「今回、僕はラスト近くのドニーvsカン・リーのアクションを演出しました中国映画初のパルクールは印象的になったと思います」

ドニー・イェン、レオン・ライ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビンらアジアスターが集結し、「レッドクリフPart2」を超える大ヒットを記録した中国映画「孫文の義士団」が４月16日から公開中！　同作でスタントコーディネーターを務められた、谷垣健治さん独占インタビューに成功しました!!
──谷垣さんがスタントコーディネーターを務めた映画『孫文の義士団』の公開が始まりましたね。まずは、スタントコーディネーターという職業について教えて頂けますか。
「アクションシーン全般のあらゆることですね。スタントマンの採用やアクション指導に編集などもう何でも屋です（笑）」

──本作へは主演俳優のドニー・イェンから直々に参加オファーがあったと聞きました。
「95年にドニーが主演したテレビシリーズ作品を手伝ったことがきっかけで、一緒にやるようになりました。彼はバカみたいに無茶をするスタントマンが好きだから（笑）、そういうところが気に入ったんじゃないですかね。今回、僕はラスト近くのドニーvsカン・リーのシーンを演出したんですけど、あの場面だけ“浮いている感じ”が逆に新鮮でいいかなと思いました。中国映画初のパルクールに激しい殴り合いをプラスして印象的になったと思います。ところでなぜアクション映画は納屋や倉庫内で戦う場面が多いか知っていますか？」

──えっ、なぜですか!?
「室内であれば24時間撮影ができるし、天気も気にしなくていいから集中して撮影できるからです。だけど、今回は８割が外でのアクション撮影。今思い返しても大変だった。でも面白さは抜群ですよ」

──今回、最も苦労したシーンは。
「この作品に限らず、外での撮影でエキストラの人たちが大勢出演する時は苦労の連続ですよ。例えばエキストラを５００人使う場合は10人スタントマンを用意して、１人のスタントマンが50人に指示を出す。それぞれが衣装の中にトランシーバーを隠し持って（笑）、スタントコーディネーターの指示を聞いて動くんですけど、エキストラ全員に言うことを聞いてもらうのは至難の業。真剣なシーンなのに笑っていたり、携帯でしゃべっている人も珍しくないですからね（笑）」

──では、作品の見どころを。
「アクション映画って、ドラマ部分とアクションシーンの両方が上質じゃないと流れが分からなくなってしまうんだけど、この映画はクレバーな作り。最初60分のドラマで登場人物の事情に見入ることができるから、残り60分のアクションシーンは思う存分、堪能できます！　歴史を知らなくても楽しめるヒューマンドラマだから、アクションが苦手という人も映画館へ足を運んでほしいですね」
──何人ものアクション監督がいるのも功を奏したとか。
「そうなんですよ！　タイプの違うアクションチームがやることで登場人物の多いこの映画のアクションがバラエティ豊かになったと思いますね」

──谷垣さんは『ジャッキー・チェンが認めた日本人』として有名ですよね。
「いやいや、全然です。ただ最近になって『香港に来た頃はバカだったが（笑）…今はよく頑張ってる』と言ってもらえるようになりました。彼の映画が好きでこの世界に飛び込み、武術指導で食べていきたいと思ったワケですからうれしかったですね」

──そんな谷垣さんのように夢を叶える秘訣は？
「若い頃に僕は自分の実力を試してみたくて、誰にも求められていないのに一人で香港へ渡って就職活動に励んだんです。突然海外の会社へ訪問して雇ってくれとお願いするなんて“痛い人”ですけど（笑）、捨て身の一生懸命さが他人の目を引きつけると今は自信を持って言えます。カッコつけるのは一人前になってからでも遅くない！　と若い人には伝えたいですね」