人気女優・宮地真緒と、気鋭の若手・毎熊克哉の初共演でも話題の映画『夜明けまで離さない』が、来たる10月27日より、いよいよ公開される。一躍全国区の知名度を得た朝ドラ『まんてん』から16年の歳月を経て、さらに“いい女”度に磨きをかける宮地さんご本人に、本作に対する意気込み、仕事に対する想いをうかがった──。
複雑な境遇の難役を関西弁で渾身の熱演!
──主人公の美咲は、兵庫・淡路島の出身で関西弁。まるで宮地さんを当て書きしたかのような設定ですよね。「実際、森岡(利行)監督もそうおっしゃっていましたが、いざ演じてみると、これがかなりしんどくて。有り難いと思う反面、『どうしてくれるんだ』という気持ちも正直ちょっとはありました(笑)なんて言うか、私自身とはあまりにかけ離れた役柄だから、そこに自分を入れすぎてしまうと、よく分からなくなっちゃうなって」
──「しんどい」というのは、美咲の複雑なバックボーンも含めて?
「そうですね。子どものために自分を犠牲にして身体を売ってきた彼女の気持ちは、親になったことがない私にはまだ計り知れない。そこはやっぱり精神的にもきました。ただ、そういう時っていつもなら自分なりにストレス発散をするのですが、今回はそれもあえてしなくて。そのほうがいい作品になる気がして、自分から追いこんだ部分もあるんです」
──詳しく書けないのが残念ですけど、ラストシーンなんかは、そんな宮地さんの想いがすごくよく出た名場面だったように思います。
「あのシーンは、自分でもアレで正解だったのか、いまだに分からないんですけどね(笑)ちょうど最終日で、前日の夜中まで撮影をして、2時間ぐらい仮眠を取ったあと、朝4時ぐらいから朝焼けを待ってスタンバイして……。選択肢としては、泣き叫ぶとかもあったと思うけれど、あの時の私から出てきたのはアレでした。きっと私が彼女だったら、いっぺんにいろいろなことが起こりすぎて、どうしていいか分からなかったと思うので」
──目下、引っぱりダコな毎熊克哉さんとの共演はいかがでした?
「石岡という役柄自体がもともと寡黙で台詞もすごく少ないから、表情やオーラを一瞬たりとも見逃すまいと思って、現場ではずっと見つめていたような気がします。余計なものをいっさい削ぎ落として、まさに“体現”している感じがホントにスゴくて。少し違うかもしれませんが、『健さんみたい』と思いながら見ていました」
──平成の高倉健!役柄的にもピッタリな形容詞かもしれません(笑)
30代でやっと降ろせた“朝ドラ”の十字架…
──ところで、いわゆる“濡れ場”を解禁されて以降の宮地さんは女優さんとしてもどこか吹っきれた印象です。やはり“朝ドラ女優”の肩書きはご本人としても重荷でしたか?「やっと十字架を降ろせたっていうのはやっぱりありました。20代の頃は、実力がともなっていないのに、名前だけが先行してしまい『重たいな』と感じる時期もあったので。もちろん、あの時の経験がなかったら、女優としての私は今ここにいないですし、自分のなかでの最大の転機だったことは間違いないんですけどね」
──ご結婚もされて封印されるのかと思ったら、本作でもかなり大胆に……。
「そこは一応、聞いてはみたんです。そしたら、『俺のこと気にして、やりたいと思う役をやらないんだったら、女優なんて辞めちゃえば?』って。そうやって尊重してくれるのはとても有り難いなって思います。私自身は、旦那が俳優だったら、絶対に『ベッドシーンなんか止めなよ』って言っちゃうタイプなんですけどね(笑)」
──劇中でも「お母さんの手みたい」と言われるシーンがありましたけど、実際にお母さんになったりすると、また心境も変わるかもしれませんね。
「そうですよね。昔は子どもってすごく苦手だったんですが、最近は接するのが楽しくて。今回の撮影中も息子役の(荒井)雄斗くんとずっと話してましたしね。今は、この行き場のない母性をどうしてくれよう、と思っているところです(笑)」
──今後、ご自身としてはどんな女優さんになっていこうと?
「なんでも屋さんになりたいです。大きい役も小さい役も来るもの拒まずで、『任せられるね』と言われるような、そんな女優になれたらなって。『しんどっ!』って思うことのほうが多いから、天職とはまだ思ったことはないのですが、芝居に関わるなにかをやっているその時間が好きなので、私自身が好きでいられる間は、ずっと続けていきたいな、と思っています」
INFORMATION
■映画『夜明けまで離さない』
INFO&STORY
桑原美咲(宮地真緒)は1人息子の凌空を育てるため、表向きはスナックだが、実際は別室でホステスと遊べる店で、ホステスとして働いていた。石岡一也(毎熊克哉)は同じ時刻に店に来て、美咲を指名。しかし、石岡は美咲を抱くことをせず、窓辺から外をのぞき続ける不思議な客だった。そんな石岡に美咲は興味を抱くが、ある夜、美咲が夜の女として隠しておきたいある素性を、同僚の土川琴乃が石岡に話してしまう。二度と石岡が店に来ないだろうと美咲は落胆するが、面倒見のよい刑事の茂田(甲本雅裕)と凌空の3人で出掛けた遊園地で、石岡の姿を見かけ……。
CAST&STAFF
出演/宮地真緒・毎熊克哉・山田奈保・柴田明良・荒井雄斗・手塚真生・朝加真由美・甲本雅裕ら
監督/森岡利行 脚本/宍戸英紀
配給/アルゴ・ピクチャーズ
公式HP
10月27日(土)~11月2日(金)池袋シネマ・ロサにて公開。DVD『夜明けまで離さない』はキングレコードから11月7日発売。3800円(税抜)
(C)レジェンド・ピクチャーズ
PROFILE
宮地真緒(みやじ・まお)
1984年2月2日生まれ 兵庫県出身
NHK連続テレビ小説「まんてん」のヒロイン役で広く知られ、バラエティや音楽活動とマルチに活躍。近年の映画出演に『白ゆき姫殺人事件』『妻が恋した夏』『イノセント15』など。『恋のしずく』は10月20日、『ふたつの昨日と僕の未来』は11月9日より愛媛県先行公開。
公式ブログ
公式Twitter

INFO&STORY
桑原美咲(宮地真緒)は1人息子の凌空を育てるため、表向きはスナックだが、実際は別室でホステスと遊べる店で、ホステスとして働いていた。石岡一也(毎熊克哉)は同じ時刻に店に来て、美咲を指名。しかし、石岡は美咲を抱くことをせず、窓辺から外をのぞき続ける不思議な客だった。そんな石岡に美咲は興味を抱くが、ある夜、美咲が夜の女として隠しておきたいある素性を、同僚の土川琴乃が石岡に話してしまう。二度と石岡が店に来ないだろうと美咲は落胆するが、面倒見のよい刑事の茂田(甲本雅裕)と凌空の3人で出掛けた遊園地で、石岡の姿を見かけ……。
CAST&STAFF
出演/宮地真緒・毎熊克哉・山田奈保・柴田明良・荒井雄斗・手塚真生・朝加真由美・甲本雅裕ら
監督/森岡利行 脚本/宍戸英紀
配給/アルゴ・ピクチャーズ
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10月27日(土)~11月2日(金)池袋シネマ・ロサにて公開。DVD『夜明けまで離さない』はキングレコードから11月7日発売。3800円(税抜)
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PROFILE

1984年2月2日生まれ 兵庫県出身
NHK連続テレビ小説「まんてん」のヒロイン役で広く知られ、バラエティや音楽活動とマルチに活躍。近年の映画出演に『白ゆき姫殺人事件』『妻が恋した夏』『イノセント15』など。『恋のしずく』は10月20日、『ふたつの昨日と僕の未来』は11月9日より愛媛県先行公開。
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撮影◎K.Hikaru 取材・文◎鈴木長月
衣装協力/靴 \72,000/フリーランス(ストックマン)03-5426-2251
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