サンドウィッチマン富澤たけしさんの推薦で「5年以内に『キングオブコント』王者が誕生するかもしれない」と番組で期待の4組に選ばれた注目株スパイシーガーリックさん。コンビ結成翌年は賞レースで惨敗も、「キングオブコント」準決勝進出や「令和4年度NHK新人お笑い大賞」受賞など一気にV字回復を果たした。〝躍進の秘密〟は何だったのか。ターニングポイントでの自身と周囲の変化、芸人を目指し始めた時期の話、コンビ結成の経緯などを探りつつ紐解くと――。
『ネタを磨いてキングオブコント優勝!仲の良さを生かしたロケ仕事をしたい』
『事務所の先輩方を見習って今後は俳優として活動していきたいですね(笑)』
『事務所の先輩方を見習って今後は俳優として活動していきたいですね(笑)』
サンドウィッチマン富澤さんに推薦をして頂いたのが嬉しくて! ──9月19日放送の「アンタウォッチマン!」出演はいかがでした。
ジョン「4組の中で僕らが一番ウケていたでしょ」
片山「賛同するけど富澤さんに推薦して頂いたのが嬉しくて」
ジョン「アンタッチャブルさんだと、事務所の先輩なのでありそうじゃないですか。バーター的な」
片山「事務所枠があって1組出すみたいに見えちゃうけど、富澤さんは他事務所の大先輩で」
ジョン「僕らのネタを知ってくれていて選んでくださった」
片山「養成所に入ってすぐ芸人さんのネタを丸々真似する授業でサンドウィッチマンさんをやらせて頂いたぐらい大好きだったんです。その富澤さんに…」
ジョン「選ばれてるんだよ!」
──ネタ以外にもアンタ柴田英嗣さんのマネをされて。
ジョン「触れ合う機会が多くなってきて、忠実に再現できるようになったのは大きいです」
片山「楽屋に入ってからネタ合わせは一切せず、ずっと柴田さんのモノマネの練習をしてました」
ジョン「本番で笑ってくれたけど似てるとは言ってなかったね」
──昨年は「キングオブコント」準決勝や「令和4年度NHK新人お笑い大賞」優勝などご活躍の1年でした。
片山「20年10月にコンビを結成したんですが、翌年のキングオブコントもM-1も1回戦で敗退してしまい…」
ジョン「2人の相性が悪い、解散したほうがいいぐらいね」
片山「彼と組むために前のコンビを解消しているのに。何もないところからの22年だったので」
ジョン「今年も続けていければ実感できるかも」
──躍進の裏側には何があったのでしょうか?
片山「事務所の若手ライブ『バカ爆走!』で元エレファントジョンのガッテン森枝さんから『動きを使ったネタを作った方がいい』とアドバイスを頂き、ネタの作り方を変えて」
ジョン「エスカレーターのパントマイムをするゾンビというネタができて、そのネタのお陰でいろいろな賞を勝ち上がっていく」
片山「森枝さんが動きというパスをくれて、パントマイムが浮かんであのネタができました」
──コンビ結成は「顔に惚れた」片山さんがジョンさんを誘って。責任やプレッシャーは。
片山「ありました。彼が芸人を辞めると言うのを引き止めてコンビを解散して組んだので。1人の人生を僕のワガママで」
ジョン「就職して幸せな家庭を築ける別の人生があったのに、お笑いの道に引きずり込んだという」
片山「どうしましょう。ぶん殴りたいです(笑)」
ジョン「片山さんにだけ相談したら熱く止められまして。今は結果が出たので良かったなあと」
片山「出会った初日から顔に可能性を感じていたので。養成所の同期なんですが人力舎っておとなしそうな人が多くメガネ&黒髪率が高い中、光って見えたんです。顔は才能だと思っていて努力してもなれるものじゃない」
ジョン「イケてるほうだと思っていたから、面白い顔だと言われて腹が立ちましたけど」
片山「いい顔なのに面白い。才能を捨てるのはもったいない」
──そんなジョンさんは1月に本名から名前を変えられました。
ジョン「ちゃんぴおんずの大崎さん、ぱーてぃーちゃんのすがちゃんさんが名付け親です」
片山「正月の番組収録と楽屋が一緒で、挨拶をしたら」
ジョン「大崎さんから『どっちがどっちか分かりにくい。改名した方がいいわ』と。しわくちゃな顔を見て『海外のコメディ俳優に似てるから』とジョンに。それをすがちゃんさんも同意。事務所の先輩にも聞いたらどっちでもいいんじゃないと(笑)」
事務所の先輩トンツカタンお抹茶さん軍団員として活動してます!! ──片山さんは梅太郎を…。
片山「誰が梅太郎なんですか!」
ジョン「よくご存じで」
片山「大崎さんに『一緒に変えた方がいい。お前は梅太郎やな』って。ジョンに比べてダサい」
ジョン「酸っぱそうな顔をしてるから、が命名由来だそうです」
片山「しっかりバカにしている!断ったのに会うたびに『梅太郎に変えたか?』と聞かれます」
──仲のいい芸人さんとエピソードを教えてください。
片山「事務所の先輩だとトンツカタンお抹茶さん。2人ともお抹茶さん軍団に所属してます。1年目からご飯に連れて行ってもらったり新ネタライブを毎回、見学させて頂いてます」
ジョン「『行くぜ武道館!トンツカタン森本のブチ切れデトックス』というライブにもバックダンサーで出させてもらったり。あと僕はザ・マミィの酒井軍団に所属」
片山「構成員になりがち」
ジョン「結婚されてあまり飲みに行けてないですけど、それまでは毎日のように会ってました」
──仲がいい岡野さんと一緒にいるイメージでした…。
ジョン「酒井さんの気分を良くするのが軍団の役目なので居心地がいいんじゃないでしょうか」
片山「酒井軍団ってあと2人後輩がいまして、あそびの清水パソコン、まちょねーずの坂本裕亮。誰よりもヨイショが上手い」
ジョン「岡野さんが来ると別の酒井さんが見られて、それはそれで楽しいんですけど」
──お二人が芸人を志したのはいつですか。
片山「大学3年終わりの就活の時期に芸人になろうと親に告げたら『ちょっと待て』と。海外留学もさせてもらっていたんですが、お金はおじいちゃんが出したと初めて聞いて大学を卒業して3年ぐらい働いてくれないかと不動産会社に就職しました。アパマンショップの営業マンになり、かなり優秀でした。コツは誠心誠意頑張ること。聞き取る力が長けていたと思います」
ジョン「芸人にならなかったほうが良かったのでは(笑)」
──その後、スクールJCAに。
片山「両親から『一回きりの人生だからチャレンジしてみれば』と許しを得て。先に芸人になることを決めて就職した流れでした」
ジョン「人を笑わせたりするのが好きで小中高とクラスの人気者。高校3年生になる頃には〝レジェンド〟と呼ばれるぐらいの存在になりまして…」
片山「キモいなあ。ずっと人気者だった話でしょ。俺だったら恥ずかしくてできないもん」
ジョン「この才能は活かさないとダメだと養成所に入ろうと、アルバイトでお金を貯めて。ココでも人気者になるぞと周りを見渡したら華のある人はいませんでした。さっき僕を見つけてくれた話が出ましたけど、そりゃそうですよ。小中高と人気者でしたから!」
──小誌が求人誌なのでアルバイトの話も聞かせてください。
片山「今も運送屋でバイトをしてます。トラックの助手席に乗って企業向けのコピー機の運搬。通路に布を敷いて2人で担ぎ上げる力作業で芸人とボクサーが」
ジョン「ラッパーが働いてます」
片山「融通が効くので6年ぐらいやってます。日給で1万2000円、運がいい日は1時間が終わることも。カラオケ屋の夜勤をやっていた時は賄いもあって良かったけど続けていると脳細胞が死んでいく感じがして」
ジョン「頭が回らなくなる」
片山「ネタ作りもうまくいかない。夜勤を辞めてすぐ、あの『ゾンビ』のネタができたので関係があるんじゃないかって」
──一方のジョンさんは。
ジョン「夜勤をやっていて…脳細胞を殺して、この面白さが出ているという(笑)清掃のバイトで結構前ですけど、どぶろっくの森さんもやられてまして社長を通して森さんに会わせてもらった時に『いつか共演できたらいいね』と言って頂いた。その後、お仕事する機会に恵まれてコレがめちゃくちゃエロい仕事。こんな形で会うことになるとは……」
片山「コピー機を運ぶバイトは現場が違うけど今日は一緒でした」
ジョン「令和4年度NHK新人お笑い大賞の決勝メンバーに選ばれた時も同じバイト中でトラックの横でグータッチをしました」
片山「この間、全社員が集合するミーティングが開かれるくらい大きなミスをしてしまい、それがもう一回あると聞いて…。ホントに辞めたいです」
──バイト卒業きっかけは何になりますか?
片山「YouTubeにも力を入れ始めてましてそっちで稼げれば。バイトの時間をネタ作りなどに使えますし」
ジョン「いろいろなことに手を出して、絶妙なラインでお金を稼ぐ。収益が上がったらバイトの辞め時」
片山「あとは借金がなくなれば。借金まみれでホストをやっていた時代もありました。楽して稼いでいるイメージがあったので何も知らずに入ったらものすごく大変。下積み2年ぐらいやって初めて稼げる社会だと分かり」
──借金だと同じ人力舎の岡野陽一さんやザ・マミィ酒井貴士さんが浮かびます。
片山「岡野さんや酒井さんに憧れていて、言い方は悪いですが千鳥の大悟さんや霜降り明星の粗品さんもそうで一昔前の芸人さんってイメージがあるじゃないですか。芸歴1年目からギャンブル、お酒、お寿司にお金を費やしてきて」
ジョン「借金の9割が寿司とギャンブルです。片山さんが荻窪に住んでいた時、パチンコ屋が入っているビルの2Fのゲームセンターが閉店して回転寿司のチェーン店ができた。そしたらそのビルから抜け出せなくなり」
片山「ATMもあったので建物から出られない」
2人仲がいいのでいろいろな場所に行ったりする仕事をできたらと ──最後に今後の抱負や目標をお願いします。
ジョン「俳優ですよね。ドラマ出演のお話も来たりしたんですよ。『孤独のグルメ』の配信オリジナルだったり別の作品も」
片山「ちょっと待って(笑)オレが今からキングオブコントの話とかするからせっかくならフリにして言って」
ジョン「今後は俳優として」
片山「ガチじゃねえか」
ジョン「一緒にドラマの現場の雰囲気を味わったじゃないですか」
片山「外で寒い日にダウンコートを掛けてもらう感じとかね」
ジョン「すべての準備ができるまで出番待ちとか」
片山「ネタを磨いてキングオブコント優勝を目指して。2人仲がいいので、いろんなところにロケに行ったりする仕事をできたらと僕は思ってます。納得いってない顔だな」
ジョン「それもいいですけどピンでも俳優として。事務所の先輩も映画やドラマに出演されている方が大勢いるし」
片山「あの時、芸人を辞めさせれば良かったわ」
ジョン「ありがとね」
INFORMATION
スパイシーガーリック
20年10月にコンビ結成。22年8月放送のTBS系「『あらびき団』2夜連続!真夏の最強パフォーマー決定戦・第1夜で優勝。「キングオブコント2022」は準決勝に進出。同年10月には「令和4年度NHK新人お笑い大賞」で優勝を飾った。11月20日(月)NHK Eテレで放送の「診療中!こどもネタクリニック」に出演。11月9日(木)新宿バティオスでのスリーマンライブ「VANES(バネス)」に出演予定。
YouTube「スパガリChannel」
片山智勝(かたやま・ともかつ)
1990年10月28日生まれ 静岡県菊川市出身
公式Twitter
公式Instagram
ジョン
1996年4月18日生まれ 東京都西多摩郡日の出町出身
公式Twitter
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スパイシーガーリック
20年10月にコンビ結成。22年8月放送のTBS系「『あらびき団』2夜連続!真夏の最強パフォーマー決定戦・第1夜で優勝。「キングオブコント2022」は準決勝に進出。同年10月には「令和4年度NHK新人お笑い大賞」で優勝を飾った。11月20日(月)NHK Eテレで放送の「診療中!こどもネタクリニック」に出演。11月9日(木)新宿バティオスでのスリーマンライブ「VANES(バネス)」に出演予定。
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片山智勝(かたやま・ともかつ)
1990年10月28日生まれ 静岡県菊川市出身
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ジョン
1996年4月18日生まれ 東京都西多摩郡日の出町出身
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Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花