「元アイドルが遊び感覚で映画を撮ったと思われたくない反骨精神があって、かなり真剣に取り組みました。男同士の友情、警察とヤクザの癒着、薬物撲滅のメッセージがこの作品の三本柱です」
元光GENJIで、犬猿の仲と噂される諸星和己さんを共演者に迎えた映画『鷲と鷹』で大沢樹生さんが大澤樹生名義で監督としての実力を開花! 初メガホンとは思えない、観る者の気持ちを一瞬たりとも離さない秀逸な作り。本作を鑑賞すれば次の監督オファーが来るであろうことも予想できるほどの凄腕を発揮しているので、観なければ絶対に損!! 記者は「“元アイドルが映画を撮った”という、舐めた目で観てゴメンナサイ」とご本人に謝っておきました(笑)
ジャニーズ事務所を敵に回した時以来のビビリですね(笑)
──大澤樹生名義での初監督映画『鷲と鷹』が遂に公開ですね。おめでとうございます。「いやぁ~久しぶりにネガティブになってますよ。だって、作品が評価されなかったらボロクソ言われるのは私じゃないですか。だから、この映画に関しては怖くてネット検索すらできません……正直、ビビってます(苦笑)」
──そのビビリは人生何番目?
「一番はジャニーズ事務所を敵に回した時ですから(笑)二番目ってことになるでしょうね」
──ですが、共演は光GENJIでご一緒だった諸星和己さんですから、話題性は十分かと。
「確かに話題性も肝心ですけど、私が監督第一作目を撮るとなった時に、男同士の友情って作品の軸を、絶対にブレないものにしたかったんですね。で、相方を誰にしようと考えて、観てるお客さんが説得力を感じられて楽しんで頂ける人は…と想像したら、ふと彼の顔が浮かんだんですよ。連絡先すら知らなかったんで、共通の知人に片っ端から電話して捕まえました」
──諸星さんは、本作の宣伝はテレビに出るのみで、活動拠点のアメリカに帰ったんですよね。
「本当にアメリカに帰ってるか分からないですよ。アメリカ村かもしれない(笑)」
──大阪の(笑)お二人はアイドル時代、犬猿の仲と噂されていましたが、ぶっちゃけ実際はどうなんですか。
「それよく聞かれるんですけど、良くも悪くもなかったんですよね。7年間、毎日のように顔を突き合わせてたら、しゃべることもなくなるじゃないですか。当時は生放送の歌番組に出る機会が多かったので、7人常にひとかたまりでいるっていうのも気持ち悪いじゃないですか」
独身の諸星さんに劇中で結婚を体験させようかなと
──劇中では刑事役の諸星さんとヤクザ役の大沢さんの絶妙なコンビネーションを観られますね。「台本の準備段階では、私が刑事の鷹村和也を演じようと思っていたんですよ。でも、本が完成した時に、どうしても私の中で諸星さんがヤクザを演じることが成立しなくて。結構な照れ屋なんで、相当照れの入ったヤクザになっちゃうんじゃないかと。それに、彼は実生活では独身ですけど、鷹村は結婚してますので、劇中で結婚の体験でもさせてあげようかなと(笑)結果オーライでしたけどね」
──小沢仁志さんを刑事役に抜擢するのは意外でした。
「小沢さんをヤクザで使ったら素人なんですよ(笑)菅田(俊)さんは普段はとても穏やかな方なんですけど、今回はアンチヒーローを演じて頂きました。おりも(政夫)さんも(ビート)きよし師匠も、ご自分なりの演技ビジョンを的確にお持ちになっていたので、手前味噌ではありますが、我ながらのキャスティングだったと思います」
──監督以外にキャスティングもされた、ということですね。
「企画、製作、キャスティング、監督、出演…今回は5役こなしました。脚本に関しては私には才能がないので、映画監督もされていて十数年来親しくさせて頂いている、室賀(厚)さんにお任せしました。室賀さんもそうですけど、出演者のみなさんも、プライベートでよく一緒に飲みに行く方ばかりですね」
──以前から監督業に興味があったそうですが、きっかけは?
「ジャニーズ事務所を独立した後に出たインディペンデント映画『日本製少年』(95年)でしょうか。ロケバスすら準備できないほど予算がない作品で、私が車で俳優陣を移動させたり、ロケ弁を出す予算もないので、ボランティアの炊き出しで賄ったりしたんですね。カルチャーショックではありましたけど、作品に参加してる! と手応えを味わったんです」
ハッタリで始めても慣れが生じて仕事は面白くなる!
──そして今回初監督作となるワケですが、初めてとは思えないほど見事でした。「本当ですか? 褒められると伸びるタイプですから、調子に乗っちゃいますよ(笑)ただ、自分の中では今回の作品で、2つの思いは強かったですけどね。1つは、元アイドルが遊び感覚で映画を撮ったとは思われたくない反骨精神。もう1つは、複雑なストーリーにせず、お客さんを置いてきぼりにしないこと。なので、男同士の友情、警察とヤクザの癒着、薬物撲滅のメッセージ、この三本柱はブレないようにしました」
──ちなみに、監督した経緯は?
「ハッタリですよ(笑)『やってみようかな』なんてつい、口に出していざ実現したら、さあ、どうしようって感じでした。でも、ハッタリでも飛び込んでみればできるものなんです。今の若い人ってすぐ、仕事を辞めちゃうケースが多いでしょう。でも、ハッタリでもいいから歯を食いしばって乗り越えると慣れが生じて、今度は余裕が出てきて面白くなるものなんです。だから私自身は演じたり、今回のような共同制作が大好きだと言えるようになったんです。芸能界特有のチャラさは、いまだに大っ嫌いですけどね」
──では今後の活動の方向性は。
「日本の芸能界は何だかんだ言ってまだテレビがもてはやされてますから、出たいですよ、テレビは。でも、私はこんなコワモテですから、出ても誰もイジってくれず、放置されがちなんですよね(苦笑)映画会社からはこの作品をシリーズ化したいというお話も頂いていて、次の構想もあるんですけど、まずは第一作目の成功が先決ですね」
INFORMATION
■映画『鷲と鷹』
INFO&STORY
鷹村和也(諸星和己)と鷲尾誠司(大沢樹生)は幼なじみ。高校卒業から20年、鷹村は警察官、鷲尾は極道として正反対の人生を歩んでいた。そんな折、麻薬取締り法違反の現行犯逮捕の手柄を立てた鷹村は念願の刑事となる。それは兼ねてからの鷹村の願いを叶えるため鷲尾が仕組んだ策だった。久しぶりの再会を喜ぶのもつかの間、鷲尾が所属する組織と敵対組織によって麻薬がらみの抗争が勃発する。鷹村は捜査のために鷲尾に接触を試みるが…。かつて親友だったふたりの男の意地と誇りが激突する。元光GENJI大沢樹生の大澤樹生名義での第一回監督作品。同じく元光GENJI諸星和己と初共演を果たした。
CAST&STAFF
出演/諸星和己・田中律子・菅田俊・小沢仁志・おりも政夫・竹原慎二・畑山隆則・元木大介・IZAM・ビートきよし・大沢樹生
監督/大澤樹生
脚本/室賀厚
企画・宣伝/オールインエンタテインメント
配給/ユナイテッドエンタテインメント
公式HP
5月24日(土)より新宿ミラノほか全国順次公開
(C)2014「鷲と鷹」製作委員会
PROFILE
大沢樹生(おおさわ・みきお)
1969年4月20日生まれ 東京都出身
87年、アイドルグループ光GENJIのメンバーとしてレコードデビュー。リーダーとして94年の脱退まで活動。光GENJIは爆発的な人気で社会現象にもなった。以降は主に俳優として活躍。11年には東京ジョーのアーティスト名で、約10年ぶりにシングル「ガキの戯言」を発売した。近年の出演作にはドラマ「水戸黄門第41部」「霧に棲む悪魔」、映画「魍魎の匣」「わさお」、舞台「ちはやぶる神の国~異聞・本能寺の変~」「美童浪漫大活劇 八犬伝 <第二部>」などがある。映画はこれまで「怪談 牡丹燈籠 もっともっと愛されたかった。」「捜査線 一LINE OVER一」をプロデュースしたが、本作が初監督作品となった。
公式ブログ
■映画『鷲と鷹』
INFO&STORY
鷹村和也(諸星和己)と鷲尾誠司(大沢樹生)は幼なじみ。高校卒業から20年、鷹村は警察官、鷲尾は極道として正反対の人生を歩んでいた。そんな折、麻薬取締り法違反の現行犯逮捕の手柄を立てた鷹村は念願の刑事となる。それは兼ねてからの鷹村の願いを叶えるため鷲尾が仕組んだ策だった。久しぶりの再会を喜ぶのもつかの間、鷲尾が所属する組織と敵対組織によって麻薬がらみの抗争が勃発する。鷹村は捜査のために鷲尾に接触を試みるが…。かつて親友だったふたりの男の意地と誇りが激突する。元光GENJI大沢樹生の大澤樹生名義での第一回監督作品。同じく元光GENJI諸星和己と初共演を果たした。
CAST&STAFF
出演/諸星和己・田中律子・菅田俊・小沢仁志・おりも政夫・竹原慎二・畑山隆則・元木大介・IZAM・ビートきよし・大沢樹生
監督/大澤樹生
脚本/室賀厚
企画・宣伝/オールインエンタテインメント
配給/ユナイテッドエンタテインメント
公式HP
5月24日(土)より新宿ミラノほか全国順次公開
(C)2014「鷲と鷹」製作委員会
PROFILE
大沢樹生(おおさわ・みきお)
1969年4月20日生まれ 東京都出身
87年、アイドルグループ光GENJIのメンバーとしてレコードデビュー。リーダーとして94年の脱退まで活動。光GENJIは爆発的な人気で社会現象にもなった。以降は主に俳優として活躍。11年には東京ジョーのアーティスト名で、約10年ぶりにシングル「ガキの戯言」を発売した。近年の出演作にはドラマ「水戸黄門第41部」「霧に棲む悪魔」、映画「魍魎の匣」「わさお」、舞台「ちはやぶる神の国~異聞・本能寺の変~」「美童浪漫大活劇 八犬伝 <第二部>」などがある。映画はこれまで「怪談 牡丹燈籠 もっともっと愛されたかった。」「捜査線 一LINE OVER一」をプロデュースしたが、本作が初監督作品となった。
公式ブログ
Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一