芸人、役者、映画監督とマルチに才能を発揮する板尾創路さんの主演映画「電人ザボーガー」が10月15日から絶賛公開中! 危険が伴うバイクスタントは事務所に隠して挑戦するという意気込みぶり。本作の魅力や来年公開される監督第2弾作品について、さらには人生哲学についても徹底的に話を聞きました。テレビでは見る機会が少ない“板尾節”は必読です!!
大河的に描かれた人間ドラマとスタントを楽しんで下さい
新宿のルミネtheよしもとで開催されるライブに出演するため控え室でスタンバイしていた板尾創路さんに独占密着! 最新主演映画や人生観を聞いてきました!! ──映画「電人ザボーガー」が公開中ですね。本作のオリジナル版は74年からテレビ放送されていましたが、板尾さんはそれを覚えていましたか。
「当時は11歳ですから覚えていました。だから今回、映画化されると聞いて、しかも自分が主演に選ばれるなんて、すごいことだな、と思いましたね」
──映画は2部で構成されていて、1部は青年編、2部は熟年編。板尾さんは第2部で主演の大門豊役を演じているんですよね。
「自分のようなオッサンがヒーローを演じられるなんて、素晴らしい脚本ですよ。撮影当時、自分は役と同じ47歳だから等身大で演じられる。足が上がらなくても、走れなくても、かえってリアル。僕にもってこいの役柄でした」
──役づくりはどのように。
「実在し得ない人物ですから、いかに当たり前のように演じるか、堂々と演じて役柄を正当化するかに重点を置きました。井口(昇)監督からは、『今まで見せたことがないような、躍動感があって全速力で走るような姿を見せてほしい』と言われたので、リクエストには精一杯の力でお応えしたつもりです」
──所属事務所に内緒でバイクスタントに挑戦した、というのは本当ですか!?
「そうなんですよ。スタントの乗り方って普通とは違うから、結構怖くて大変でした。監督からもずいぶん無理なお願いをされて『どこまでやらせる気だ、調子に乗りやがって』と我慢して指示を聞いた、というのは冗談ですが、撮影中はアドレナリンがすごく出てきて。みんなも頑張っていたから、僕も頑張れたらそれでいいと思えていたんですよね」
──練習時間はどのくらいで?
「練習したのは本番までの待機時間だけです。バイクのスタントだけに時間と費用を割いていたら、どんどん制作費が高騰してしまいますから。スタントって実は運動神経は関係なくて、操作のコツを覚えればいいだけですから、それほど時間はかかりませんでした。自分でスタントしたシーンを完成作で観たら、なるほどね…と思いましたよ。そのシーンはグリーンバックで撮影して、後からCGを合成しているんですけど、合体させるとこうなるのか、と。もし今後、自分でCGを使うような特撮作品を撮ることになった時の勉強にもなりましたね」
──見どころを教えて下さい。
「1部はオリジナルを大切にした作りで、アナログな電人ザボーガーが楽しめます。僕が出ている2部はCGを駆使しているので、是非そこを楽しんで頂ければ。2部は電人ザボーガーの現代デジタル版といったところですね」
──特にココを観てほしい、という場面はありますか。
「コミカルな内容なんですけど、その中に親子愛、家族愛、兄弟愛といった絆が描かれているから、その人間ドラマの部分を掘り下げて鑑賞して頂きたいです。人間ドラマのところは大河的に描かれているから分かりやすいですし、どの世代の人が観ても共感してもらえるはずです」
ネタは思い浮かんだ時が使いドキだからメモで残しません
──本作以外では来年1月に板尾さんが監督・脚本・主演を務めた映画 「月光ノ仮面」が公開ですね。どんな内容なのでしょうか。「敗戦直後の昭和22年が舞台で、僕が演じる落語会のホープ森乃家うさぎが一切の記憶をなくして、帰郷するところから話が始まります。古典落語の世界を描いたから、浅野忠信さんや前田吟さん、後輩のカラテカ矢部(太郎)くんには落語をみっちりと練習してもらったんですけど、それが大変だったろうな、と思います。僕も古典落語をイチから調べたので大変でしたし。まぁ、好きなことをしているから、調べることは苦ではありませんでしたけど」
──監督デビュー作「板尾創路の脱獄王」に引き続いて、時代設定は過去なんですね。
「前作を撮って確信したことなんですけど、現代の話より過去や未来を映像化するほうが数倍、面白いんですよ。だから絶対に、今回も時代物にしたかったんです。僕は脚本の次にキャスティングが重要だと信じているんですけど、浅野忠信さんと石原さとみさんは、イメージ通りというか、期待以上に役にはまっていますね。全体的に非常に良い映像が撮れているので、劇場で作品を観てもらいたいですね」
──板尾さんは監督、芸人と発想力が肝の仕事をされていますが、どうやって鍛えていますか。
「特に意識をしたことはないんですよ。生きていると、本や他人から無意識に情報を吸収していますよね、人は。その無意識に吸収したことが、いざという時に思い浮かぶ感じです。僕は、思い浮かんだことはメモをしない主義です。大切なことは、メモをしなくても忘れないですし、僕のような仕事はネタを寝かせるのは良くなくて、瞬発力勝負というか“今”思い浮かんだことがすべてなんですよ。じゃないと、時代の流れにも乗れないんですよね」
何でも挑戦した後に勝てない分野は撤退して引き算の努力を
──板尾さんのように、好きなことを仕事にするには、どうしたらいいですか?「僕は子どもの頃から、何が何でも芸人になる! とは考えていなかったんですよ。漫才ブームを目の当たりにして、『自分にもできるかな』と思って始めた程度。若い時なら誰でも感じることと同じ動機で始めてるんです。最近やっと、好きな仕事をしているっていう実感が沸きましたけど」
──具体的に実感が湧いたのは…?
「自分が表現したものが評価されるようになってからでしょうか。いつ、とは具体的には覚えていませんけど、たぶん10年ぐらい前にはなるでしょうね」
──そういう風に、仕事で手応えを感じるためには?
「う?ん、どうなんでしょうね。僕が20代の頃は、仕事は選ばず何でもチャレンジしていました。とりあえずやってみるんですけど、人に勝てない分野ってありますよね。そういう部分は、潔く切り捨てる。努力することは大切ですけど、すべてにおいて努力するのって、しんどいじゃないですか。だから、全部やってみてから引き算。引き算の努力も勇気がいるけど大事なのでは、と」
──その方法でも、好きなことを仕事にできなかったら…?
「挫折したから辞めてしまうっていうのは、寂しい話ですよね。趣味で続けていれば、いつかまたチャンスが巡ってくるかもしれないじゃないですか。だからもし、仕事にできなくても、趣味でも好きなら一生、続けたらいいと思いますよ。好きなことをしている時って幸せですから…って、マジメなことばっかり話し過ぎた気がします。ここでもう1回、最後に電人ザボーガーの宣伝をしてもいいですか?」
──どうぞ、お願いします!
「もし映画を観て面白くなかったら、僕に言ってくれたら料金をお返しします。返金するのは…チケットの半額900円で。観た以上は少額でも払って頂かないと。でも、それぐらいこの映画はオススメですよ!」
静かな語り口調の中にも、時折笑えるネタを差し込んで周囲を楽しませてくれた板尾さんの気遣いには脱帽です! 今後の活躍も見逃せません!!
INFORMATION
■映画『電人ザボーガー』
【STORY&INFO】
悪のサイボーグ組織Σ(シグマ)に父・大門勇(竹中直人)を殺され、復讐を誓う大門豊(板尾創路、古原靖久)は地球の平和を守るため、亡き父が作った変形型のバイクロボット“ザボーガー”とともに日々戦い続けていた。そんな彼の前に敵の女サイボーグ、ミスボーグ(山崎真実)が現れ、二人に特別な絆が生まれるが…。74年からフジテレビ系で放送され、主人公の大門豊とその兄弟ロボット・ザボーガーのダブル主役を採用した当時としては異色のヒーロードラマのリメイク。井口昇監督が大胆に解体し、青年・大門を主人公とする第1部と熟年・大門を主役にした第2部に再構築して新たな物語を紡いだ。
【CAST&STAFF】
出演/板尾創路・古原靖久・山崎真実・宮下雄也(RUN&GUN)・佐 津川愛美・木下ほうか・渡辺裕之・竹中直人・柄本明
監督・脚本/井口昇
製作/2011「電人サボーガー」フィルム・パートナーズ
配給:キングレコード/ティ・ジョイ
配給協力・宣伝/日活
公式HP 10月15日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
(C)2011「電人サボーガー」フィルム・パートナーズ
PROFILE
板尾創路(いたお・いつじ)
1963年7月18日生まれ 大阪府出身
86年にお笑いコンビ130Rを結成。バラエティを中心に活躍中。96年のTBS「Dear ウーマン」以 降、映画やドラマ、舞台などで多数出演し、個性派俳優としても高い評価を受けている。「板尾日 記」(リトルモア刊)シリーズの出版やテイトウワとのコラボシングル「少年B」、銀杏BOYZ峯田 和伸とのコラボアルバム「ミュージック」のリリースなど総合クリエイターとしてマルチな才能を 発揮。映画はほかに「ナイン・ソウルズ」「空中庭園」「大 日本人」「愛のむきだし」「ニセ札」「ワラライフ!!」など に出演。09年公開の「板尾創路の脱獄王」では初監督、初主 演を務めた。NHK総合「着信御礼!ケータイ大喜利」レギュ ラー出演中。DVD「YOSHIMOTO WONDER CAMP TOKYO~ Laugh&Peace 2011~(仮)」は11月16日発売。11月5日ス タートのNHK「松本人志のコント MHK」(第1土曜午後11時 30分)第2回に出演。監督、主演、脚本を務めた映画「月光 ノ仮面」は来年1月14日に公開される。
■映画『電人ザボーガー』
【STORY&INFO】
悪のサイボーグ組織Σ(シグマ)に父・大門勇(竹中直人)を殺され、復讐を誓う大門豊(板尾創路、古原靖久)は地球の平和を守るため、亡き父が作った変形型のバイクロボット“ザボーガー”とともに日々戦い続けていた。そんな彼の前に敵の女サイボーグ、ミスボーグ(山崎真実)が現れ、二人に特別な絆が生まれるが…。74年からフジテレビ系で放送され、主人公の大門豊とその兄弟ロボット・ザボーガーのダブル主役を採用した当時としては異色のヒーロードラマのリメイク。井口昇監督が大胆に解体し、青年・大門を主人公とする第1部と熟年・大門を主役にした第2部に再構築して新たな物語を紡いだ。
【CAST&STAFF】
出演/板尾創路・古原靖久・山崎真実・宮下雄也(RUN&GUN)・佐 津川愛美・木下ほうか・渡辺裕之・竹中直人・柄本明
監督・脚本/井口昇
製作/2011「電人サボーガー」フィルム・パートナーズ
配給:キングレコード/ティ・ジョイ
配給協力・宣伝/日活
公式HP 10月15日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
(C)2011「電人サボーガー」フィルム・パートナーズ
PROFILE
板尾創路(いたお・いつじ)
1963年7月18日生まれ 大阪府出身
86年にお笑いコンビ130Rを結成。バラエティを中心に活躍中。96年のTBS「Dear ウーマン」以 降、映画やドラマ、舞台などで多数出演し、個性派俳優としても高い評価を受けている。「板尾日 記」(リトルモア刊)シリーズの出版やテイトウワとのコラボシングル「少年B」、銀杏BOYZ峯田 和伸とのコラボアルバム「ミュージック」のリリースなど総合クリエイターとしてマルチな才能を 発揮。映画はほかに「ナイン・ソウルズ」「空中庭園」「大 日本人」「愛のむきだし」「ニセ札」「ワラライフ!!」など に出演。09年公開の「板尾創路の脱獄王」では初監督、初主 演を務めた。NHK総合「着信御礼!ケータイ大喜利」レギュ ラー出演中。DVD「YOSHIMOTO WONDER CAMP TOKYO~ Laugh&Peace 2011~(仮)」は11月16日発売。11月5日ス タートのNHK「松本人志のコント MHK」(第1土曜午後11時 30分)第2回に出演。監督、主演、脚本を務めた映画「月光 ノ仮面」は来年1月14日に公開される。
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一