芸人、作家、映画監督と多彩な才能を発揮している品川庄司の品川祐さんが、俳優として出演した映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」が11月21日に公開。働いた経験を持つ人なら共感度が高い本作は、誰と一緒に観てもオススメとのこと。素顔はシャイな品川さんが人生のこと、現状を冷静に判断する方法、夢が叶わなかったら? など読者のタメになることも伝授してくれました!!
人物の誰かしらに共感できて会話劇としても面白い映画
──品川さんが出演された映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」が今月公開ですね。完成作を観ましたが、とても面白かったです!「ありがとうございます!! 僕が演じた部署リーダーの阿部道大は、とにかくすべてのシーンで怒っているから、必死になって演じましたよ」
──演じる上で気をつけたところはありますか。
「リーダーはずっと『バカ!』って語尾に付けて怒っているでしょう? だから、今リーダーはどれぐらい怒っているかを、バカの言い方にバリエーションを付けて表現しなければならなくて。そこが一番、難しくて、そこばかり考えてました」
──改めて、完成作を俯瞰で観た感想は。
「この映画って、いろんな角度から観ることができると思うんですよね。ブラック会社という悪い条件の会社に入社してしまった新人の男の子がテーマ。小池徹平君が演じた、大根田真男役がそれです。でも、僕が演じたリーダー目線で見ると、真男をイジメるリーダーも、それほど悪いヤツじゃないかなと思うんですよ」
──悪くない、というのは?
「リーダーは若い頃、寝ずに休みもなく仕事をしてきたんじゃないかと。だから同じことを部下にも求めてしまうっていう。40〜50代の人が観たら、案外リーダーに共感するんじゃないかと思うんですよね。『何でお前ら、できないんだよ!!』っていう部分とか。クライアントの言うことは絶対っていうリーダーの信条は的を得ているし、こういう人、会社に必ず1人はいるでしょうし」
──確かに、会社に1人はいそうです。では、品川さんが考える理想の上司像を教えてください。
僕ねぇそれ、ムリがあると思うんですよ。芸能界理想の上司ランキングとかありますし、僕も偉そうに逆説を唱えることもありますけど(笑)、それって一般社会にいないからこそ話せる逆説なんですよね。それでもあえて挙げるなら…う〜ん、田辺誠一さんが演じた藤田巧己ですかね。仕事ができて理解があるっていう。」
──映画監督としても活躍されていますが、今回は俳優としての出演。撮影中、監督目線になりませんでしたか。
「ちょうど『ドロップ』の宣伝が終わって公開が始まった直後に、この撮影が始まったんです。監督としては盛り上げる人間がいたほうが、現場が和むんじゃないかなというのは意識しましたね。」
──現場で思い出深いことは?
「とにかく眠かった! 徹夜で仕事をするシーンは、本当に朝から晩までかけて撮影したんです。本番中に立ちながら寝ちゃいましたよ(笑)。演技じゃなく、本気で眠かったんですよね。」
──この映画を、どんな人にオススメしたいですか。
「月並みですけど、どんな方にでも。会社とか仕事で悩んでいる人が観るのが一番いいのかもしれないですけどね。でもこの作品、普通の会話劇として面白いですから。登場人物の誰かしらに共感できるはずですし。40〜50代の方が観たら、『何だよ、俺のことを悪役に描きやがって』と感じるかも知れませんけど、それぐらい気持ちが動かされる作品だと思います」
苦境はゲームを最初から始められる 実は一番楽しい時期
──品川さんは芸人としてブレイクする前に、“ブラック会社”に勤めた経験はありますか。「ないですね。バイトでカラオケパブや肉体労働なんかをしてましたけど、喉元過ぎれば熱さを忘れる、で。僕ね、自分で仕事を増やしちゃうんですよ。で、自分を追い詰めていく。1人リーダーみたいな感じですね(笑)」
──自分で自分を追い詰めるって、辛くないですか?
「暇なほうが耐えられないし、好きな仕事だからできるんでしょうね。やりがいのない仕事だったら果てしなく『何なんだろう?』と疑問と徒労感が続くだけじゃないですか。だから映画のように、成果を上げても見返りがないっていうのはしんどいだろうなーと思いますよ。どれぐらい耐えられるんだろうって部分は、僕も経験してみたいですけど」
──あまり追い詰めると、映画のようにピンチを迎えるような。
「最近はピンチを、ピンチと感じないんですよ。今の仕事を失ったら、どこかで美味しい野菜を作るとか、漁師さんになるとか、他に情熱の持てることを見つければいいかなと。人を笑わせるのが好きだから、フリーで小さなライブハウスに立つとかね」
──かなり柔軟な考え方ですね。
「芸能人は商品ですから、利用価値がなくなったらいらないんですよ。現実として、そういう世界なんです。もし挫折したら、必要とされる場所を探せばいい。ゲームに例えるなら、リセットボタンを押して最初からゲームをやるようなものだから、二度楽しめるでしょ。だからピンチって、実は楽しい時期なんですよ。小説や映画、歴史も、物語になるのは苦境の部分。だから苦しい状況に陥ったら、自分は物語になる人生を送っているんだと思えばいい。リセットボタンを押す勇気は、なかなか出ないものですけどね」
生きてるうちにやりたい事は全て挑戦しようと決めてる
──品川さんは、状況を冷静かつ客観的に見る人なんですね。「芸能界も不況で厳しいですからね(笑)。ワンミスで全部チャラになる世界。もっと条件が悪くなるんじゃないですか、不景気で。甘えのない時代に突入するんじゃないかと思います。だからといって、危機感ばかりを募らせて生きても仕方ないですからね。」
──そのような柔軟な考えを持つには、どうしたらいいでしょうか。
「またゲームに例えるのもアレなんですけど(笑)、トランプで大富豪をしていたとします。自分の手札には2もエースもジョーカーも来なかった。でも、そこで諦めたら負けなんですよ。今その状況で、どうゲームに挑むかを考えないと。諦めなければ、3が4枚そろって革命が起こる場合もありえるわけですから」
──なるほど。諦めずに頭を使うということですね。では、夢を叶えた先人として、どうすれば夢が叶うかも教えて頂けますか。
「う〜ん…無責任なことは言えないですね。信じれば夢は叶う、みたいなことね(笑)。最悪…最悪ですよ、限界まで挑戦して、もうダメだ! となったら、無人島に移住して、魚を採って暮らしていけるじゃないですか、人って。だから最悪、最後のお金を握り締めて、最後の力を振り絞って、どっかに行っちゃえばいいんですよ。それを都内でやるとホームレスと呼ばれて、離島で実践すると自由人と呼ばれるのかなって、僕は思うんですよね」
──農業や漁をしてもいいとおっしゃっていましたもんね。でも、品川さんの才能を待っている人たちがたくさんいるので、これからの活躍に期待しています! 仕事面での今後の目標は。
「僕ね、生きてるうちにやりたいことを全部やるって決めてるんですよ。そう思っていれば、1つでも多くのことに挑戦できるじゃないですか。でも、やりたいことが無限にあるんですよね。仕事面では、また映画を撮りたいですし」
──監督業は楽しいですか?
「プラモデルの部品から作る作業をしているようなもので、細部に渡って決められるのが楽しいんですよ。僕にとって映画は、最高の“オモチャ”。次の小説がまた映画化されたらうれしいですね」
INFORMATION
■映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」
【INFO&STORY】
高校中退でニートのマ男(小池徹平)は、母の死をきっかけに一大決心。プログラマーの資格を取得して、なんとか小さなIT企業に就職する。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”だった! サービス残業・徹夜は当たり前、ありえない仕事量、納期を目指して、毎日デスマ(デスマーチ:死の行進)が続く。超過酷でへんてこな職場と、くせ者ぞろいの同僚たちに、マ男の限界はピーク。「もう俺は限界かもしれない!!」。果たして、マ男の運命は!? 会社の行方は、いかに!? 2ちゃんねるの書き込みから生まれた感動!?の実話を基に、誰もが働くことの意味を問う現代、圧倒的な共感を呼ぶ21世紀型ワーキング・エンタテインメントが誕生した。
【CAST&STAFF】
出演/小池徹平 マイコ 池田鉄洋 田中圭 品川祐 中村靖日 千葉雅子 森本レオ 田辺誠一
監督/佐藤祐市
脚本/いずみ吉絋
原作/黒井勇人「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(新潮社刊)
製作/ブラック会社限界対策委員会
企画・配給/アスミック・エース 11月21日、シネクイントほか全国ロードショー
公式HP
PROFILE
品川祐(しながわ・ひろし)
1972年4月26日生まれ 東京都渋谷区出身
95年、23歳の時にNSC東京1期生として入学し、同期の庄司智春とお笑いコンビ品川庄司を結成。スピーディな正統派漫才とストーリー性の高いコントで人気を博し、バラエティを中心に活躍。また、自身の日々を綴る「品川ブログ」はタレントブログの中でもトップクラスの閲覧数を誇り、「BLOG of the year 2007(男性タレント・俳優部門)を受賞した。06年、品川ヒロシ名義で初の長編小説「ドロップ」を発表。09年には同作を自らメガホンを執り映画化、大ヒットを記録した。俳優としての主な出演作にはドラマ「顔」(CX)「ガリレオ」(CX)、映画「鳶がクルリと」(05年)「容疑者Xの献身」(08年)「あの空をおぼえてる」(09年)などがある。「ドロップ」以来3年ぶり2作目となる小説「漫才ギャング」(リトルモア刊)好評発売中 。
■映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」
【INFO&STORY】
高校中退でニートのマ男(小池徹平)は、母の死をきっかけに一大決心。プログラマーの資格を取得して、なんとか小さなIT企業に就職する。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”だった! サービス残業・徹夜は当たり前、ありえない仕事量、納期を目指して、毎日デスマ(デスマーチ:死の行進)が続く。超過酷でへんてこな職場と、くせ者ぞろいの同僚たちに、マ男の限界はピーク。「もう俺は限界かもしれない!!」。果たして、マ男の運命は!? 会社の行方は、いかに!? 2ちゃんねるの書き込みから生まれた感動!?の実話を基に、誰もが働くことの意味を問う現代、圧倒的な共感を呼ぶ21世紀型ワーキング・エンタテインメントが誕生した。
【CAST&STAFF】
出演/小池徹平 マイコ 池田鉄洋 田中圭 品川祐 中村靖日 千葉雅子 森本レオ 田辺誠一
監督/佐藤祐市
脚本/いずみ吉絋
原作/黒井勇人「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(新潮社刊)
製作/ブラック会社限界対策委員会
企画・配給/アスミック・エース 11月21日、シネクイントほか全国ロードショー
公式HP
PROFILE
品川祐(しながわ・ひろし)
1972年4月26日生まれ 東京都渋谷区出身
95年、23歳の時にNSC東京1期生として入学し、同期の庄司智春とお笑いコンビ品川庄司を結成。スピーディな正統派漫才とストーリー性の高いコントで人気を博し、バラエティを中心に活躍。また、自身の日々を綴る「品川ブログ」はタレントブログの中でもトップクラスの閲覧数を誇り、「BLOG of the year 2007(男性タレント・俳優部門)を受賞した。06年、品川ヒロシ名義で初の長編小説「ドロップ」を発表。09年には同作を自らメガホンを執り映画化、大ヒットを記録した。俳優としての主な出演作にはドラマ「顔」(CX)「ガリレオ」(CX)、映画「鳶がクルリと」(05年)「容疑者Xの献身」(08年)「あの空をおぼえてる」(09年)などがある。「ドロップ」以来3年ぶり2作目となる小説「漫才ギャング」(リトルモア刊)好評発売中 。
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一