任侠映画を牽引してきたレジェンドといえばこの御方、小沢仁志アニキ。若かりし頃はプライベートで数多くの喧嘩列伝を持ち、“顔面凶器”というコワモテのルックスながら、テレビで見せる柔和な一面にファンになる人続出中。ネットでも“小沢アニキ”と慕われる小沢さんが主演した映画『CONFLICT~最大の抗争~』の話を皮切りに、今後の任侠映画界のこと、そして普通の男は真似できない驚きの遊び方を独占公開!
この業界に俺がいるであろう時間はあと3〜5年ぐらいかもしれない
──完成作を観ましたが、2時間43分あるとは思えないほどすぐ時間が過ぎてしまう傑作でした!「よくあんな長いの作りやがったよね(笑)でも本筋と関係ないところで有名なヤツを無駄にたくさん呼んでるから、尺を短く切れなかったんだろうねえ」
──確かに。パチンコ屋のシーンがカットされてしまったら…。
「品川(祐)は出番なくなっちゃうだろ? 街の場景をバーンと撮った後で(渡辺)裕之さんを映せば、諸星(和己)は出てなくても実は支障がないわけだし。白竜さんなんかすごい重要なシーンに登場してるのに『あれ、1日で撮影終わりですか?』って感じだったもんな。的場(浩司)なんて好き勝手暴れて楽しくてオイシイ役なのに、割りと早く撮影が終わったし。この手の作品は登場人物が多いけど、役名まで全部が全部分からないまでも役者の顔で覚えられるから、昔の『仁義なき戦い』と一緒。そういう意味じゃ、観る側にとっては親切な作品と言えるかもしれない」
──アクションシーンがカッコいいのも『仁義ーー』と共通点かと。
「そう言ってもらえると嬉しいけど、日本の撮影で使う本物じゃない銃は俺に言わせればオモチャだね。軽すぎる。そういう風には見せないけど、日本の銃で空砲を撃っても俺の中でイマイチ臨場感が沸かないから燃えないんだよな。まあ、今回の鷲尾一馬役ではあんまり銃を撃つ機会もなかったけど俺、フィリピンのコンバットチームと一緒に何万発も撃つ訓練してきてるからそう感じるんだと思う。だから海外ロケでアクションを撮影するのってすげえ楽しいんだよね。海外なら本物の銃を使うから、余計な気を回す必要がないし」
──本作では銃撃戦はないにしても、久々のアクションでかなり楽しかったそうですね。
「まだ体が充分動くのに組長みたいな座って卓上の議論ばっかりしてる役は飽きるのよ。老けてくような気がするし。だから(哀川)翔さんとのアクションもすげえ楽しかった。翔さんが左手に付けた鉤爪、俺はクワガタにしか見えなかったけど。そっちが仮面ライダー、クワガタのキャラで来るなら顔を傷つけられた俺は『燃えよドラゴン』のオマージュでブルース・リーやっちゃうよ、って感じで、裏設定を仕込んでたんだよね、自分の中で。あと今回の映画で俺が一番面白かったのは、今のメインが誰で、次世代は誰が来るのかが分かりやすいところ。映画を観れば(本宮)泰風はスターだっていうのが分かると思う」
──本宮さんもオイシイ役ですよね。
「組のトップの俺が仲間を背負って『おしん』みたいに後半まで耐え抜いてる間に、泰風は女とイチャイチャしやがってさ。しかもラストで一番いいところ持っていくんだよね。次世代の育成は俺の宿題でもあるから嬉しいけどさ。この業界に俺がいるだろう時間はあと3~5年だと思ってるし」
──そんなに残り少ないんですか!?
「もういいじゃん。ずっとこの道しか経験してこなかったから、違う世界を見たいんだよね。今はドラマが面白くないし、映画もほぼテレビと連動してるでしょ。Vシネは長いことやってきてあの土壌があったからこそ今の俺がいると感謝してるから、恩返しはするよ。次の世代にバトンタッチしてもVシネが繁栄していくような形を作るのが俺がやらなくちゃいけないことだと思ってる。その形が3~5年で構築できたらもういいだろうと…」
寝る時間を削って不自由な中から自由を探すから遊びが充実する
──…ファンが悲しみますよ。小沢さんが後輩をどのように指導している かもお聞きしたいです。「芝居うんぬんより、俺が思う役者道というか、スピリッツ的なことをずっと教え込んでる。俺、サラリーマンを尊敬してるんだよね。だって彼らが日本を支えてるわけじゃん。で、俺らはその人たちに夢を売ってギャラを貰ってる。だけど俺らはその人たちが1ヶ月頑張って稼ぐ金を3~4日で稼いじゃうわけでしょう。だからなぜかって理由を後輩に教えてる」
──その理由って何ですか?
「大人になればなるほど辛いこと、悲しいことを切り捨てる処世術を身につけるから、大人になるとどんどん心が閉じていってさ、『感動しなくなったよね』とか、みんなよく言うでしょう。でも役者である俺たちが負の感情を切り捨てていったら、観てくれる人と何も変わらないじゃん。俺たち役者は作品の中でみんなが背負えない痛みとか苦しみを開いて見せる必要がある。だから常に俺たちは引き出しとして持っておかなきゃいけなくて、常に辛いその分、金がいいんだよ、と教えてる。芸能人だから金がいいとか思ってたら先はないよと。そういうプライドを持って生きていれば、道も間違えないでしょ。調子こいてクスリに走るヤツもいないと思うし。若い時は多少『俺はイケてる』と勘違いして飲み代にバーンと金を使うような、そういう時代も通らなきゃいけないとは思うけどね。実際、俺もそうだったし。そこで暴力事件が起こったりもしたわけだけど、今は一発アウトだからさ。だから俺、今はよほどのことがない限り、六本木だの西麻布とかには行かない。知り合いたくもないロクでもないヤツばっかり寄ってくるから。特に俺らの仕事は呼んじゃいねえのに向こうから寄ってくるっていうのがあるんだよ。じゃあ、出向かなきゃいいってことで今は新宿二丁目いるのが一番!」
──なぜ新宿二丁目なんですか?
「トラブルと無縁の街だから。ゲイたちには、『この二丁目で己の煩悩をオモチャみたいに放出しまくってるのアンタだけよ!』と嘆かれてるけどね。ゲイバーに遊びに来てる銀座のホステスを持ち帰るとか、挙げ句の果てに今、レズビアンバーに行って余ってる女の子を持ち帰ってるからね(笑)あれが一番、揉めない。『俺、女の次でいいから河岸を変えて飲み直そう』と誘って『うん』って答えたら持ち帰り決定だよ。だって俺とどうこうしたって、最後は女のところに戻ればいいんだから。餌づけ済みの後輩役者にバンバン酒飲まして『俺が行った時に、俺のタイプの子がいたら目配せしろよ』って指導してる(笑)しかも飲み代を奢ろうがセット料金2000円とか激安だから、縦横無尽に遊び倒してて最近、出禁になるかもって思うよ(笑)今はこれが一番楽しい遊びだね」
──ハードスケジュールで仕事をこなしているのに、遊びにも力を注ぐってすごいパワフルですね。
「仕事が忙しい分、寝る時間を削って遊ぶから遊びが充実するんだよ。不自由な中にある自由を探すから充実するけど、自由な時に自由な時間って探せないでしょ。翌日に仕事があるほうが、割りとバカ飲みもしないし」
──なるほど。そして今は新宿二丁目が一番楽しいと。
「今となってはクラブとかキャバクラで高い金払ってるヤツらの気がしれねえ。そういう場所はもう、興味ないからさ。だって銀座のホステスなんか、待ってりゃ来るんだから。でも二丁目ならヤツらのテリトリーと違うじゃん。あっちからすれば二丁目はバカンスに来てる感覚だから持ち帰りできるわけ。『たまには店、行ってやろうか?』って気を遣っても『来ないで!雰囲気でバレるから。会うなら二丁目にしましょう』って言うから、安上がりでいいよ」
──この記事を読んだ20~30代読者が真似しそうですが…。
「やれるモンならやってみな。最近ホント、若い男がショボいおかげでおっさんがモテて有り難い。若いヤツに感謝してますよ。お前らしっかりしろよ!なんてつまんねえこと言わないから、どうぞ俺が死ぬまでそのくだらないまんまでいて下さい。その代わり、俺がモテまくっておくから。アニキのためにずーっと、そのふしだらな駄目なままのガキでいて頂戴。そうするとアニキ、モテまくるからさ。『アイツばっかりモテて冗談じゃない』と思うなら、ちゃんとしろよバカヤロー!と言いたいね。ちゃんとするなら、俺が少しだけ女を分けてやる」
──じゃあもし、今回の映画を観ずに小沢さんに嫉妬したら…。
「女なんか絶対分けてやらねーよ。映画観ないヤツは女没収。そういうヤツらは彼女いないだろうから、周りの女友だちから俺が食って没収するから覚悟しておけよ!」
INFORMATION
■映画『CONFLICT~最後の抗争~』
INFO&STORY
日本最大のヤクザ組織・天道会の傘下になる兵頭組の組長が殺害され、天道会若頭で鷲尾組組長の鷲尾一馬(小沢仁志)は、兵頭殺しの背後に、元天道会若頭補佐で今は東京の半グレやアウトローを仕切る明神良成(哀川翔)の存在を嗅ぎ取る。そんな折、天道会5代目会長の勝重(白竜)から、「東京カジノ計画」の利権争いの鍵を握る遠山凪(堀田茜)という女性の身柄を押さえるよう命じられた鷲尾は、子分を連れて行動に出るが、そこで武装した若者たちに襲撃される。オールイン エンタテインメント20周年記念作品でもある。
CAST&STAFF
出演/小沢仁志/本宮泰風・中野英雄・大沢樹生・元木大介・赤井英和・山口祥行・堀田茜・永倉大輔・高岡奏輔・遠藤要・遠藤章造(ココリコ)・品川祐(品川庄司)・IZAM・岡崎二郎・成瀬正孝・本田博太郎・松田一三・津田寛治・渡辺哲・六平直政・菅田俊・渡辺裕之・小沢和義・鶴田さやか・諸星和己・的場浩司・白竜/哀川翔ら
監督・脚本/藤原健一
配給/オールイン エンタテインメント
公式HP
5月28日(土)全国順次公開
PROFILE
小沢仁志(おざわ・ひとし)
1962年6月19日生まれ 東京都出身
84年にTBSドラマ「スクール☆ウォーズ」で俳優デビュー。映画、テレビドラマ、オリジナルビデオ(Vシネマ)などで活躍。俳優業に留まず監督、プロデューサーとしても多くの作品を手掛けている。主な出演作品に、映画「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ、「SCORE」「DEAD OR ALIVE 犯罪者」「新・仁義なき戦い。」「忍たま乱太郎」など、テレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」「エリートヤンキー三郎」「素浪人 月影兵庫」など。07年に俳優生活25周年記念映画「太陽が弾ける日」が公開された。近年の出演映画に監督・脚本も担当した「二代目はニューハーフ」や、「新大久保物語」「鷲と鷹」「25 NIJYU-GO」「Zアイランド」などがある。空手二段、柔道初段、剣道初段の腕前。
公式ブログ
■映画『CONFLICT~最後の抗争~』
INFO&STORY
日本最大のヤクザ組織・天道会の傘下になる兵頭組の組長が殺害され、天道会若頭で鷲尾組組長の鷲尾一馬(小沢仁志)は、兵頭殺しの背後に、元天道会若頭補佐で今は東京の半グレやアウトローを仕切る明神良成(哀川翔)の存在を嗅ぎ取る。そんな折、天道会5代目会長の勝重(白竜)から、「東京カジノ計画」の利権争いの鍵を握る遠山凪(堀田茜)という女性の身柄を押さえるよう命じられた鷲尾は、子分を連れて行動に出るが、そこで武装した若者たちに襲撃される。オールイン エンタテインメント20周年記念作品でもある。
CAST&STAFF
出演/小沢仁志/本宮泰風・中野英雄・大沢樹生・元木大介・赤井英和・山口祥行・堀田茜・永倉大輔・高岡奏輔・遠藤要・遠藤章造(ココリコ)・品川祐(品川庄司)・IZAM・岡崎二郎・成瀬正孝・本田博太郎・松田一三・津田寛治・渡辺哲・六平直政・菅田俊・渡辺裕之・小沢和義・鶴田さやか・諸星和己・的場浩司・白竜/哀川翔ら
監督・脚本/藤原健一
配給/オールイン エンタテインメント
公式HP
5月28日(土)全国順次公開
PROFILE
小沢仁志(おざわ・ひとし)
1962年6月19日生まれ 東京都出身
84年にTBSドラマ「スクール☆ウォーズ」で俳優デビュー。映画、テレビドラマ、オリジナルビデオ(Vシネマ)などで活躍。俳優業に留まず監督、プロデューサーとしても多くの作品を手掛けている。主な出演作品に、映画「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ、「SCORE」「DEAD OR ALIVE 犯罪者」「新・仁義なき戦い。」「忍たま乱太郎」など、テレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」「エリートヤンキー三郎」「素浪人 月影兵庫」など。07年に俳優生活25周年記念映画「太陽が弾ける日」が公開された。近年の出演映画に監督・脚本も担当した「二代目はニューハーフ」や、「新大久保物語」「鷲と鷹」「25 NIJYU-GO」「Zアイランド」などがある。空手二段、柔道初段、剣道初段の腕前。
公式ブログ
Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一