芸歴10年目に突入した男女お笑いコンビ・パーパーさん。「キングオブコント2017」では決勝進出を果たした実力派で、あいなぷぅさんが自由奔放な彼女を演じ純情で情けないキャラに扮したほしのディスコさんが振り回される…というコントでおなじみだ。フジテレビ系「笑う犬の冒険」で目覚め、お笑いの道を真っすぐ突き進んできたほしのさん、お笑いに興味がないと公言し、夢はコナン声優と語るあいなぷぅさんと、対照的で温度差のある二人が見据える先は――?
『ちょっとしたボケでもクレームになったりするので言葉選びに気を付けてます』
仲が悪くなっても大丈夫だろうという変な〝信頼感〟はあります!──5月2日でコンビ結成丸9年。その中で大きな出来事とは。
ほしの「結成3年での『キングオブコント2017』の決勝進出が転機になっているので一番デカかったなあと」
あいなぷぅ「私の中では、17年の『キングオブコント』決勝は特別ではなく思い出のひとつで、どれも平等ですね」
──不仲コンビとよく言われますが良好な時期もありましたよね。
ほしの「LINEの企画で仲直りドキュメントみたいものを撮って頂いて、それをきっかけに仲良くなりました。コンビなので一緒にいる時間は多かったけどコロナ禍もあって仕事が減り、お互い個人の仕事が増えたことで距離ができて、それがいい〝距離感〟になって仲良しに…」
──ただ今年に入ってテレビ東京『ゴッドタン』やTBS系『水曜日のダウンタウン』を観ると再燃しているような。
ほしの「ちょうど分かれ道ぐらいの緊迫した状態が続いてます。お互いが出方を伺っている感じですね。でも仲が改善した経験があるので、ケンカして仲が悪くなっても大丈夫だろうっていう変な〝信頼感〟はあります」
あいなぷぅ「不仲解消方法は彼のお母さんに来てもらうことです。2人で話してもしょうがないと思うので第三者を入れて」
ほしの「全然…。33歳にもなってお母さんの教えは絶対!みたいなのはないから」
──お二人が出会った当時の話を聞かせてください。
ほしの「マセキのスクール(養成所)の同期として出会いました。あいなぷぅは地元の愛知から夜行バスで通っていて週1回の授業で会う程度でしたが、20歳と若くキャピキャピしてて、芸人になったら面白そうな人だと思い僕から誘いました」
あいなぷぅ「ネタ披露の授業の時に『僕が作るので仮でコンビを組みませんか』と言われたのがきっかけです。私はネタが書けないので、ラッキーだなって」
──声優志望だったんですよね?
あいなぷぅ「専門学校に通って声優の勉強をしましたが、一生の仕事にするのは違うかなと思ったことがあって。その時に『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)のドッキリ企画から誕生した狩野英孝さんの音楽プロジェクト50TAのDVDを観て、狩野さんって変な人だなあって。変な人をそのまま世の中に出すマセキ芸能社ってどんな会社なのか知りたくて調べたら、養成所の募集があったので願書を出しました」
──事務所の良さは?
ほしの「NSC東京校出身の僕もそうですけど、紆余曲折があって他の事務所から流れ着いた人が多く、挫折した人の気持ちも分かるから先輩でも腰が低くてみんな優しい。陽キャな人は狩野さんぐらいで(笑)自分に合ってます」
あいなぷぅ「『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)で、いとうあさこさんとご一緒したことがあって私のことを知らないと思っていたら『知ってるよー』と言われて嬉しかったですし、ひな壇で前に座っていらっしゃったんですけど私が話すと振り返って聞いてくださって。それだけで嬉しかったです。優しいし、あさこさん、だから売れているんだって」
『相手が私に何を求めているのかじっくり考えて想いを汲み取るようにしてます』
よく聞かれますが彼の多方面での活躍は頑張れ!って思っています──相方のほしのさんはドラマ出演に歌手デビューとマルチに活躍されてますがどうお思いですか。
あいなぷぅ「頑張って頂ければ。よく聞かれるんですけど悔しいとか失敗しろとは思ってないです。ホントに頑張れって思ってます」
──あいなぷぅさんがお笑い以外でやってみたいことは?
あいなぷぅ「商品の仕入れや調達担当のバイヤーみたいなことをやりたいですね。海外のニッチなものを日本で売るとか。例えばSNSでよく見かける恐竜の着ぐるみは動画でバズって大人気になりましたよね。流行る前から知っていたから私が売ってたらめちゃめちゃ儲かっただろうなって(笑)」
ほしの「それって転売ヤーの価値観ですよね。ちょっと危ない、やめたほうがいい。心配です」
あいなぷぅ「転売ヤーと一緒にされて、もう話す気もなくなりました。買い付けの仕事を知らないのかなあ…」
──小誌が求人情報誌なのでバイトの話もいいですか。
ほしの「お笑いを中心に考えていたので先にライブを入れてから空いている日にバイトをするので週に数回しかできなくて月に10万円もらえるかどうかのギリギリの生活。食にあまり興味がないので1個のガムを数時間噛んでお腹を満たし食費を浮かせたり」
──アルバイトはいつまで?
ほしの「キングオブコント決勝を機に辞めました。自分を追い込むじゃないですけどいくら稼げなくても芸人一本にしようと」
あいなぷぅ「私は去年までは籍が残っていてカジノのディーラーを8年間やりました。急に明日行けないと言っても大丈夫だったのが大きかった。シフトを管理している人が俳優を目指していたけど夢破れて今は正社員で働いている方で応援してくれて。あとオープニングスタッフで最初はホテルのようなお店にしようと接客指導する女性の先生がいたんですが、クビになって自由になった瞬間、常連のお客さんが多かったのでラフな接客をするようになって。タメ口カジノ(笑)忙しくて飲み物を出すのが遅れても『あー、ゴメン』みたいな。お客さんも『忙しいもんね』と納得。スゴいステキな環境だったから長く続けられました。クビになった女性の先生が教えてくれたルールやカードを配る技術は特技の1つになりました。時給1250円と高くはないけどバイト行って、中抜けでライブに出て、またバイトに戻ってとかもありました」
──交通費がライブ出演料を上回る時代もあったそうですね。
ほしの「コンビで1000円だと1人500円で交通費が片道500円以上かかっていたので。最初の頃はエントリー制のライブばかりだったので2、3千円のお金を払って出るのが普通で赤字が当たり前でした」
あいなぷぅ「普通じゃないです、仕事でお金を払うって変だと思いませんか?思わせない洗脳が浸透していて私は一瞬たりとも正しいと思ったことはないです」
──仕事をする上で心掛けていることを教えてください。
ほしの「炎上とかが多かったり、ちょっとしたボケでもクレームになったりするので何年か前よりも言葉選びには気を付けてます」
あいなぷぅ「私に何をして欲しいのか、何を求めているのかは考えますね。お昼だったらお昼っぽいことを、夜中だったら、これくらいはいいかなって言うことも時間帯によってさじ加減したり。あとはどんな仕事でも一緒だと思いますが、相手を汲み取るようにしてますね」
ウエストランド井口さんとの関係は周囲が盛り上がっていますけど
──モチベーションになっていることは?
あいなぷぅ「アニメ『名探偵コナン』が大好きでゲスト声優やコナンに関わる仕事をしたいんですけど、そのためにはもうちょっと有名にならないと。劇場版の最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』にゲスト声優出演の沢村一樹さんは素晴らしい俳優の方で。夢を追い続ける、好きなもののために頑張る。コナンは頑張る原動力になってます。好きでいうと私、吉住さんが大好きで一緒の仕事だと嬉しいです」
──仲のいい芸人さんとのエピソードを頂けますか。
あいなぷぅ「松竹芸能の百瀬さつきさん。私と吉住さん、百瀬さんの3人でホストクラブへ遊びに行きたいねって。この前、3人でいた時に百瀬さんが『ホストクラブに行ってきたけど、全然チヤホヤされなかったからもう一回行きたい』と言ってきて『コントにも繋がるんじゃない』『ああ、そうかもー』『じゃあ今度行きたいね』って話になりました」
──あいなぷぅさんは結婚願望ありと聞きました。どんなタイプの男性がいいですか?
あいなぷぅ「えー、難しい。今、婚活番組のロケをやっているんですけど専門家の方には理系の人が向いていると言われて。私がイエス、ノーを出す会話を好きな人を好んでいると。だから理系男子だなあと思ってます」
──性格や収入などの条件は。
あいなぷぅ「お金は多ければ多いほど嬉しいので多い順に出会いたいです。〝論破王〟ひろゆきさんが言ってた『お金がない人とある人だと、ある人のほうがIQが高い。経済的に恵まれないとIQは落ちてしまう』というデータを信じていて。豊かな生活をしたい、はもちろんあるんですが、感情的に怒る人より論理立てて説明してくれる人がいいです」
──ちなみに…ですけど、お二人が結ばれる可能性は?
あいなぷぅ「(大きく首を振り)絶対にないです!」
──男女コンビなので「付き合えばいいのに」とか言われませんか。
ほしの「歌を始めてからファンの方も増えたんですが僕と結婚したいという人も何名かはいらっしゃって。それが叶わなかった場合はあいなぷぅさんと結婚して欲しいと。他の女性だと嫉妬してしまうけど、あいなぷぅさんだったら許せますと言う人がいるのでそうなるのが一番みんなが平和に暮らせるのかと思います」
あいなぷぅ「私も言われます、ウエストランドの井口さんと結婚して欲しいって」
──井口さんから「いいお肉があるから家に遊びに来て」とよく誘われるというエピソードは『ロンドンハーツ』で観ました。
あいなぷぅ「モグライダーのともしげさんがくっつけようとしたのが最初なんですが、『有吉の壁』(日本テレビ系)で井口さんと席が前後だったり隣りだったり毎回近くになるんです。で『スタッフに言ってるだろう』『やかましいわ』って共演者とやり取りがあって。ある日、収録終わりに2人で一緒に帰っていると番組のスタッフさんが近寄ってきて『実は、応援していて。近くにしているんです』と(笑)周りは盛り上がってますが、ビジネスカップルです。井口さんもロンハーでの河本さんの〝正直すぎる〟発言に『あの商売、終わったよ。太がさあ、余計なことを…』と言ってました。タイタンのマネージャーさんに『終わったんですね?』と尋ねたら、『まだまだイケます!』と返されましたが、ビジネスですから」
INFORMATION
パーパー
マセキタレントゼミナールで出会い14年に結成。15年に事務所のオーディションに合格、マセキ芸能社の所属となる。17年、「あなたが選ぶ!お笑いハーベスト大賞2017」優勝、「キングオブコント2017」決勝進出、18年の「NHK新人お笑い大賞」本選進出など早々に結果を残す。ドラマ出演などともに個人でも活動し、ほしのさんは22年に「いとしの悪魔ちゃん」(星野一成名義)で歌手デビューを飾り、エッセイ集「星屑物語」が好評発売中だ。メ~テレ『Bomber-E パーパーのボカロ入門』、NHKEテレ『おかあさんといっしょ』(ほしの声のみ)レギュラー。7月26日(水)上野不忍池水上音楽堂で開催のお笑いライブ「真夏の笑フェス2023」に出演する。
ほしのディスコ
1989年10月23日生まれ 群馬県沼田市出身
公式Twitter
公式Instagram
あいなぷぅ
1994年2月4日生まれ 愛知県一宮市出身
公式Twitter
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パーパー
マセキタレントゼミナールで出会い14年に結成。15年に事務所のオーディションに合格、マセキ芸能社の所属となる。17年、「あなたが選ぶ!お笑いハーベスト大賞2017」優勝、「キングオブコント2017」決勝進出、18年の「NHK新人お笑い大賞」本選進出など早々に結果を残す。ドラマ出演などともに個人でも活動し、ほしのさんは22年に「いとしの悪魔ちゃん」(星野一成名義)で歌手デビューを飾り、エッセイ集「星屑物語」が好評発売中だ。メ~テレ『Bomber-E パーパーのボカロ入門』、NHKEテレ『おかあさんといっしょ』(ほしの声のみ)レギュラー。7月26日(水)上野不忍池水上音楽堂で開催のお笑いライブ「真夏の笑フェス2023」に出演する。
ほしのディスコ
1989年10月23日生まれ 群馬県沼田市出身
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あいなぷぅ
1994年2月4日生まれ 愛知県一宮市出身
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Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花