「障害者の親御さんの理想は『子供より1日長く生きる』ことだから通常ではありえない事件も起きる老々介護も一緒ですから、決して遠い問題ではないと思いますよ」
主演のマコ役に貫地谷しほりさん、マコの父親いっぽん役に竹中直人さん、監督に堤幸彦さんを迎えた映画『くちづけ』が5月25日に劇場公開される。本作は昨年末をもって解散した劇団東京セレソンデラックスの数ある作品の中でも大ヒットし、「魂が震えるほど泣ける!」と大絶賛された秀作だ。原作・脚本と劇中のうーやん役を演じ、タブー視されがちな世界の現実を浮き彫りにした宅間孝行さんが、作品になるまでの道のりを語る! ストーリーに興味が沸かない、という人ほど観ると人生観に何かが加わるはず。ぜひ劇場で鑑賞を!
前言撤回!50代で花開けばいいとしましょうかね(笑)
──前回、登場頂いた時に「40代で花開いていればいい」とおっしゃっていましたが、宅間さんは今42歳。どうですか?「じゃあ、50代で花開けばいいということにしましょうか。何と自分の人生に肯定的な(笑)でもね、この仕事って若い時期に絶頂期を迎えて後にしぼむ人や、晩年に寂しい最期を迎える人もいるでしょう。そういった意味で難しいんですよねえ」
──でも、堤幸彦監督の手で映画化になったのはすごいですよ!
「映画化されるまでって、いろんな段階があって2~3年経つことがザラなんですよ。だけど『くちづけ』に関しては、昨年春に正式決定して、撮影が夏。早かったですね。やるなら今! と即決して正解でした」
──映画化のオファーは複数、受けていたんですよね。
「本当に映画として成立するのか? というのが本音だったんで、そういう意味では映画化オファーの時よりクランクインの時のほうが感慨深かったですね。堤監督がこの作品を本当に愛していてくれて、根本的な方向が同じだったので、信頼して託すことができました。喜怒哀楽がたくさん詰まった作品になりました」
障害者家族の悩みも老々介護も同じで遠くはない問題
──本作の原案は新聞の三面記事に載っていた事件だとか。なぜその記事に注目したんですか。「記憶が確かなら10年近く前、僕の劇団に出演していたキャストのお父さんが、隣の家を買い取ってグループホームを経営していたんです。当時僕は、知的障害、身体障害、精神障害の区別は明確ではなかったし、差別はしていないけど知識は足りてなかったと思う。身近に関係者がいたこともあり、その時期に記事を目にして、衝撃を受けたんです」
──『うーやん』のキャラクター作りのヒントはそこから?
「取材のためホームの様子をビデオで撮影してもらったんですね。そうしたら超ハイテンションの男のコがいて『これだ!』と。あと、東京・恵比寿の明治通りを1本入ったところにも1軒あるんですけど、当時家から5分ぐらいの場所に住んでいたのに知らなくて、そこにいた女のコも印象に残って。2人を掛け合わせたのが、モデルです」
──私たちが知らない現実が浮き彫りにされていますね。
「障害者の親御さんの理想って『子供より1日長く生きる』ことなんです。だから、通常ではありえない事件も起きる。老々介護も一緒ですから、決して遠い問題ではないと思いますよ」
「間違われちゃった男」で興味を持ったら映画館へ!
──原作小説の執筆も手掛けられました。「こんなに活字に触れ合う商売をしているのに、書き方がまったく違い目からウロコでしたね。でも正直、割に合わない。報われなければもう書かないかもしれません(笑)」
──その苦労も合わせると、本作への思いもひとしおなのでは。
「ですね。ドカントの読者って20~30代男性ですよね? なら4月から放送される僕が脚本と演出を担当するドラマ『間違われちゃった男』を観て、面白そうだなと思ったらこの映画を観て下さいよ。古田新太さんを主演に迎えた、女性客をまったく無視したキャスティングですから(笑)これ、古田さんに怒られるかなあ」
──プライベートの話も。ネットスーパーでの買い物にハマっているとか。
「僕、料理が得意なんですよ。結婚してる時は台所を汚すからって理由でいじらせてもらえなかったんですけど、普通の女の子が見たら引くぐらいの手際の良さですよ。今の家は大きなオーブンレンジが付いているから今度、ローストビーフを焼いてみようかと。美味しいものを作って客をもてなすことと、いい作品を作って喜んでもらうこと。料理と仕事って似ているから好きなんでしょうね」
INFORMATION
■映画『くちづけ』
INFO&STORY
知的障害のため、心は7歳児のままの女性マコは、元人気漫画家の父親いっぽんに連れられ、知的障害者の自立支援グループホームひまわり荘にやってくる。無邪気で陽気な住人たちに囲まれ、のびのびと日々を送るマコは、そこで出会った男性うーやんにも心を開いていく。ようやく見つけた理想の場所で娘が幸せになれば、いっぽんも漫画家として復帰できるかと思われたが、やがてひまわり荘の一同に厳しい運命がふりかかる。劇作家で俳優の宅間孝行が主催し、12年をもって解散した劇団東京セレソンデラックスの名作舞台を、堤幸彦監督、貫地谷しほり主演で映画化。
CAST&STAFF
出演/貫地谷しほり・竹中直人・宅間孝行
田畑智子・橋本愛・岡本麗・嶋田久作・麻生祐未・平田満
監督/堤幸彦
原作・脚本/宅間孝行
配給/東映
公式HP
5月25日(土)より全国ロードショー
(C)2013「くちづけ」製作委員会
PROFILE
宅間孝行(たくま・たかゆき)
1970年7月17日生まれ 東京都出身
97年、劇団「東京セレソン」を旗揚げ。01年に「東京セレソンデラックス」と改名し、脚本・演出家としてはサタケミキオの名前で活動。09年にサタケミキオから宅間孝行に名前を統一。脚本家としてはドラマ「花より男子」シリーズ(TBS)「魁!セレソンDX」(テレビ東京)「歌姫」(TBS)「スマイル」(TBS)、映画「ヒートアイランド」「同窓会」「愛と誠」などを手掛けた。4月スタートのフジテレビ系「間違われちゃった男」(土曜午後11時)では脚本、監督を担当。同名小説が幻冬舍から4月下旬発売。
公式HP
公式Twitter
■映画『くちづけ』
INFO&STORY
知的障害のため、心は7歳児のままの女性マコは、元人気漫画家の父親いっぽんに連れられ、知的障害者の自立支援グループホームひまわり荘にやってくる。無邪気で陽気な住人たちに囲まれ、のびのびと日々を送るマコは、そこで出会った男性うーやんにも心を開いていく。ようやく見つけた理想の場所で娘が幸せになれば、いっぽんも漫画家として復帰できるかと思われたが、やがてひまわり荘の一同に厳しい運命がふりかかる。劇作家で俳優の宅間孝行が主催し、12年をもって解散した劇団東京セレソンデラックスの名作舞台を、堤幸彦監督、貫地谷しほり主演で映画化。
CAST&STAFF
出演/貫地谷しほり・竹中直人・宅間孝行
田畑智子・橋本愛・岡本麗・嶋田久作・麻生祐未・平田満
監督/堤幸彦
原作・脚本/宅間孝行
配給/東映
公式HP
5月25日(土)より全国ロードショー
(C)2013「くちづけ」製作委員会
PROFILE

1970年7月17日生まれ 東京都出身
97年、劇団「東京セレソン」を旗揚げ。01年に「東京セレソンデラックス」と改名し、脚本・演出家としてはサタケミキオの名前で活動。09年にサタケミキオから宅間孝行に名前を統一。脚本家としてはドラマ「花より男子」シリーズ(TBS)「魁!セレソンDX」(テレビ東京)「歌姫」(TBS)「スマイル」(TBS)、映画「ヒートアイランド」「同窓会」「愛と誠」などを手掛けた。4月スタートのフジテレビ系「間違われちゃった男」(土曜午後11時)では脚本、監督を担当。同名小説が幻冬舍から4月下旬発売。
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Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一