「「単純明快な答えを提示する映画ではありませんが、私はそれでもいいと思います。すっと心に入ってくるものをそのまま受け止めて下さい」」
映画『百円の恋』や『あぶない刑事』シリーズに出演した伊藤洋三郎さん、声帯を失った後、奇跡的なカムバックを遂げた佐野和宏さん、国際派女優としても名高い寺島しのぶさんなど錚々たるメンバーが出演する映画『秋の理由』に女優趣里さんもミク役として出演。名優たちに囲まれ、ヒロイン役をどう演じたのか裏話も含め話を聞いた。
実在するのか想像中の人かミクは浮遊感を持つコです
──本作で趣里さんが演じたミクは不思議な女の子でしたね。「脚本も執筆された福間(健二)監督から、『ミクは実在する人物なのか、想像の世界の住人なのか観ている人が分からなくなるようなコだから、浮遊感を大切にしてほしい』と言われたんです。だから撮影中、私もずっと意識していました。確かにミクは不思議な言動をしますけど、特に演じづらさは感じなかったです」
──ということは、ご自身に似ている部分があるということですか。
「う〜ん…どうなんでしょう。ミクは積極的に外部の人間と関わりを持っていきますけど、プライベートでは私、〝1人◯◯〟が好きなんです。休日は引きこもって読書や映画鑑賞、考えごとに大半の時間を費やしますし、季節問わず食べる大好きなかき氷は機械とイチゴ、メロン、マンゴーのシロップを用意して、1人で楽しんでます。もちろん、カフェでお友だちと何時間も話す日もありますけど、1人の時間がないとダメなんですよね」
──今、一人暮らしでしたっけ?
「そうなんです。休日を家の中ですごしたくて、買い物はほとんどネットショッピングですませてます。寝て起きたら届く便利さから離れられなくなってしまって、あるサイトの有料会員になったほどなんですよ。映画のサイトにも有料会員として登録しようか迷ってますし。これでペットを飼いだしたら、仕事がある日以外は一生、 外に出なくなるような気がします……(笑)」
ミクの借金申し込みや告白私は自分から言えません…
──演じてみてご自身ならこうしない、できないと感じた点はありますか?「ミクは自分のやりたいことや思いをはっきり言葉にするタイプですが、私はあんなふうにあっけらかんとお友だちに『お金貸して』なんて言えないですね。あと、伊藤(洋三郎)さんが演じた宮本(守)さんにも好きな感情をストレートにぶつけるんですけど、大人だなあと思いました。ただ、演じてみて人に気持ちを伝える大切さは実感したので、観てくださる方にも私と同じような感情を味わって頂けたらうれしいですね」
──ところで、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。
「優しくて温かい方ばかりだったので、協力的な雰囲気が自然と流れている、幸せな現場でした。みんなでワインを飲むシーン、実は本物のワインで撮影したほど和やかな現場だったんです。スケジュールの都合で行けなかった打ち上げも、後から『楽しかった』と聞いてとても残念でした」
──寺島しのぶさん演じる村岡美咲と絡むシーンがないことも残念だったのでは?
「この作品の撮影が去年11月で、今年4月の『アルカディア』という舞台でもほぼご一緒できる場面がなかったんです。いつか私も…とずっと憧れている方です」
謙虚な気持ちを忘れない事現場で改めて実感しました
──年上のキャストに囲まれている現場でしたから、学びもあったのでは。「これは以前から自分でも忘れてはいけないと肝に銘じているんですけど、謙虚な気持ちが大切だということを身をもって実感しました。この作品のキャストのみなさんはもちろん、大御所と呼ばれている方ほど素敵な人ばかりなんです。素晴らしい方々ばかりに囲まれていたからこそ、私はその場のイメージでミクに入っていけたと感謝しています」
──ありがとうございます。最後に改めてPRをお願いします。
「全編に渡って不思議な空気感が漂っている作品で、単純明快な答えを提示する映画ではありませんが、私はそれでもいいと思います。詩人でもある監督の美しい言葉と美しい映像を観て聞きながら、すっと心に入ってくるものをそのまま受け止めて下さい。私自身はご覧くださった方からの感想は本当に聞きたいんですけど、そのほかにも舞台や映画好きなお友だちと一緒に鑑賞して『どうだった?』と直接聞いてみたいですね」
INFORMATION
■映画『秋の理由』
INFO&STORY
経営していた小さな出版社をたたむことになった編集者の宮本守(伊藤洋三郎)。友人で作家の村岡正夫(佐野和宏)は、代表作「秋の理由」以降、何年も新作を執筆しておらず、精神的な不調から声が出なくなっていた。宮本は村岡の才能を信じていたが、同時に村岡の妻である美咲(寺島しのぶ)に好意を寄せていた。そんなある日、「秋の理由」を何度も読んだという少女ミク(趣里)が現れ、ミクと過ごす時間の中で、宮本は美咲への思いを改めて自覚するようになるが……。
CAST&STAFF
出演/伊藤洋三郎・佐野和宏・趣里・寺島しのぶ・安藤朋子・木村文洋・小原早織・吉野晶・安部智凛・正木佐和・佐藤楓恋・岡本優里・佐藤寿保・瀬々敬久・サトウトシキ・いまおかしんじ
監督/福間健二
脚本/福間健二・高田亮
配給/渋谷プロダクション
公式HP
10月29日(土)より新宿K’s cinemaほかにて全国ロードショー
(C)2016「秋の理由」製作委員会
PROFILE
趣里(しゅり)
1990年9月21日生まれ 東京都出身
11年、ドラマ「3年B組金八先生ファイナル」でデビュー。その後も映画やドラマ、舞台と幅広く活躍。映画は他に「東京無印女子物語」「ただいま、ジャクリーン」「恋につきもの」「水の声を聞く」「おとぎ話みたい」「東京の日」などに出演。「過激派オペラ」は10月1日公開。舞台「陥没」は17年2月上旬からBunkamuraシアターコクーンにて。
公式ブログ
公式Twitter
■映画『秋の理由』
INFO&STORY
経営していた小さな出版社をたたむことになった編集者の宮本守(伊藤洋三郎)。友人で作家の村岡正夫(佐野和宏)は、代表作「秋の理由」以降、何年も新作を執筆しておらず、精神的な不調から声が出なくなっていた。宮本は村岡の才能を信じていたが、同時に村岡の妻である美咲(寺島しのぶ)に好意を寄せていた。そんなある日、「秋の理由」を何度も読んだという少女ミク(趣里)が現れ、ミクと過ごす時間の中で、宮本は美咲への思いを改めて自覚するようになるが……。
CAST&STAFF
出演/伊藤洋三郎・佐野和宏・趣里・寺島しのぶ・安藤朋子・木村文洋・小原早織・吉野晶・安部智凛・正木佐和・佐藤楓恋・岡本優里・佐藤寿保・瀬々敬久・サトウトシキ・いまおかしんじ
監督/福間健二
脚本/福間健二・高田亮
配給/渋谷プロダクション
公式HP
10月29日(土)より新宿K’s cinemaほかにて全国ロードショー
(C)2016「秋の理由」製作委員会
PROFILE
趣里(しゅり)
1990年9月21日生まれ 東京都出身
11年、ドラマ「3年B組金八先生ファイナル」でデビュー。その後も映画やドラマ、舞台と幅広く活躍。映画は他に「東京無印女子物語」「ただいま、ジャクリーン」「恋につきもの」「水の声を聞く」「おとぎ話みたい」「東京の日」などに出演。「過激派オペラ」は10月1日公開。舞台「陥没」は17年2月上旬からBunkamuraシアターコクーンにて。
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取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一 ヘアメイク&スタイリスト:山崎惠子
ワンピース/トゥービー バイ アニエスベー ネックレス、イヤリング/ラフィア
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