シングルマザーとして奮闘する新進気鋭の美人落語家 春雨や風子
当連載では初登場となる「落語家」。江戸時代から続く伝統芸能・落語を臨場感豊かに伝える語り部だが、女流落語家というのは大変珍しい。男性目線で語る噺が多く、非常に男性的と言われる落語界で、一人前の落語家として認められる「二ツ目」の階級に属し、BS放送の『笑点 特大号』に出演するなど新進気鋭の活躍をしている春雨や風子さんに迫った――。
紆余曲折を経て入門し過酷すぎる下積みの末、晴れて二ツ目に!
──落語に興味を持ったのはいつですか?「幼稚園の頃ですね。図書館で、とんち話の『吉四六さん』を読んだり、落語のカセットを借りてきて速記したりしてました」
──速記とはまたスゴい!
「お話の全体像をつかむため、文字にしてました。(古今亭)志ん生師匠のCDを聞いたりもしましたが、 憧れていた噺家さんがいたというよりは、落語のストーリーそのものに興味があったんです」
──そういった原体験から落語家を志したわけですね?
「父がドリフターズの大ファンだったこともあり、エンターテイメント全般に興味がありました。フォークが好きで、作詞作曲を覚えて弾き語りをしたり、バンド活動をしたり…。アニソンとテクノポップとヴァン・ヘイレンが混ざったような音楽性でしたけど(笑)。ほかにも、NSC(吉本興業の芸人養成所)に入ってコンビを組んだりもしていましたが、やはり原点だった落語の世界の門を叩いたわけです。で、入門時に師匠(春雨や雷蔵)に言われたのが、『忙しくなるから子供は作るな』ということだったんですが、実はすでにいたんです」
──ええっ…!?
「結果的に結婚には至らず、一人で当時3歳になる息子を育てていたんで。それでも師匠は入門を認めてくれましたが、それからは本当に時間が全然なかった。意外と知られてないですが、落語界の下積みってとても厳しいんです。前座修行といって、寄席の時には師匠の着替えをお手伝いしたり、お茶を出したり、演目後に座布団を裏返したりと、とにかく動き回ります。寄席の前と後には、師匠のお宅で掃除や食事をしますし、365日休みなし! 過労で唇の神経がおかしくなったりしました」
──そんな中で子育てもしていたわけですか?
「19時まで息子を保育園に預けた後はベビーシッターさんが見てくれて、私が帰ってくるのが23時ぐらい。そこから息子の洋服に名前を書いたりして、落語を覚えながらいつの間にか眠り…。前座期間の4~5年は、時間がない中でも落語を覚えて稽古を重ねる必要があるんですが、集中したい時でも息子が甘えてきちゃうんで、大変でした。それでも、息子は落語大好きなんです。私が練習してると、『そこ間違ってるよ』なんて言ってきたり(笑)お風呂で創作落語をしたり…」
──将来、噺家になりたいと言うかもしれないですね。
「いやいや、『儲かんないからやめとけ』って言いますよ。稼げるのは一握りの世界なんです」
──落語界は男性社会だと言いますが、その点での苦労は?
「全体で約1000人の中、女流落語家は20~30人ほどで、真打ちは6人のみ。客層も90%が男性です。でも、逆に女は“圏外”なので、パイオニアとしていろいろなことに挑戦できる。男の浮気などを描いた艶噺というのもありますけど、私は抵抗なくやっています。元々、男っぽい性格なんで。あと、朝ドラの『ちりとてちん』から女流落語家に対する世間の認識が変わったと言われますね。私自身は見てませんけど(笑)」
──今後、目指すところは?
「落語未体験の人に、一生に一度でもいいから聞いてもらおうと思って活動しています。そして、私が『笑点』の司会になって、レギュラー陣もみんな女性になるような時代が来たら嬉しい。プライベートでは、しばらく恋をしてないので、片思いでもいいからしてみたいな」
INFORMATION
■定席 6月21日(日)~25日(木)浅草演芸ホール(昼席)
11:50~あるいは14:45(主任:雷蔵)
■「AKIBA落語会」 6月17日(水) 19:00~ 秋葉原・茶室 万世庵
木戸銭:前売り1500円 ※約18名限定
■「神田連雀亭・ワンコイン寄席」 6月24日(水)12:30~ 神田連雀亭
■「新鋭女流花便り」 6月26日(金) 12:00~ 上野広小路亭
■「風子の新小岩落語会」 7月19日(土) 14:00~
江戸川区立松島東会館 木戸銭:予約1200円、当日1500円
※各落語会の予約・お問い合わせ
TEL 03-5848-7411(事務局)
taka-rinrin_babypink@dk.pdx.ne.jp
PROFILE
春雨や 風子/はるさめやふうこ
埼玉県出身。落語芸術協会所属。階級は二ツ目。
2008年1月、四代目春雨や雷蔵に入門。2012年3月、二ツ目昇進。アーティスト活動も行う。得意ネタ…古典(江戸っ子、子供、浮気)、新作(赤ちゃん落語、主婦、虫関連)BS日テレ『笑点 特大号』、若手大喜利出演中!
座右の銘「あの場合はしょうがなかった」
公式HP 公式Twitter
■定席 6月21日(日)~25日(木)浅草演芸ホール(昼席)
11:50~あるいは14:45(主任:雷蔵)
■「AKIBA落語会」 6月17日(水) 19:00~ 秋葉原・茶室 万世庵
木戸銭:前売り1500円 ※約18名限定
■「神田連雀亭・ワンコイン寄席」 6月24日(水)12:30~ 神田連雀亭
■「新鋭女流花便り」 6月26日(金) 12:00~ 上野広小路亭
■「風子の新小岩落語会」 7月19日(土) 14:00~
江戸川区立松島東会館 木戸銭:予約1200円、当日1500円
※各落語会の予約・お問い合わせ
TEL 03-5848-7411(事務局)
taka-rinrin_babypink@dk.pdx.ne.jp
PROFILE
春雨や 風子/はるさめやふうこ
埼玉県出身。落語芸術協会所属。階級は二ツ目。
2008年1月、四代目春雨や雷蔵に入門。2012年3月、二ツ目昇進。アーティスト活動も行う。得意ネタ…古典(江戸っ子、子供、浮気)、新作(赤ちゃん落語、主婦、虫関連)BS日テレ『笑点 特大号』、若手大喜利出演中!
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取材・文/緑川 航 撮影/森モーリー鷹博