「男性は、周りの人をいかに守るかという人生の軸を作る時の参考に女性には、悲しい運命を辿る健気で優しい女性たちの悲劇と涙を観て頂きたいですね」
映画『レッドクリフ』の監督で知られるジョン・ウー氏が製作総指揮を務め、デビュー作が台湾映画史上歴代1位の大ヒットを記録したウェイ・ダーション監督がメガホンを執った映画『セデック・バレ』。日本が台湾を統治していた史実に基づいた迫力ある映像は、観ると価値観をかき乱されること必至だ。4時間半にも及ぶこの大作で青年期のモーナ・ルダオを演じ、俳優デビュー飾った台湾原住民出身のダーチン(大慶)さんに、作品の魅力を語ってもらいながら素顔も披露して頂きました!
激しい面はあるけどモーナほど凶暴じゃないです(笑)
──劇中でのアクションに圧倒されました。さすが、幼い頃からお父様の訓練を受けて、狩りや山での生活が朝飯前だけのことはありますね!「男は女性を守るべき存在だから、強くなくちゃね…って、こんなことを言うと何でもできそうに受け取られそうだけど、そんなことはなくて(笑)できる限りの力を出し切って必死に頑張ったんですよ。ただ、台湾には兵役があって僕は歩兵部隊にいたから、銃の扱いには慣れていましたけどね」
──そんなダーチンさんでも苦労したシーンは?
「川の渦巻きを外して飛び込まなければならなかったシーンですね。渦の中に飛び込むと抜け出られなくなってしまうので。戦闘シーンが多いから、キャストとスタッフはケガから感染する病気にも悩まされたんですよ。致死率60%と言われるツツガムシ病に、20人近くも感染したんです。幸いにも僕はそういった恐れのある場所で戦うシーンはなかったんですけど、撮影は命懸けでした」
──モーナ・ルダオ役とご自身の相違を教えて下さい。
「僕は早寝早起きを徹底していて、たくさん寝るほうですね。身体を動かすことが好きだから仕事の合間にスポーツもしますよ。自然も好きですね。大自然の中に身を置くとリフレッシュできるんです。性格はマイペースでおおらかなほうだと思います。モーナは結構、凶暴な部分を持っている男なんですよ。さすがに僕はあそこまでの凶暴さは持っていませんが(笑)ケンカをした時は激しい一面を見せることもありますよ。男ですからね」
周りの人をいかに守るか!人生の参考になる作品です
──本作が俳優デビューにして主演ですよね。抜擢の経緯は?「小さい頃から香港映画が好きで俳優に憧れていたんですけど、夢は夢のまま、現実的に俳優になるには難しいなと思っていたんですよ。ところが偶然にも壮年期のモーナを演じたリン・チンタイさんの奥さんと僕が知り合いで、奥さんがこの作品のキャスティング担当者と知り合いだったことから紹介してもらって、オーディションに参加させて頂けることになったんです」
──主役に抜擢された理由は?
「僕が選ばれたのは、身体能力と勇ましい目つきが決め手だったと聞かされました。抜擢された時は期待が大きいぶんプレッシャーも大きかったですけど、こうして今、台湾でヒットして名前を知られるようになったのもこの映画のお陰ですから、本当にうれしいですね」
──では、本作への思い入れも強いのでは。
「もちろんです。男性は、周りの人をいかに助けるか守るかという人生の軸を作る時の参考にできる作品なので、観る価値アリですよ! 女性には、悲しい運命を辿っていく健気で優しい女性たちの、悲劇と涙を観て頂きたいですね」
恋人に求めすぎはよくないからハードルは低めですね
──好みの女性のタイプも教えてもらえますか。「えーっ、照れます…どう言おうかなぁ(笑)」
──顔が赤くなりましたね。
「あまり聞かれないから恥ずかしいんですよ。そうですね~、優しくておとなしくて親孝行な子ならそれでいいです。相手に要求し過ぎるのってよくないと思うから、僕はハードルは高く設定しないんですよ」
──最後に質問。和食の好物は?
「刺身と酒と焼肉! 刺身って盛り付けが美しいですよね。日本料理は基本的に好きなんですけど、1人分の量が少ないからたくさん食べたい僕にはちょっと食べ足りないのが唯一の難点ですね(笑)」
INFORMATION
■映画『セデック・バレ第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』
INFO&STORY
1895年から50年間続いた台湾の日本統治時代。その中で起きた原住民セデック族による武装蜂起「霧社事件」を基に渾身の映画化。二部構成の4時間36分に及ぶ、価値観を揺るがす映像で観る者を圧倒する。第一部「太陽旗」では苦しい生活を強いられてきたセデック族の人々が部族の誇りをかけ、武装蜂起するまでが描かれ、第二部「虹の橋」は日本の警察と日本軍による報復、憎しみや家族愛といった感情が交錯する中でセデック族の人々を襲う悲劇が描かれる。
CAST&STAFF
出演/リン・チンタイ ダーチン 安藤政信 マー・ジーシアン ビビアン・スー 木村祐一 ルオ・メイリン ランディ・ウェン
監督・脚本・編集/ウェイ・ダーション
製作/ジョン・ウー テレンス・チャン ホァン・ジーミン
配給/太秦
公式HP
4月20日(土)より渋谷ユーロスペース、吉祥寺バウスシアターほか全国順次ロードショー
(C)Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.
PROFILE
ダーチン(大慶)
1977年9月6日生まれ
宜蘭県南澳郷澳花部落出身のタイヤル族(泰雅族)で、前職はトラック運転手。幼い頃から父親の厳格な訓練を受けていて、狩りや山での生活は朝飯前。狩人のような鋭い目つきに監督が魅了され、多数の候補者の中から主役モーナ・ルダオ(青年期)に抜擢された。本作への出演で俳優としてのスタートを切り、テレビドラマへの出演など新たな世界で飛躍している。
■映画『セデック・バレ第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』
INFO&STORY
1895年から50年間続いた台湾の日本統治時代。その中で起きた原住民セデック族による武装蜂起「霧社事件」を基に渾身の映画化。二部構成の4時間36分に及ぶ、価値観を揺るがす映像で観る者を圧倒する。第一部「太陽旗」では苦しい生活を強いられてきたセデック族の人々が部族の誇りをかけ、武装蜂起するまでが描かれ、第二部「虹の橋」は日本の警察と日本軍による報復、憎しみや家族愛といった感情が交錯する中でセデック族の人々を襲う悲劇が描かれる。
CAST&STAFF
出演/リン・チンタイ ダーチン 安藤政信 マー・ジーシアン ビビアン・スー 木村祐一 ルオ・メイリン ランディ・ウェン
監督・脚本・編集/ウェイ・ダーション
製作/ジョン・ウー テレンス・チャン ホァン・ジーミン
配給/太秦
公式HP
4月20日(土)より渋谷ユーロスペース、吉祥寺バウスシアターほか全国順次ロードショー
(C)Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.
PROFILE
ダーチン(大慶)
1977年9月6日生まれ
宜蘭県南澳郷澳花部落出身のタイヤル族(泰雅族)で、前職はトラック運転手。幼い頃から父親の厳格な訓練を受けていて、狩りや山での生活は朝飯前。狩人のような鋭い目つきに監督が魅了され、多数の候補者の中から主役モーナ・ルダオ(青年期)に抜擢された。本作への出演で俳優としてのスタートを切り、テレビドラマへの出演など新たな世界で飛躍している。
Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一