『パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた…夏』『あたしだけにかけて』など、物議を醸す曲を数多く発表してきた面影ラッキーホールが、ニューアルバム『on the border』をリリースする。活動20周年を迎えたバンドの年中心人物であるaCKy(ヴォーカル)、sinner-yang(ベース)のお二人に話を伺ってきた。
音楽性のルーツにあるのは淫らで危険な昭和歌謡の世界
──妻を寝取られたい男の願望を歌った『コモエスタ NTR』や母と子の禁断の交流を描いた『おかあさんといっしょう』など、今作も凄まじい曲が並んでますね。お二人が好きな歌謡曲、特にムード歌謡などと似た危険な香りが漂っています。aCKy(以下、A)「僕らの原体験は歌謡曲なんですよね。80年代半ばまでは、演歌やムード歌謡なんかもトップ10に入っていたし、歌謡曲は大人のもの、禍々しいものという感覚がありました」
sinner-yang(以下、S)「子供の頃にテレビで流れていたものが、何よりも過激だったし、その世界観が刷り込まれているんですよ。だからこういう音楽をやっているし、ほかの人達がやらないスキマを狙う、という意識もあります」
──音楽性の部分では、ソウルやファンクなどの黒人音楽の要素も非常に強いですよね。
S「最近はEXILEのような黒人音楽的なグループも人気ですけど、昔は日本で黒人音楽を聞く人って、変人だけだったんですよ。ギラギラの衣装を着た黒人が歌い踊るのを見たときの『何これ…?』って感覚とか、見ちゃいけない雰囲気には、歌謡曲の禍々しさと通じる所もありましたね」
──面影ラッキーホールの大所帯(13人編成)で自由な雰囲気も、黒人音楽っぽいですよね。音の雰囲気は明るくてノリノリなのに、歌詞はすごい残虐だったりもする曲が多いですけど(笑)
S「それぞれのメンバーが好き勝手に楽しんでいる方が、バンドとして面白いと思うんですよ。小集団ってどうしても全体主義になりやすいし、全員が狂信的に同じものを信じているのって気持ち悪いというか…」
寝取られ願望、禁断の親子愛……新作は相変わらず問題曲だらけ!
──以前から「全作品がタイアップ狙い」と公言されていますが、今回は何か狙っているものは? S「『おかあさんといっしょう』は生命保険ですね」
──お母さんと子供が「あわあわタイム」や「おうまあそび」を楽しむ曲ですが、大丈夫ですかね(笑)イントロは明るくてイイ雰囲気ですけど…。
S「タイトル通りN○Kを意識しましたからね」
A「『ベジタブルぶる~す』はJA(農○協同組合)かなぁ。今回の作品では特に好きな曲ですね」
──野菜の歌だと思って聞いた人は本当に驚くでしょうね…。ではsinner-yangさんの好きな曲は?
S「『くちにだしてね』ですね。ある有名な女性シンガーからの依頼で作った曲で、いつもと作り方が違うせいか、キレイにポップスに仕上がりました。親・子供には聞かせられない内容ですけど」
──アルバムの全曲ともそうですよ!最後に、今回の作品はどんな人に聞いてもらいたいですか?
A「いや、まさに『ドカント』を読んで仕事を探しているような人達に聞いてもらいたいですね」
S「アッパーでイイ感じの人達にも聞いてほしいですね。『こんな世界もあるんだ!』『俺達より全然ヤバいじゃん…』って思うはずですよ(笑)」
INFORMATION
『on the border』
P-VINE RECORDS 2,940円(税込) 8月15日にリリースされたニューアルバム。YouTubeに公開されたPVが物議を醸す「おかあさんといっしょう」や、「コモエスタNTR」、「くちにだしてね」など、 タイトル通り“超えてはいけない一線”に足がかかったヤバすぎる9曲が並ぶ。
イベント出演情報
9月20日(木)のラジオデイズ5周年記念トーク「町山智浩vs面影ラッキーホール【「桜」や「明日」を「信じる」歌はもうたくさん!】」にaCKy、sinner-yangが出演。 お問い合わせはラジオデイズまで
PROFILE
面影ラッキーホール(おもかげらっきーほーる)
X-RATEDノワール歌謡ファンクバンド。aCKy(ヴォーカル)、sinner-yang(ベース)を中心に、ドラムス、キーボードのほか、ギター・コーラス・パーカッションが各2人。あとはベースにホーン隊にと計13人の大編成。 ウェブサイトVOBOで連載も行う。
公式HP
『on the border』
P-VINE RECORDS 2,940円(税込) 8月15日にリリースされたニューアルバム。YouTubeに公開されたPVが物議を醸す「おかあさんといっしょう」や、「コモエスタNTR」、「くちにだしてね」など、 タイトル通り“超えてはいけない一線”に足がかかったヤバすぎる9曲が並ぶ。
イベント出演情報
9月20日(木)のラジオデイズ5周年記念トーク「町山智浩vs面影ラッキーホール【「桜」や「明日」を「信じる」歌はもうたくさん!】」にaCKy、sinner-yangが出演。 お問い合わせはラジオデイズまで
PROFILE
面影ラッキーホール(おもかげらっきーほーる)
X-RATEDノワール歌謡ファンクバンド。aCKy(ヴォーカル)、sinner-yang(ベース)を中心に、ドラムス、キーボードのほか、ギター・コーラス・パーカッションが各2人。あとはベースにホーン隊にと計13人の大編成。 ウェブサイトVOBOで連載も行う。
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取材・文/古澤誠一郎