──爪痕は残せたんですね。しかも重要な役柄を演じていますし。
「そうなんですよ。僕もワンシーンのピンポイント出演なんだろうと予想していたんで台本が届いて驚愕しました。だから山口(雅俊)監督に僕を起用して頂いた理由を聞きました」
──その理由、何でしたか。
「今年ホットなワードですけど、加茂守は不倫する駄目で救いようがないサラリーマンなんですね。きちんとお芝居ができる役者さんが演じると、本当にクズで暗くて下衆いヤツになって、女の子が受け付けなくなるらしいんです。監督は『ポップなクズが欲しくて起用しました』と言っていました。正直お芝居(の実力)は知りませんが、という言葉も添えて」
──それは(笑)加茂は打ちのめされても立ち直りが早いですよね。
「その上すぐ調子に乗っちゃう。落ち込んでもすぐ天狗になるところは自分の芸人人生ともリンクしてますね。忘れちゃうんですよ、しくじった事って。今年も歌とかで注目して頂いたりしてますけど『今度こそは!!』と気持ちを入れ替えてるはずなのにまた若干、天狗になってますからね、すでに。でも、それでいいんです。人間は失敗を繰り返すもんなんです」
──失敗してもいいんですか!?
「また上ってやるぞ!という活力になればいいんじゃないですか。それに、どん底だけの人生なんてないですから。人はどこかで破綻する仕組みになってるんですよ、きっと。人生に安定なんて存在しないと思ってますもん。天狗になって怒られたら、頭を下げればいいんです。『すみませんでした、あの時は!』って。そしてまた天狗になる。芸能界は特にその繰り返しですよ、たぶん」
──ですが下り坂の時期は気分も相当、落ち込むのでは。
「めちゃめちゃ落ち込みますよ。自分で言うのも何ですけど僕ら、デビューした直後にブレイクしてゴールデンで番組3本持ったり深夜の帯(番組)やって、天下取ったと勘違いしたわけですよ。それが1~2年も経たないうちに急転落して、レギュラー番組が全部消滅した時は焦りましたよ。『もう(人生)終わったな』って諦めてましたね。だから当時、すっごいヤサグレてましたもん」
──それはヤサグレますよ。
「ねえ。売れてた頃は周りがチヤホヤしてくれて吉本の社員さんだってゴマすってたのに、転落したら手の平を返されたんですから。売れる商品に力を注ぐのは当然ですけど、あの当時は誰も信用してなかったですね。目が合っただけで『どうせ自分たちの事バカにしてるんだろ』と。そうなる前にちゃんとしなかった僕らの責任ですけど」
──そういう時のモチベーションの立て直し方はどうしてましたか。
「やっぱり人間関係ですね。周りに誰もいなくなるんですけど、1人、2人は見てくれている人がいるって事に気づけて、そういう人とコミュニケーションを図る事で身を改められたのかな、と。それで腐りきらずに済んだんです」
──見てくれている人はいる。それって小誌ドカント読者にも当てはまりますか?
「ちょっと話は変わりますけど、大手広告会社に勤めてた33歳の同級生が独立して、また会社に入ってまた転職するっていう時に、失業保険の申請に行くと電話をもらったんです。一見、転職を繰り返してばっかりで信用できないかもしれませんけど、僕は『コイツなら大丈夫だ』と信じてるんですよね。前向きなステップアップだと信頼してるから、素直に励ましの言葉も贈れる。だからきっとみなさんの周りにも、1人か2人ぐらいは真の自分を見ていてくれる人がいるはずなんです。そういう人との関係を大事にしていく事が大切かな、と。落ちてる時期って人と会いたくないし疑心暗鬼にもなりますけど、卑屈になるのが良くないんですよ、一番。加茂は卑屈になるどころか借金を繰り返して豪遊しちゃいますけどね」
──借金の怖さを知らないのかと。
「何であんなに借りちゃうんでしょうね。でも最初に売れた時にあったんですよね、同級生から借金の申し込みが。高校時代は、君と2回ぐらいしかしゃべってないよね?ってヤツがものすごく親しげに電話してきて、聞けば金を貸してくれと。だからね、僕決めてるんです。金の無心をされたらまとまった金額を渡しますけど、それで相手との人間関係は終わりにする。だって相手は自分を友だちとも親友とも思っていない証拠なんですから。消費者金融で借りた金をギャンブルで増やして返そうとする先輩の芸人もいるんですけど『返せるワケないじゃないッすか』と止めても、なぜか聞く耳を持たない。だから芸人の世界にはリアル加茂が大勢いますよ。僕は借金をした経験が一度もないですけどね」
──芸人なのに借金未経験とは!
「芸の肥やしを作るために借金してでも経験しろ、なんて時代もありましたけど、それは古い話ですよ。今はコンプライアンスが大事ですから。クリーンで健全な、公人たる芸人でなければいけないんです。しかも僕の場合は主婦層を視野に入れてるんです。主婦に嫌われたら終わりですから、汚い、野蛮な行為は慎まないと」
──だから借金も否定派だと。
「なぜ自分を破滅の道へ追い込むんだろう?と思うんですよ。芸人は意外と稼ぐのが大変なのに借金に味をしめちゃうと、本業まで疎かになるじゃないですか。借金なのに自分で稼いだ金のように使う同業者をたくさん見てきてるから分かるんですよね。ウシジマくんの取材を受けながら『借金は絶対ダメ!』って言うのもおかしいですけど(笑)この映画、いい教材だと思うんですよ。僕はウシジマくんの事、生活指導の先生みたいな存在だと捉えているんですね。普段は憎まれ役だけど、膝を突き合わせて話せば正しい方向へと導いてくれる。だから、漫画を読んでる時点からウシジマくん側を応援してましたもん。『よく言ってくれた!』って。やっぱり悪い人間には天誅を下さないと」
──芝居についても聞きたいのですが、前回ご登場時も質問しましたが今回の演技は何点ですか?
「前は何点って言いました?うーん、経験が少ない僕みたいな芸人をキャスティングして頂いたし全力を出したから100点!」
──それって以前とまったく同じ点数ですよ(笑)
「いや~っ、恥ずかしい!前とマインドが変わっていないっていうのがすごく恥ずかしい!!でも100点と言わせてください」
──今、上り調子ですし。
「いい気にならないように気をつけます。本業の調子がいいからこそこういう有り難いお話が派生するんであって、だからこそ本業の芸人で絶えず売れたいな、という気持ちがあるんですよね」
──全然天狗になっていませんね。
「これまで4回ぐらいしくじってるんで、さすがに天狗のなり方もマイルドになってきてるんですよ。でも天狗になる時期は成功の証でもありますから、『アイツ調子乗ってんな』と言われるぐらいのほうが仕事はできるはずです」
──そういうものなんですか?
「何も言われない人は目立っていない事の裏返しだし、自分の魅力が人に伝わってないって事でもありますよね。昔からよく言われていますけど『やっかまれるぐらいが注目を集めてる証拠』だと思う事にしてます。この説は、僕には貫通するほどめちゃめちゃぶっ刺さってます(笑)人に叩かれたり揶揄される事を恐れていたらいい仕事はできない。言われた時に修正すればいいだけだと信じて突き進みます!」
INFORMATION
■映画『闇金ウシジマくん Part3』
INFO&STORY
山田孝之主演の人気シリーズ映画化第3弾。容赦のないハードな描写が人気を博し、累計発行部数1000万部を突破した真鍋昌平氏によるコミックが原作。困窮する客に超暴利で金を貸し付けるアウトローの金融屋「カウカウファイナンス」の社長ウシジマの活動を通じ、債務者の生きざまを鋭く抉り出す。ドラマ版Season3がMBS、TBSほかで放送中。。映画化第4弾となる『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』は10月22日(土)公開。
CAST&STAFF
出演/山田孝之・綾野剛・本郷奏多・白石麻衣・筧美和子・最上もが・マキタスポーツ・山田裕貴・前野朋哉・矢野聖人・児嶋一哉・さくらゆら・岸井ゆきの・水澤紳吾・山下容莉枝・大杉漣・藤森慎吾・浜野謙太・高橋メアリージュン・崎本大海・やべきょうすけ
原作/真鍋昌平「闇金ウシジマくん」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
監督/山口雅俊
脚本/福間正浩・山口雅俊
主題歌/Superfly「心の鎧」(ワーナーミュージック・ジャパン)
配給/東宝映像事業部=S・D・P
公式HP
9月22日(木・祝)ロードショー
(C)2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会
PROFILE
藤森慎吾(ふじもり・しんご)
1983年3月17日生まれ 長野県諏訪市出身
中田敦彦とコンビを組む、お笑いコンビ・オリエンタルラジオのツッコミ担当。バラエティを中心に人気で俳優、歌手としても活躍。デビュー間もなく「武勇伝」ネタで一躍注目を浴び、近年は「君、かわうぃーね」などの決め台詞で、〝チャラ男〟のキャラクターで知られる。また、オリエンタルラジオ率いる音楽ユニットRADIOFISHでは8月26日(金)に赤坂BLITZでライブ「PERFECT SUMMER」を開催する。映画出演はほかに「津軽百年食堂」「オムライス」「幸運の壺 Good Fortune」、声の出演「モンスター・ホテル」「映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」「モンスター・ホテル2」など。日本語吹き替え版で声優を務めた「ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影<シャドウズ>」は8月26日全国公開。
公式Twitter
■映画『闇金ウシジマくん Part3』
INFO&STORY
山田孝之主演の人気シリーズ映画化第3弾。容赦のないハードな描写が人気を博し、累計発行部数1000万部を突破した真鍋昌平氏によるコミックが原作。困窮する客に超暴利で金を貸し付けるアウトローの金融屋「カウカウファイナンス」の社長ウシジマの活動を通じ、債務者の生きざまを鋭く抉り出す。ドラマ版Season3がMBS、TBSほかで放送中。。映画化第4弾となる『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』は10月22日(土)公開。
CAST&STAFF
出演/山田孝之・綾野剛・本郷奏多・白石麻衣・筧美和子・最上もが・マキタスポーツ・山田裕貴・前野朋哉・矢野聖人・児嶋一哉・さくらゆら・岸井ゆきの・水澤紳吾・山下容莉枝・大杉漣・藤森慎吾・浜野謙太・高橋メアリージュン・崎本大海・やべきょうすけ
原作/真鍋昌平「闇金ウシジマくん」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
監督/山口雅俊
脚本/福間正浩・山口雅俊
主題歌/Superfly「心の鎧」(ワーナーミュージック・ジャパン)
配給/東宝映像事業部=S・D・P
公式HP
9月22日(木・祝)ロードショー
(C)2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会
PROFILE
藤森慎吾(ふじもり・しんご)
1983年3月17日生まれ 長野県諏訪市出身
中田敦彦とコンビを組む、お笑いコンビ・オリエンタルラジオのツッコミ担当。バラエティを中心に人気で俳優、歌手としても活躍。デビュー間もなく「武勇伝」ネタで一躍注目を浴び、近年は「君、かわうぃーね」などの決め台詞で、〝チャラ男〟のキャラクターで知られる。また、オリエンタルラジオ率いる音楽ユニットRADIOFISHでは8月26日(金)に赤坂BLITZでライブ「PERFECT SUMMER」を開催する。映画出演はほかに「津軽百年食堂」「オムライス」「幸運の壺 Good Fortune」、声の出演「モンスター・ホテル」「映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」「モンスター・ホテル2」など。日本語吹き替え版で声優を務めた「ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影<シャドウズ>」は8月26日全国公開。
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一