己の力だけで勝ち取っているなんて慢心は絶対によくないし、武器は誰でも見つけられます。何かをしたいと思った衝動をもっと重く受け止めて褒めてあげてください。
〝山ちゃん〟の愛称で親しまれている、お笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太さんが今月号のアニキとして初登場!芸人、ナレーター、パーソナリティと多岐に渡る活動を通して〝声の仕事をする人〟〝ボキャブラリーの宝庫〟と呼ばれる彼が7月15日公開の映画『パワーレンジャー』にてアルファ5というロボットの声優に挑戦している。小誌は吹き替えの収録直後を直撃。作品以外に話を振る前から仕事&人生に悩む人のためになる言葉のオンパレードが……!!
友情・努力・勝利の黄金3セットヒューマンドラマ要素も強い作品
──出演が決まった際に「男子はみんな戦隊モノに育ててもらった」とコメントされてました。「その通りで僕は『太陽戦隊サンバルカン』に育ててもらいました。サンバルカンに限らず『パワーレンジャー』も、戦隊は人生で初めて正義を教えてくれる先生なんです。昔は悪と正義が戦うシンプルな構造でしたけどこの作品は『友情・努力・勝利』という、子供にとって大切だし大人も忘れてはいけない黄金3セットもきちんと盛り込まれている。しかもヒューマンドラマの要素も強いので、海外ドラマを観るような感覚で劇場へ足を運んで頂けたら嬉しいです。CGを多用した映像も、もの凄く美しいですし」
──さすが戦隊がお好きだけあり魅力を伝えるのが上手いですね。
「好きだからこそ、最初に話を聞いた時に確認したのは色でした。『何色か教えてくれ』と。『まさかレッド!?』とドキドキしましたが、僕が絶対的ヒーローであるレッドになれるわけがないんですよね。男子のレッドへの憧れは全世界共通ですけど、ネットでは僕を嫌いな人が山ほどいますからね。先日も番組で某大物歌手のモノマネをして大叩かれしましたし(笑)僕も『あれはみなさん怒るわ〜』と思いましたけどね。それに今までいろんな戦隊を観てきましたけど、勝地(涼)さんはやはり凄いなと。レッド役のジェイソン・スコットに声がピッタリとハマッていてカッコよかった!」
──勝地さんは山里さんが大ファンの『あまちゃん』に出演。
「そう! だから僕、吹き替え中は『おっ! 前髪クネオが側にいる!』と大興奮しました。今回のこの仕事での一番嬉しかったことって、勝地さんと仲良くなれたことですから。ただ、本当に嬉しい瞬間はまだ味わっていないんです。『アルファ5が山ちゃんでよかった』と言われた瞬間を迎えられるまでは」
──ちなみに本作の吹き替え中、芸人としてアドリブは?
「アドリブなんて恐れ多くて入れられないですよ。台本には『アドリブ』とだけ書かれているんですね。〝AD〟と。それをごく自然にされる声優さんって凄いなと思いました。逆に僕みたいに芸人として呼ばれて『アドリブどうぞ!』と言われると、ムチャクチャ怖いし照れてできない。よそ様の畑に来させて頂いているので、邪魔をしないことが大前提でした」
──では事前に「アドリブがあるからよろしく」と言われていたら?
「もっと怖いですよ。考えに考え抜いた即興という、よく分からない事態じゃないですか」
──(笑)劇中で5人は仲間の大切さを再認識しますが、山里さんは仲間を大切にしていますか?
「もちろんです。僕らのような仕事をしていると、世の中で自分1人でできる仕事なんてひとつもないと実感するんです。だから人に感謝する気持ちを忘れたらダメだし、自分がここに置いてもらえているのは誰のおかげかを見つめ直しながら生きていかないとダメ。忘れたら天狗になるだけなんです。僕がこの世界で生きていけているのは、人の運がメチャメチャいいからなんです。助けてくれる人がたくさんいる。その人たちへの感謝を忘れた時、おそらく僕は終わると思っています」
──いいことを言いますね…!
「本当に『ありがとう』を忘れたら終わりなんですよ。お説教じみた感じになるのもイヤなんですけど、『自分はラッキーだ』と自覚して生きることが大切。この人に巡り会えてラッキーとか、このタイミングでこの仕事をさせて頂けてラッキーとか。己の力だけで勝ち取っているなんて慢心は絶対によくないと、僕は思うタイプです」
〝戦隊〟好きな女子に悪人ナシ!分かってるなと思ってもらえます
──謙虚な上に山里さんは努力家としても知られていますよね。「努力は見えないところでするものですから、知られちゃいけないんですけどね、本当は(笑)仕事で自信をつける方法って圧倒的な努力以外ないと思っているだけなんです。でも、僕がこんなことを言うと『何を偉そうに!』と受け取られてしまうかもしれませんが……」
──いえいえ。以前のご著書ですが『天才になりたい』の中で「武器を見つけて磨く」という意味の言葉を記していたじゃないですか。武器は誰でも見つかりますか?
「武器は誰にでも見つけられると思いますよ。まず『探そう』と思った時点でそれが才能だから、『何かをしたい』と思った衝動をもっと重く受け止めて褒めてあげてほしいんです。何気ない普通の感情だと片付けないでほしい。『わ、俺、今何かやりたいって思った! 超すごくない?』と自分で自分を褒めてあげると、やりたいことを掘り下げるモチベーションになるじゃないですか」
──山里さんも日頃から実行を?
「実行しています。僕は自分で自分を褒めて伸ばすタイプなので」
──ご著書には「頑張るものを見つけた時、それがもたらす効果は自分が思う以上に絶大だった」ともありますが、山里さんの武器は?
「有り難いことに今こうしてこの世界にいさせて頂いているというのは、当時磨いた武器をまだ使わせて頂けているからなんですけど、難しいなあ。挙げるなら語彙数ですかね。脳にインプットする言葉の数って天才じゃなくても辿り着ける、唯一の闘える武器だと思うんです。努力賞で手に入れられる場所なので、それを褒めて頂くと嬉しいです」
──語彙数の増やし方はどのようにすれば。
「どんな物事に対しても『自分は言葉がほしい人』だという眼鏡を外さない意識は常に持っています。例えば映画を観に行っても、好きなワードを5つ絶対に見つけて記録しておこうとか、理由をつけて動く。読書だって一見仕事のように見えますけど、趣味の世界じゃないですか。でも読書を〝言葉の抽出作業〟だと捉えると、罪悪感なく没頭できる。この仕事に関連づける方法が、僕には向いていましたね」
──それであのトーク力を発揮できているわけですね。山里さんのトークには美学を感じます。
「〝相手がコレを言われたら傷つくだろうな〟とか、〝今この人はどういう気持ちでその言葉を発したか〟とかを敏感に嗅ぎ取って、相手が一番気持ちよく会話が成立する言葉を選ぼうとはいつも考えています。今は嫌悪されている言葉かもしれないですけど僕、人見知りなんですね。だけどタモリさんは『人見知りは最高の才能だ』とおっしゃってくれました。それはなぜかというと人見知りの人って『自分がこう言ったら相手はこう感じるだろう』と、誰よりも真っ先に察知する能力のある人だからだそうです」
──ためになる話を有難うございます。ちなみに山里さんはモテたくて芸人になったんですよね?
「女性にモテることが夢でしたけど、叶いませんでしたね〜!」
──なぜ過去形なんですか?(笑)
「だってもう、今年40歳になっちゃいましたもん。遊び尽くしてこの年齢になったらまだしも、今までの交際人数1人ですよ? このスペックの割には女の人とご飯は食べたなと思うんです。でも女性に『実は僕、山ちゃんのそっくりさんでフリーターなんだ』と言ったら、即退散されると思う。もう諦めていますけどね。僕に近寄ってくる女性は金目当てだと」
──では結婚しないんですか?
「いえ、します。金目当て界の中で一番、優しいコと(取材陣大爆笑)一方で幸せがもたらすリスクも考えてしまいますけど」
──幸せがもたらすリスクとは?
「よく言うじゃないですか。『芸人は幸せになると面白くなくなる』と。僕はまだ『面白いという称号を1ミリでも失いたくない』という境地なんです。ヒロミさんからは、『結婚して面白くなくなるんなら、そこまでの芸人だったということ。結婚してみなよ』と言われていますけど」
──結婚観まで有難うございます。最後に今一度、映画のPRを。
「女子はこの作品に対して食わず嫌いをするともったいないですよ。『戦隊ってこんなに美味しいものだったんだ』と新たな発見ができる作品なので、人生の選択肢を増やすチャンスです。あとは、『戦隊が好きな女の人に悪い人はいない』という説があるので、男ウケも絶対にいいと思います。男はみーんな戦隊を通ってきていますし、嫌いな男は世の中に1人もいない。だから女の子から『一緒に行こう』と誘ったら『お、分かってるね。このコ、絶対にいいヤツじゃん』と男性は思ってくれるはずですよ!」
INFORMATION
■映画『パワーレンジャー』
【INFO&STORY】
東映が誇るスーパー戦隊シリーズの英語版ローカライズとして93年に誕生し、〝アメリカで最も成功したジャパニーズコンテンツ〟にまで成長した「パワーレンジャー」。総製作費約120億円を投じた本作は、平凡な5人の高校生が不思議なコインを手にしたことで超人的パワーを与えられ、古代の地球を滅亡させようと目論んだ魔女〝リタ・レパルサ〟に立ち向かう姿を描く。日本語吹き替え版で山里亮太が、おしゃべりなロボット・アルファ5の声優を担当する。
【CAST&STAFF】
出演/デイカー・モンゴメリー、ナオミ・スコット、RJ・サイラー、ベッキー・G、ルディ・リン、エリザベス・バンクス、ブライアン・クランストン、ビル・ヘイダー
[吹き替え声優]勝地涼、広瀬アリス、山里亮太(南海キャンディーズ)、古田新太
監督/ディーン・イズラライト
脚本/ジョン・ゲイティンズ
配給/東映
公式HP
7月15日(土)ロードショー
(C)2017 Lions Gate TM & (C) Toei & SCG P.R.
PROFILE
山里亮太(やまさと・りょうた)
1977年4月14日生まれ 千葉県出身
関西大学文学部3年時に吉本総合芸能学院(NSC)大阪校に入学(22期生)。卒業後はコンビ、ピン芸人としての活動を経て、03年6月に〝しずちゃん〟こと山崎静代と南海キャンディーズを結成。04年、「ABCお笑い新人グランプリ」優秀新人賞、05年に「上方漫才大賞」優秀新人賞、「ゴールデンアロー賞」新人賞を受賞。主な出演番組に「スッキリ!!」「ヒルナンデス!」「アウト×デラックス」「ナカイの窓」「深夜に発見!新shock感〜一度おためしください〜」「東大王」「待機!無理スカポリス」、ラジオ「水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論」「赤江珠緒 たまむすび」などがある。
公式Twitter
■映画『パワーレンジャー』
【INFO&STORY】
東映が誇るスーパー戦隊シリーズの英語版ローカライズとして93年に誕生し、〝アメリカで最も成功したジャパニーズコンテンツ〟にまで成長した「パワーレンジャー」。総製作費約120億円を投じた本作は、平凡な5人の高校生が不思議なコインを手にしたことで超人的パワーを与えられ、古代の地球を滅亡させようと目論んだ魔女〝リタ・レパルサ〟に立ち向かう姿を描く。日本語吹き替え版で山里亮太が、おしゃべりなロボット・アルファ5の声優を担当する。
【CAST&STAFF】
出演/デイカー・モンゴメリー、ナオミ・スコット、RJ・サイラー、ベッキー・G、ルディ・リン、エリザベス・バンクス、ブライアン・クランストン、ビル・ヘイダー
[吹き替え声優]勝地涼、広瀬アリス、山里亮太(南海キャンディーズ)、古田新太
監督/ディーン・イズラライト
脚本/ジョン・ゲイティンズ
配給/東映
公式HP
7月15日(土)ロードショー
(C)2017 Lions Gate TM & (C) Toei & SCG P.R.
PROFILE
山里亮太(やまさと・りょうた)
1977年4月14日生まれ 千葉県出身
関西大学文学部3年時に吉本総合芸能学院(NSC)大阪校に入学(22期生)。卒業後はコンビ、ピン芸人としての活動を経て、03年6月に〝しずちゃん〟こと山崎静代と南海キャンディーズを結成。04年、「ABCお笑い新人グランプリ」優秀新人賞、05年に「上方漫才大賞」優秀新人賞、「ゴールデンアロー賞」新人賞を受賞。主な出演番組に「スッキリ!!」「ヒルナンデス!」「アウト×デラックス」「ナカイの窓」「深夜に発見!新shock感〜一度おためしください〜」「東大王」「待機!無理スカポリス」、ラジオ「水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論」「赤江珠緒 たまむすび」などがある。
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一