「舞台を立て直す人がいないので、途中で台本とは違うストーリーになるかもしれません…というのは嘘ですが、キャストが奏でる〝不協和音〟を楽しんで下さい」
ドラマ「花より男子」の脚本家としても知られる俳優宅間孝行さんが主宰する劇団、東京セレソンデラックスが10月3日から開幕する舞台「笑う巨塔」をもって解散! その最後の公演に出演するデビット伊東さんに、舞台の内容について聞きました。ラーメン店経営者としての顔も持つ、デビさんに、仕事に対するポリシーや読者へのメッセージも頂戴しましたよ!!
セリフを間違えたら責任を相手役にとらせます!
──デビさんは過去、数多くの舞台に立たれていますが、セリフを間違えたことはありますか?「そりゃあありますよ。でも僕、人のせいにするのが上手いんです。間違えると相手役の役者さんを、『なんで間違ったんだよ』って感じでにらんでごまかしちゃう(笑)。この方法ね、僕の友だちで歌舞伎役者の中村橋之助さんが天才的に上手いんですよ。以前舞台で共演した時に彼、自分のセリフを1ページ半、丸々言わなかったくせに、僕をにらんで責任をなすりつけましたから(笑)。と言いつつ『リア王』って舞台で僕は、5ページ分のセリフを言わなかったことがありますけど。今回の舞台でも間違えたらそうやってごまかします」
──台本を読んだ感想は。
「いや、それがまだ実は読んでいなくて……」
──インタビュー前に、読んだとおっしゃっていましたよ!
「すみません、嘘ついちゃいました(笑)。病院内で僕が演じる代議士秘書や医者、看護師が次々と問題を起こすドタバタコメディーなんですけど、宅間さんの台本はやっぱり台本力が強い! という印象です。ただねぇ僕、台本と違うセリフを言ったり、稽古と本番で〝間〟が違うというのが一番、苦手なんですよ。欲を出してもうひとつ多く笑いを取ろうっていう姿勢がね。だから僕、同じ間とスピードが完璧に出せるようになるまで、一緒のシーンに出る役者さんとは数え切れないぐらい練習します。稽古を繰り返すって点ではやってることがドMですね。今回、同じシーンに出る斎藤工くんと喜多陽子さんは、二度と僕と共演してくれないかもしれません(笑)」
──そんなデビさんが本作に出演することになった経緯は。
「イチ視聴者としてセレソンの舞台はずっと観ていたんですよ。今までの作品はほとんど観たんじゃないかな。笑いとニコッとできる笑顔と涙、たくさんの要素が詰まっていて面白いんですよ、セレソンの舞台って。で、宅間さんにお会いするたびに出てみませんか? と言われていたんですけど、僕なんかでいいのかなと思ってお断りしていたんです。でも解散公演ならば出演させて頂こうかな、と」
キャラよりもネタ優先は芸人もラーメン屋も同じ
──この舞台は2時間暗転なしですが、プレッシャーは?「コント上がりだから暗転がない舞台には慣れてますよ。途中で暗くするのはキャストがひと休みするためでもあるし、暗くしてストーリーと関係ない音楽が流れると冷めてしまうお客さんもいるでしょうから、ないほうがいいかもしれませんね。さっき何度も練習すると言いましたけど、それってB-21っていうコントグループ上がりの影響なんです。後半は作って即出しでしたけど、ハンパなかったですからね、練習量が。あの当時から僕らは、ネタ作りをしっかりやろうと決めていましたから。今の芸人って、ネタよりキャラ優先でしょ? キャラに溺れずネタを作らないと、ブームが去った時に辛いんじゃないかな、と思いますけどね。ラーメン屋だって、ネタという仕込みをしっかりしないと、お客さんに愛され続けることが難しいのと同じですよ」
──デビさんのラーメン屋の従業員の年齢幅って。
「下は15歳から上は75歳までいますよ。75歳のおばあちゃんがいい味を出しているんですよ。僕のお店ではお客さんとどんどん話をしていいと教育していて、おばあちゃん、みんなに幸せを振りまいていますからね。大衆演劇もラーメン屋も、地元のお客さんに愛されなければ存在する意味がありませんから」
僕の店では若い子が理解するまで徹底教育します
──お店の経営方針を教えて頂けますか。「気心人(きしんじん)です。気遣い、心遣い、人に尽くすことをして初めて、人に恵まれてお金が生まれるということを徹底して教えています。従業員には全員、経営者目線で考えて欲しいから、半年に一度の全体会議でお金の流れも公開しています。で、気心人の精神に倣って例えば店長にボーナスが50万円あるとしたら、20万円はほかの従業員のために還元しないと、ボーナスを取り上げますからね(笑)」
──経営者として若い世代に思うことはありますか。
「今の20~30代のコたちって、僕らが若い頃のように学校の先生や家族や先輩に怒られる経験をしていないから、一般常識すら知らないんですよね。でもそれって、僕らの先輩が言わなかったからなわけで、かわいそうでもあるんです。だから僕の店で働くコたちには、理解するまで徹底的に言いますよ。特に入って3ヶ月ぐらい経つと手を抜くことを覚え出しますから、その時は徹底的に」
──その成果は感じますか?
「全員で行くキャンプで感じますね。到着した瞬間から勝負が始まっていて、火を起こして飯を食ってデザート部がデザートを作って……自由に遊べるのは夕食後の1~2時間だけで、次の日は朝5時には起きないと開店に間に合わないからみんなボロボロですけど(笑)若いコたちも必死に先輩に倣いますよ」
──ありがとうございます。最後にもう一度、舞台のPRを!
「宅間さん曰く、舞台を立て直す人がいないらしいので、途中で台本とは違うストーリー展開になるかもしれません……というのは嘘ですが、キャストが奏でる不協和音を楽しみに劇場へ足を運んで下さい」
INFORMATION
舞台「笑う巨塔」
INFO&STORY
舞台は、都内某所のハイソな北町病院。ここにはいろんな面白い人たちが絶賛入院中。アホなとび職の親方とそのファミリー! ドジな代議士&おマヌケ秘書たち! うっかり医師に、おとぼけナース! ただでさえ問題を抱えてアップアップの奴らの元に、ハチャメ チャな街の問題児が紛れ込んできた! 勘違い、行き違いのオンパレードで事態は大爆笑の連鎖を巻き起こす! 03年1月に上演されたコメディの決定版「HUNGRY」がバージョンアップして甦る! おバカな面々はラストに笑うのか!? 幸せは奴らの元へ舞い降りるのか!? セレソンのラストは元気になれる! 劇場で盛り上がりを体感すべし!!
CAST&STAFF
出演/宅間孝行・芦名星・斎藤工/石井愃一・藤吉久美子/伊藤高史・駿河太郎・越村友一・弓削智久・まつこ・井村空美・八幡夏美・喜多陽子/松本明子・デビット伊東/金田明夫
作・演出/宅間孝行
企画・制作/オフィスセレソン
公式HP
10月3日(水)から28日(日)まで東京・池袋サンシャイン劇場で上演。札幌、新潟、大阪、広島、福岡、名古屋でも公演。
PROFILE
デビット伊東(でびっと・いとう)
1966年8月12日生まれ 埼玉県出身
86年にヒロミ、ミスターちんと3人でコントグループB-21SPECIALを結成。バラエティをはじめ俳優としてもドラマ、映画など幅広く活躍。また、テレビ番組の企画により博多でラーメン修行し、現在はラーメン店「でびっと」国内7店舗、海外2店舗の経営者でもある。近作にドラマ「花より男子」「おひとりさま」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」、映画「山形スクリーム」「臨場 劇場版」、舞台「憑神」「ナンシー」などがある。8月23日に東京・赤坂のBLITZで上演される即興舞台に出演。tvk「あっぱれ!KANAGAWA 大行進」出演中。
公式HP
公式HP
舞台「笑う巨塔」
INFO&STORY
舞台は、都内某所のハイソな北町病院。ここにはいろんな面白い人たちが絶賛入院中。アホなとび職の親方とそのファミリー! ドジな代議士&おマヌケ秘書たち! うっかり医師に、おとぼけナース! ただでさえ問題を抱えてアップアップの奴らの元に、ハチャメ チャな街の問題児が紛れ込んできた! 勘違い、行き違いのオンパレードで事態は大爆笑の連鎖を巻き起こす! 03年1月に上演されたコメディの決定版「HUNGRY」がバージョンアップして甦る! おバカな面々はラストに笑うのか!? 幸せは奴らの元へ舞い降りるのか!? セレソンのラストは元気になれる! 劇場で盛り上がりを体感すべし!!
CAST&STAFF
出演/宅間孝行・芦名星・斎藤工/石井愃一・藤吉久美子/伊藤高史・駿河太郎・越村友一・弓削智久・まつこ・井村空美・八幡夏美・喜多陽子/松本明子・デビット伊東/金田明夫
作・演出/宅間孝行
企画・制作/オフィスセレソン
公式HP
10月3日(水)から28日(日)まで東京・池袋サンシャイン劇場で上演。札幌、新潟、大阪、広島、福岡、名古屋でも公演。
PROFILE
デビット伊東(でびっと・いとう)
1966年8月12日生まれ 埼玉県出身
86年にヒロミ、ミスターちんと3人でコントグループB-21SPECIALを結成。バラエティをはじめ俳優としてもドラマ、映画など幅広く活躍。また、テレビ番組の企画により博多でラーメン修行し、現在はラーメン店「でびっと」国内7店舗、海外2店舗の経営者でもある。近作にドラマ「花より男子」「おひとりさま」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」、映画「山形スクリーム」「臨場 劇場版」、舞台「憑神」「ナンシー」などがある。8月23日に東京・赤坂のBLITZで上演される即興舞台に出演。tvk「あっぱれ!KANAGAWA 大行進」出演中。
公式HP
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/谷口達郎