「第39回モントリオール世界映画祭」のワールド・グレイツ部門に出品された映画『赤い玉、』が9月12日から絶賛公開中。助演ながらキラリと光る演技で観客を釘付けにした女優の土居志央梨さんが、キャスティングの裏話や高橋伴明監督の撮影スタイルなど、気さくに語ってくれました。
年上に見られがちで高校生の律子は無理と言われました(笑)
──役はオーディションで決まったそうですが、最初から加藤愛子役を希望したのでしょうか。「実は…脚本を読んで、主演の律子を希望していたんです。劇中で律子がするダンスとピアノ、両方を習っていたので。ダンスに関しては、私はクラシックバレエですけど。でも私、いつもかなり年上に見られるんですね。だから(高橋)伴明さんから『お前が高校生をやったら誰が大学生役をやるんだ』と言われて愛子役になりました(笑)ただ、愛子と自分はリンクする部分が多かったから、むしろよかったと思っていますけど」
──リンクする部分というのは?
「価値観やお芝居に対する姿勢です。愛子は大学で映画の勉強をしている女優志望のコなんですけど、学生同士で映画を撮影してベッドシーンを撮る時に、下着をつけたままでいることに納得していないんです。脱いでもいいという心構えは私も同じでした」
──ほかに愛子と似ている点はありましたか。
「撮影が夏と秋に分かれていて、秋に愛子の所属事務所が決まるシーンを撮ったんですね。私、その撮影の3週間ぐらい前に、今の事務所に入ることが決まったんですよ。境遇が似すぎていてびっくりしました」
──この映画のおかげですね!
「大学に入る前から監督の『火火』を何度も観るほど好きで、どんな役でもいいから伴明さんと関わりたいと思っていましたけど、映画に出たことで幸運を運んで頂けた気がします」
──高橋監督は大学の講師でもあるんですよね。
「私が通っていた俳優コースで教えて頂いたことはないんですけど、生徒全員の前でしゃべってくださったことが今でも印象に残っています。『機材もスタジオもある恵まれた環境にいるんだから、とにかく映画を撮れ』と。作品をご覧頂くと分かるんですけど、まさにあの雰囲気で撮影していました」
男でいるために頑張らないとと感じさせてくれる作品です
──映画監督としての高橋伴明さんは、どのような方でしたか。「とにかくすごくスピーディーに撮影するので、必死に走ってついていかないと追いつけないぐらいでした。次へ次へとどんどん進むので、考える間もなく身体で覚えるという感じでしたね。スタッフの中には入学したばかりの人もいたので、パニックになりながらついていきました。撮影当時、本当の学生だった私たちよりも伴明さんのほうがエネルギッシュだったんです」
──中でも一番大変なシーンは?
「雨の中でタップを踏む撮影です。本当は男の子1人で踊るはずだったんですけど、撮影2~3日前に伴明さんから『土居も踊れ』と言われて、DVDを観て必死に振り付けを覚えました。大学のタップダンスの先生にも助けてもらいましたけど、完全に付け焼き刃です(苦笑)長回しの上に、雨の中、スカートで踊ったから脚が動かないし、撮影が終わったら膝がガクガクしていました」
──あのシーンは見どころの1つでもありますが、男性に作品のメッセージを送るとしたら。
「奥田瑛二さんが演じる時田修次は決して理想の男性像ではないし、情けなく描かれているので、男性が観ると腹が立つと思うんですよ。しかも、律子も、不二子さんが演じた唯も愛子も、それぞれ違う強さを持って時田に接するので、映画を観て、『今のこんな自分じゃダメだ。何クソ!』と思って頂きたいです。いつまでも“男”でいるために頑張らないと!と感じさせてくれるのではないでしょうか」
INFORMATION
■映画『赤い玉、』
INFO&STORY
映画監督の時田(奥田瑛二)は、大学で映画撮影の教べんをとりながら、新作の撮影に入れない状況にいた。自身の経験が映画に投影されると考え、人生を流浪している時田の私生活には、理解ある30代の美しい女性・唯(不二子)がいた。しかし、時田を現実から虚構=映画の世界に誘うかのように女子高生の律子(村上由規乃)が時田の前に現れる。律子という存在により、時田の人生が狂わされていく…。「愛の新世界」の高橋伴明監督が老いと性の間で葛藤する男を描き、「第39回モントリオール世界映画祭」のワールド・グレイツ部門に正式出品された。
CAST&STAFF
出演/奥田瑛二・不二子・村上由規乃・花岡翔太・土居志央梨・山田奈保・上川周作・福田あさひ・吉井優・林諒一・水上竜士・柄本佑・高橋惠子
監督・脚本/高橋伴明
配給/渋谷プロダクション
公式HP
9月12日(土)からテアトル新宿ほか全国ロードショー中
(C)「赤い玉、」製作委員会
PROFILE
土居志央梨(どい・しおり)
1992年7月23日生まれ 福岡県出身
15年に、京都造形芸術大学卒業。在学時に受けたオーディションにより、加藤愛子役で本作に出演。公開待機作に「鉄の子」(福山功起監督)「マンガ肉と僕」(杉野希妃監督)「二人ノ世界」(藤本啓太監督)「ヒメアノ~ル」(吉田恵輔監督)などがある。
公式Twitter
■映画『赤い玉、』
INFO&STORY
映画監督の時田(奥田瑛二)は、大学で映画撮影の教べんをとりながら、新作の撮影に入れない状況にいた。自身の経験が映画に投影されると考え、人生を流浪している時田の私生活には、理解ある30代の美しい女性・唯(不二子)がいた。しかし、時田を現実から虚構=映画の世界に誘うかのように女子高生の律子(村上由規乃)が時田の前に現れる。律子という存在により、時田の人生が狂わされていく…。「愛の新世界」の高橋伴明監督が老いと性の間で葛藤する男を描き、「第39回モントリオール世界映画祭」のワールド・グレイツ部門に正式出品された。
CAST&STAFF
出演/奥田瑛二・不二子・村上由規乃・花岡翔太・土居志央梨・山田奈保・上川周作・福田あさひ・吉井優・林諒一・水上竜士・柄本佑・高橋惠子
監督・脚本/高橋伴明
配給/渋谷プロダクション
公式HP
9月12日(土)からテアトル新宿ほか全国ロードショー中
(C)「赤い玉、」製作委員会
PROFILE
土居志央梨(どい・しおり)
1992年7月23日生まれ 福岡県出身
15年に、京都造形芸術大学卒業。在学時に受けたオーディションにより、加藤愛子役で本作に出演。公開待機作に「鉄の子」(福山功起監督)「マンガ肉と僕」(杉野希妃監督)「二人ノ世界」(藤本啓太監督)「ヒメアノ~ル」(吉田恵輔監督)などがある。
公式Twitter
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら