コワモテで硬派なイメージが強いが、実は大のスイーツ好きというギャップがバラエティ番組で人気を博している的場浩司さん。オススメのスイーツやお店を聞くとともに仕事に対する考え方を深掘りすると、だからこそ激戦の芸能界で31年間もの長い間、第一線で活躍できるのか!という、ストイックな一面が浮き彫りに。〝的場の兄ぃ〟に、人生に迷う若者も、仕事でイマイチ成果を出せない社会人も、タメになる生き方指南をして頂きました!
どの職業でも準備が一番大切。例えそれが無駄になったとしても、納得できるまで備えることで、自分を信頼できるようになります。実は準備って、後々の自分に役立っているんです。
僕はプラチナや金ではなく〝鉄〟だから努力は怠る事ができません
──今年デビュー31年目を迎えました。仕事に対して若い頃から考え方に変化はありましたか?「正直、何も変わっていないんですよ。新人時代から今も『どの仕事にも初心で向き合う』という考え方は、この先も変わらないと思います。10円でも頂いている以上はプロなので、中途半端な仕事はしたくないんです」
──初心を忘れないのは、どの職業においても難しいかと。
「本当ですか!? 僕がそう思うんだから、僕より頭がいい人は余裕でそういう考えに至ると思うんですけど。たぶん、自分が不器用だし天才でもないから、努力を怠れないんでしょうね。僕は自分のことを〝鉄〟だと思っているんです。プラチナや金の人は磨かなくても光っていられますけど、〝鉄〟みたいな人間は磨いていないと錆びついて、刀の切れ味が悪くなる。切れない刀を使いたがる侍なんていないでしょう? だから己を常に磨き、準備しておかないとダメだなと考えています」
──具体的にはどのような?
「僕は役者で、好きなアクションをまだやる機会があるかもしれません。アクションをやるためには役が決まろうが決まらなかろうが、常にトレーニングをしていつでも身体が動く状態にしておかなければいけないんです。前はジム通いをしていましたけど、今は自宅で鍛えたい部位を鍛えています。昔みたいに120キロのバーベルを上げてはしゃぎたい歳でもないですから(笑)ほかには年に2回ほど、乗馬クラブにも行っています。走って跳んで止まって回転させて…を、全部独りでチェックしているんです。馬に乗る仕事がいつくるかなんて分かりませんが、説得力のある身体作りを事前に整えておきたいので」
──説得力のある身体作りとは?
「例えばアクションシーンで、仮にシャツを脱いだとします。上半身裸になった時に『こんなガリガリ、あるいはプニョプニョのヤツが強いワケがない』とは思われたくないんです。役によって体格も違いますから、筋肉の太さを調節することも説得力のある身体作りの一環。今は週5〜6日は自分に課したメニューをこなして、1日は何もしない日を作っています。それが僕にとっての準備です」
──社会人も準備は大切ですか。
「どの職業においても準備が一番大切だと思います。例えそれが無駄になったとしても、納得できるまで備えることで、自分を信頼できるようになりますから。実は準備って、後々の自分に役立っているんです。僕はよく周りから『そこまでやらなくても』と言われますけど、準備は対人ではなく、対自分への作業。満足するまで準備せずに失敗してしまったら、悔やんでも悔やみきれません。僕の仕事の場合は明日役立つかもしれないし、10年後かもしれない。あるいは、『実践の場で使うことがなかったな』と、人生の終わりに考えるかもしれません。でも、準備をしておくことが自分に対してのプライドで、欠かせないんです。若い時は早い段階で結果を求めがちですが、仕事に有用か否かではなく、『準備しよう』と考えられる自分を素敵だと思ってほしいですね」
──それは先月まで上演されていた舞台『雪まろげ』の時もですか?
「役者によっては本番を終えたら飲みに行って、リセットして明日に向かう人もいると思います。だけど僕は、今日は終わったけど明日があると考えるタイプ。だから、本番が終わったらすぐ自宅やホテルに戻って外には出ずに、翌日の準備をします。今日の本番が大丈夫だったから明日も大丈夫だとは思えないんです。『ここまで準備したからから大丈夫』と思える日は、永遠に来ないでしょうね」
──ストイックに支度をしても今年1〜2月に、二度もの手術を経験していますからね。
「若い頃からスタントマンにほぼ頼らず、アクションをしてきましたからね。小沢(仁志)の兄ぃも同じなんですけど、僕らの時代の役者は仕事と真正面から向き合ってしまうんです。スタントマンが演じればすごい画が撮れるのは分かるんですけど、そのシーンの感情は、自分以上に知っている人間はいないと思うほど突き詰めて役作りをしているので。例えばビルから飛び降りるにしても、飛び降りる最中の動きは、別の人間が演じたら自分が考えているキャラクターとは違ってしまいますし。今となれば使えばよかったと思いますけどね。若い子たちには言っていますよ。『身体が壊れるぞ。歳いってから後悔するからスタントを使え!』と(笑)」
好きな言葉は『雲外蒼天』迷ったら好きな道を選んでほしい
──役者として渋い芝居を見せてくれる一方で、スイーツ帝王としても人気です。小さい頃からスイーツを作っていたと聞きました。「小学生の時からホットケーキとかを作っていましたね。いまだに家で食べたいと思い立ったら、自分で焼くことがあります。もちろん、カミさんが焼いてくれる時もありますが。もしかしたら、じっとしていることが苦手なのかもしれません。動いていないとツラい、回遊魚みたいなものかもしれませんね。……というのはいい言い方で、子どもの頃は落ち着きがなくて。遠足に行けば1人で勝手にどこかへ行ってしまうし、先生は大変だったでしょうね」
──ちなみに下戸という説は…。
「1滴も飲めないのではなく酒は辞めた、というのが正解なんです。20代の頃に『もう一生分飲んだな』と思って辞めました。卒業が早いだけなんです」
──なるほど。そんな的場さんに、男性が女性をデートに誘うと喜ばれる店をご紹介頂きたいのですが。
「女性が20代、30代だとすれば、まだインスタ映えにこだわる子もいる年代ですよね? インスタ映えして美味しいお店ももちろんありますけど、本当の美味しさやお店の雰囲気を求めるのであれば、インスタ映え中心で考えないほうがいいと僕は思っていて。お店の雰囲気を楽しめる人こそが、僕は大人の女性だと思いますし。そうですね…関東なら京橋にあるトシさん(鎧塚俊彦氏)の『トシ・ヨロイヅカ東京』。シックで落ち着いた店内なので、大人のデート向きです。舞浜にある『シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル』も、デートに最適ですよ。食事もスイーツも絶品なので1階でスイーツを楽しみ、2階のレストランで大人のムードを味わえます。ホテルでの食事は、若い子は大人の気分を体験できますし、大人の女性は、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと会話をしながら食事をすることに喜びを覚えますから。はしゃぎたい雰囲気になったら、近くの東京ディズニーランドで遊ぶこともできますし」
──ぜひオススメのスイーツも。
「お取り寄せになりますが『Tiamo(ティアーモ)』です。イタリア語で『愛している』という意味で、マカロンでもクッキーでもない究極の大人スイーツなんです。北九州の『ドルチェ・ディ・ロッカ・カリーノ』というお店の作りも味も素晴らしかったので、僕がお声掛けしてコラボさせて頂きました。お値段がやや高いんですけど普段使い用ではなく、大人の男性が大人の女性へ、特別な日にプレゼントするために作りました。6色の生地の上にパティシエが丁寧にひとつずつ手書きした花模様が広がっていてキレイで可愛くて、自信作です」
──有難うございます。最後に人生に迷う男性にメッセージを。
「仕事や人生において、迷うことは大切だし必要だと思うんです。僕が好きな言葉は『雲外蒼天』。雲は障害や悩みを暗示していて、試練を努力して乗り越えれば快い青空が望めるという意味です。この言葉を信じたからといって必ずしも目指した先にたどり着けるかは分かりませんが、だからこそ進む道は自分で決めたほうがいいと思っています。僕自身は人に相談はしても、決断するのは自分。誰かの決断に従うと、その人に責任を押し付けるイヤな自分になりそうなので。だからみなさんも人生に迷ったら、苦しいか楽かではなく、自分がやりたい道を選んでみてほしいです。その道がどれほど過酷でも、自分で選んだ好きな道だから、ひたすら努力できるはずですよ」
PROFILE
的場浩司(まとば・こうじ)
1969年3月28日生まれ 埼玉県出身
88年公開の映画『首都高速トライアル』でデビューを果たし89年、TBS系ドラマ「はいすくーる落書」「ママハハ・ブギ」で一躍人気に。以降、映画やテレビドラマを中心に活躍。また、強面な外見とは裏腹に大の甘党でも知られ、スイーツ関連の著書もある。近年の主な出演作に映画『陽光桜 YOKO THE CHERRY BLOSSOM』『麻雀放浪記2020』『君は一人ぼっちじゃない』、ドラマ「信長燃ゆ」「山本周五郎時代劇 武士の魂」「天〜天和通りの快男児〜」、舞台「駆けはやぶさ ひと大和」「雪まろげ」、DVD「CONFLICT 〜最大の抗争〜 外伝 織田征仁」「CONFLICT 〜最大の抗争〜 外伝 織田征仁 第二章」などがある。
公式ブログ
公式Twitter
的場浩司(まとば・こうじ)
1969年3月28日生まれ 埼玉県出身
88年公開の映画『首都高速トライアル』でデビューを果たし89年、TBS系ドラマ「はいすくーる落書」「ママハハ・ブギ」で一躍人気に。以降、映画やテレビドラマを中心に活躍。また、強面な外見とは裏腹に大の甘党でも知られ、スイーツ関連の著書もある。近年の主な出演作に映画『陽光桜 YOKO THE CHERRY BLOSSOM』『麻雀放浪記2020』『君は一人ぼっちじゃない』、ドラマ「信長燃ゆ」「山本周五郎時代劇 武士の魂」「天〜天和通りの快男児〜」、舞台「駆けはやぶさ ひと大和」「雪まろげ」、DVD「CONFLICT 〜最大の抗争〜 外伝 織田征仁」「CONFLICT 〜最大の抗争〜 外伝 織田征仁 第二章」などがある。
公式ブログ
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一