自らの女性器を型どりし、さらにはデコレーションまでしてしまうアート「デコまん」。そして3Dスキャナーを利用することで作品を大型化し、人の乗れるカヤックにしてしまった「マンボート」……。世界に類を見ない女性器をフィーチャーした作品の制作で、賛否両論や爆笑の渦を巻き起こしているろくでなし子氏に、その活動の原点を聞いた。
脱毛で見晴らしがよくなったら、今度はビラビラの大きさが気になって…
──彼氏とのセックスの前に、『下の毛がボーボーすぎる』と自覚したことが、自分の下半身に興味を持つきっかけだったそうですね。「じっくり見たら、すごいジャングルだったんですよ。それでエステで脱毛したりしたんですが、見晴らしが良くなったことで、今度はまんこのビラビラが大きすぎる気がしてきて……」
──それでまんこの整形手術にまで踏み切るわけですね。しかし男は中学生頃に「包茎が~」みたいにちんこの話をしたり、自分のモノを観察したりすると思うんですが、女性はしないんですか?
「しないですね。外側に出ていて見えやすく、人のモノを見る機会も多いちんこに対し、まんこは見えづらく人のモノを見る機会もない。『まんこ』って言葉が、ちんこよりタブーの意識が強いのも大きいかと。大人の女性でも、恥ずかしくて口にできない人もいますから」
──なお、手術後は女性の友人を集めて「お披露目会」も開催したそうですね。
「職業が漫画家なので、『これをネタに何かしよう』という感じだったんですよね」
──それが、まんこを型取りしてデコる『デコまん』や、ジオラマを乗せる『ジオラまん』の制作へとエスカレートしていくんですね。
「はじめは冗談半分だったんですが、ツイッターとかにアップしたら『こんなもの見せんな!』と本気で怒る人がいて。それで『何で!?』っていろんな疑問が湧いてきたんですよ。仮にセックスが卑猥なものだとしても、性器は身体についているものだし、それ自体は卑猥じゃない。しかもまんこは、そこから人が生まれてくる場所なのに……って。反抗心強い人間なので、否定されると『もっと作ろう!』と本気になってきちゃって」
──そして巨大化した「マンボート」にまで行き着いたと……。これで実際に多摩川に漕ぎだしたそうですが、見に来た人たちの反応はどうでした?
「みんな笑ってましたね。バカバカしさに笑ってくれる人がいるのも、やっぱりこの活動を続ける動機になっています。あと、私の活動を叩く人もいますけど、そういう人って実はすごい関心があるんだと思います。本当に気持ち悪いとか、イヤとか思う人なら、たぶん無視するはずですし。怒ってくる人がいたり、炎上したりするのは、対話の可能性も広がるし、話題にもなるので大歓迎です」
──ちなみに女性からの反応は?
「『はしたない』『バカみたい』と拒絶反応を示す人はいますし、生理的に嫌悪感を示す人がいるのは仕方ないとも思っています。でも。私の活動をきっかけに、『女性とまんこの話をできるようになった』『イヤだった生理に対する意識が変わった』という女性がいたのはうれしかったですね。タブーの意識が強く、性欲にも関わるものなので、悪いものというイメージが払拭されると、いろんな変化が生まれるんだと思います」
──世の中の性の意識を問いなおす活動でもあるわけですね!では最後に、今後の活動予定などは?
「次はまんこと結婚式をするパフォーマンスを考えています。とにかく、もっとバカらしいことをしたいですね。ときどき『何でこんな活動してるんだろ?』と我に返ることもありますけど(笑)」
PROFILE
ろくでなし子
デコまん作家・まんコラム二スト・日本性器のアート協会会員。著書にコミックエッセイ『デコまん アソコ整形漫画家が奇妙なアートを作った理由』『女子校あるある』がある。2014年5月に新宿眼科画廊にてまん個展開催予定。
公式HP
ろくでなし子
デコまん作家・まんコラム二スト・日本性器のアート協会会員。著書にコミックエッセイ『デコまん アソコ整形漫画家が奇妙なアートを作った理由』『女子校あるある』がある。2014年5月に新宿眼科画廊にてまん個展開催予定。
公式HP
取材・文/古澤誠一郎