邦画らしからぬアツい作風で名を馳せる室賀厚監督のリベンジアクション『デリバリー』が、絶賛公開中だ。子どもたちに大人気の戦隊ヒーロー『烈車戦隊トッキュウジャー』で脚光を浴びたイケメン俳優・長濱慎さんが語る、異色づくしな作品の舞台裏とはーー!?
「舞台となるピザ屋のデリバリーは高校時代にバイト経験があったので監督には『僕を選んだほうがいい』って自らプレゼンしたんです(笑)」
低予算作品ならではの映画愛とバイタリティ
──映画『デリバリー』は、宅配ピザ屋を舞台にした一風変わった復讐劇。長濱さん扮する配達員・達也も、なかなかぶっ飛んだ男でしたね。「実は僕、高校生のときに実際にピザ屋でデリバリーのバイトをしてたんです。なのでオーディションでは、監督の室賀(厚)さんに『リアルな芝居をお求めでしたら、僕を選んだほうがいいですよ』ってプレゼンして(笑)。もちろん、まだ高校生だったんで、映画のような強烈な出来事には残念ながら遭遇したことはなかったですが」
──包丁ストーカー男に刺された傷をホッチキスで止血するなど、劇中の達也には「どこの特殊部隊ですか?」とツッコミたくもなりました(笑)
「そうなんですよね。僕自身も『ホッチキスだけで戦えるのか?』と思いながらやってましたもん(笑)。ただ、映画が完成したあとに監督自身が執筆されたノベライズ版には、僕が演じた達也の過去なんかもわりと詳しく描かれているので、本編を観て、『?』となった方は、ぜひそちらを読んでスッキリしてもらえるといいかな、と。なぜそこでホッチキスだったのか、までは書かれてはないですけど(笑)」
──室賀監督と言えば、小誌でもおなじみ&本作にも出演の小沢仁志さん主演の名作『SCORE』(95年)で世に出たクリエイター。撮影現場はかなり壮絶そうなイメージもありますが。
「SCOREでの現場がどういった感じだったのか、聞いたことないのでわかりませんが、今回に限っては全然そんなこともなく、本当に和気藹々。僕のような若輩者にも敬語で接してくださったり、すごく役者にリスペクトのある監督さんだな、という印象でしたね。現場はずっと、役者を除けば専任のスタッフは3、4人……みたいな状況でもあったので、大変そうではありましたけど、そのぶん集中力はすごくあったような気がします」
──3、4人とはスゴいですね。人数が少なすぎて、ロケ先などでは逆に不審がられてしまいそうです。
「スタッフ兼任だったシェフ柏木役の寺中(寿之)さんは、自分の出番以外は宅配バイクの運搬などもされてましたし、監督もそれこそ自ら動いて何でもされる。さっきもお話ししたホッチキスのシーンでも、血糊は監督に塗ってもらいましたしね」
──満載の手作り感。となると、ロケ弁も弁当ではなくピザだったり?
「さすがにそこまでは(笑)。でも、撮影で使ったピザをみんなで食べたりというのはありましたね。ちなみに、劇中で僕が配達したハート型のピザは〝永遠の愛を誓った2人のためのピザ〞って名前でしたけど、実際につまっていたのは、監督の愛でした(笑)」
〝戦隊畑〞で培ってきた役者としての確かなスキル
──ところで、長濱さんは出世作『烈車戦隊トッキュウジャー』に続いて、本作でも配達員メンバーの最年長。兄貴分キャラは素に近いものですか?「トッキュウジャーでは、僕以外のメンバーが『〝イマジネーション〞の力で変身しているだけで本当は子ども』という設定だったこともあって、〝保護者〞と呼ばれていましたね(笑)。ただ僕自身は4人兄弟の3番目なんで、どちらにも合わせられるタイプ。今回に関しては、みんな大人しい感じだったから、あえてムードメーカー的な立ち位置には行きましたけど、そこまで意識することはなかったですよ」
──その『トッキュウジャー』の仲間である志尊淳さんや横浜流星さんはいまや飛ぶ鳥を落とす勢い。彼らの活躍を〝保護者〞としてはどうご覧に?
「純粋にうれしいですよね。淳や流星とは歳もひと回り近く離れてるんですが、やってた頃からあの2人は立ち居振る舞いが落ちついていて、『この子たちは売れるな』みたいな予感もあったんで。ちなみに、当時のキャストやスタッフさんたちとはいまもすごく仲よくて、3ヵ月に1回ぐらいはみんなで集まる『トッキュウ会』というのをどこかしらでやってます。スケジュールが合わなくて、最近はなかなか2人とは会えてないですけど」
──ご自身は今後どんな活動を?
「若い頃は、どうにか爪跡を残そうと思って、人より目立とうしたりってことも多々あったんですけど、僕もそろそろいい歳なんでね(笑)。〝我〞を出すのはほどほどにして、求められる芝居だったり役割だったりに、きちんと応えられるような役者になっていけたら、と思ってます。個人的には今回の現場であらためて〝映画ならではのよさ〞みたいなものを実感したので、できることなら映画の現場でもっと経験を積みたいな、と。近頃はありのままを見せるドキュメンタリーのようなジャンルにも興味が湧いてます」
──では、最後にひとつ、映画『デリバリー』のPRをお願いします。
「なんでもありのエンタメ作品に仕上がっていると思いますので、ぜひ力を抜いてラクな気持ちで観ていただければ、と思います。あと、監督や僕ら出演者の裏話が満載の『デリバリーTV』というネット番組やノベライズもありますので、そちらも合わせて楽しんでいただけると。お話上手な監督の名MCぶりも必見です(笑)」
INFORMATION
■映画『デリバリー』
【INFO&STORY】
20歳の早希(鈴木つく詩)が店長を務める宅配専門のピザ店「キャッツ&ドッグス」。可憐な女性店長とは真逆にかなり強面のシェフ柏木(寺中寿之)に達也(長濱慎)、真治(藤田富)ら個性豊かな4人の配達係からなるこの店のモットーは、どんなピザのオーダーも断らないこと。オーソドックスなピザはもちろん、「ハッピーになれるピザ」「世界平和のピザ」など、イメージのみの注文も受け付ける。が、そんなピザのデリバリー先には、様々なありえない出来事が待ち受けていた……。
【CAST&STAFF】
出演/鈴木つく詩・長濱慎・藤田富・寺中寿之・神林斗聖・行永浩信・長谷川るみ・北島美香・田中千空・町田政則・中原翔子・梨本謙次郎・工藤俊作・永倉大輔・小沢仁志ほか
製作総指揮/柏原寛司
監督・脚本/室賀厚
配給/ホーネット
公式HP
7月20日(土)名古屋シネマスコーレほか全国順次公開中
(C)2019 SILVER CANNON ENTERTAINMENT LTD.
PROFILE
長濱慎(ながはま・しん)
1985年9月6日生まれ 神奈川県出身
11年、「私のホストちゃん〜しちにんのホスト〜」でドラマデビュー。13年に「第1回美ジネスマン&美ジネスウーマンコンテスト」でグランプリ受賞。14年、「烈車戦隊トッキュウジャー」出演で人気を博す。映画出演に『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』『烈車戦隊トッキュウジャー』シリーズがある。
公式Twitter
■映画『デリバリー』
【INFO&STORY】
20歳の早希(鈴木つく詩)が店長を務める宅配専門のピザ店「キャッツ&ドッグス」。可憐な女性店長とは真逆にかなり強面のシェフ柏木(寺中寿之)に達也(長濱慎)、真治(藤田富)ら個性豊かな4人の配達係からなるこの店のモットーは、どんなピザのオーダーも断らないこと。オーソドックスなピザはもちろん、「ハッピーになれるピザ」「世界平和のピザ」など、イメージのみの注文も受け付ける。が、そんなピザのデリバリー先には、様々なありえない出来事が待ち受けていた……。
【CAST&STAFF】
出演/鈴木つく詩・長濱慎・藤田富・寺中寿之・神林斗聖・行永浩信・長谷川るみ・北島美香・田中千空・町田政則・中原翔子・梨本謙次郎・工藤俊作・永倉大輔・小沢仁志ほか
製作総指揮/柏原寛司
監督・脚本/室賀厚
配給/ホーネット
公式HP
7月20日(土)名古屋シネマスコーレほか全国順次公開中
(C)2019 SILVER CANNON ENTERTAINMENT LTD.
PROFILE
長濱慎(ながはま・しん)
1985年9月6日生まれ 神奈川県出身
11年、「私のホストちゃん〜しちにんのホスト〜」でドラマデビュー。13年に「第1回美ジネスマン&美ジネスウーマンコンテスト」でグランプリ受賞。14年、「烈車戦隊トッキュウジャー」出演で人気を博す。映画出演に『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』『烈車戦隊トッキュウジャー』シリーズがある。
公式Twitter
取材・文/鈴木長月 撮影/おおえき寿一