「最初の肉は、お父さんとその愛人でした…」人間が人間の肉を食するという最大のタブー“カニバリズム”をテーマに描かれた福満しげゆき氏の人気原作コミック『娘味』が、映画『フリーキッチン』として実写化され、11月28日よりレイトショー公開される。劇中ヒロインのカナ役を好演した、女優の大貫真代さんを直撃。「ミツオが母親との共依存から脱出する成長物語でもあります」という、作品の見どころや、トラウマになったと語る撮影秘話を聞きました。
映画に唐揚げが出てきますが打ち上げでも食べました(笑)
──人間が人肉を食べるという“カニバリズム”がテーマですが、台本を読んだ感想は。「最初に福満しげゆきさんの原作を読んだ時、『これをどうやって映像化するのかな』と思ったんですけど、台本を読んで、絶対に面白くなると思いました。ストーリーがしっかりと組み立てられているから、カニバリズムという言葉を聞いていい印象を持たない方も、楽しんで頂けるはずです。というのも私自身も最初はコレってどうなんんだろう? という気持ちでしたけど、完成作品を観たら、好きなシーンがたくさんあったんです。ネタバレになるから詳しくは言えないんですけど、私が演じたカナと、ミツオとミツオの母親3人のシーンと、そして、ラストの……。最高に好きですね」
──食事シーンが多いことも作品の特徴の1つですよね。
「ストーリーの途中で唐揚げが出てくるんですけど、ロケ弁でも唐揚げ弁当が出ました(笑)しかも、本物の臓器が置いてある撮影場所の家で食べたんですよ。少し臭いがするから、みんなでクサイ! と言いながら。そういえば、打ち上げでも唐揚げが出ました。みんなで『誰の肉だ?』と言いながら食べました」
──えっ? 現場に本物の臓器があったんですか!?
「そうなんです。冷蔵庫の中身が映るシーンとお風呂の中の一部は、本物です。映画に出てくる食事シーンって美味しそうに見えるから好きなんですけど、この作品は特別ですね。レイトショーですから、みなさんは食事を済ませて映画館へ行ったほうがいいかもしれません」
──ミツオとカナが公園でランチをする、和やかな食事シーンもありますよね。
「あの場面は、2人の行末が気になってドキドキしながらも癒やされますよね。カナのお弁当には卵焼きが入っていましたけど、私も甘い卵焼きが得意料理。そこが共通点でした」
部屋にコオロギが大量発生!更に爬虫類嫌いになりました
──ミツオとカナの純愛も物語の軸ですが、ご自身の恋愛観は?「カナは、ミツオに心境の変化をもたらすほど明るくて積極的なコですけど私は恋をすると顔に出てしまって、告白する前に相手にバレちゃうんです。自分から近づいてはいくんですけど、不器用だから挨拶ぐらいしかできずに終わってしまうっていう。中学時代の初恋も、教科書を貸してくれただけでキュンとして好きになって、でも、当時は話しかけるのが精一杯でした」
──カナのほうが積極的ですね。ペットショップの店員として、自ら話しかけていきますもんね。
「爬虫類はずっと苦手だったんです。でも眺めているうちに、可愛いなと思うようになっていました。だけど私には絶対に飼えないと分かりました。“もぐ”という名前の猫を飼っているんですけど、猫が一番。毎日一緒に寝て癒やされています」
──爬虫類嫌いに磨きがかかった理由は何ですか?
「フトアゴヒゲトカゲの餌ってコオロギなんですけど撮影中、入れていた袋が破れて、部屋にコオロギが大量発生してしまったんです。全員で紙コップを被せて捕獲する中、私は怖くて部屋の隅で震えながら、終わるのを待ちました。今でもあの“カサカサ”という音を聞くとあの時の恐怖が蘇ってきて、トラウマみたいになってます…」
──大変な経験をしましたが、ご自身にとってどんな位置づけの作品になりそうですか。
「初の劇場映画作品への出演で初のヒロイン役を演じさせて頂いたので、何年経っても大切な作品で、迷ったり悩んだりした時に振り返ると思います。きっと、コオロギのトラウマとともに(笑)」
INFORMATION
■映画『フリーキッチン』
INFO&STORY
母親と2人で暮らす高校生のミツオ(森田桐矢)。幼い頃に母が殺した父と愛人を食して以来、食卓には人間の肉を使った料理が当たり前のように並ぶようになった。ミツオの知らないうちに人を捕まえ、浴槽で手際よく料理をする母。その肉を食べただけで性別や年齢まで分かるようになってしまったミツオ。そんなミツオがペットショップの店員カナ(大貫真代)に惹かれはじめるのだが…。福満しげゆきの短編漫画「娘味」を実写映画化し、カニバリズムをベースに描いたホラーテイストのブラックコメディ。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014」オフシアター部門出品作でもある。
CAST&STAFF
出演/森田桐矢・大貫真代・延増静美・政岡泰志・種子・鈴木一功ら。
監督・脚本/中村研太郎
原作/福満しげゆき「娘味」(青林工藝舎)
配給/FUZZ FILM WORKS
公式HP
11月28日(土)ユーロスペースにてレイトショー
PROFILE
大貫真代(おおぬき・まよ)
1993年3月20日生まれ 神奈川県出身
映画、テレビ、舞台、CMなど女優として活動。近年の主な作品に、映画「罪の余白」「絶狼-BLACK BLOOD-」、テレビドラマ「美女と男子」(NHK)「デート~恋とはどんなものかしら~」(CX)、舞台「悪党どもが多すぎる」がある。千葉ロッテマリーンズ応援番組「ロッテレビ」レポーター。
公式ブログ
公式Twitter
■映画『フリーキッチン』
INFO&STORY
母親と2人で暮らす高校生のミツオ(森田桐矢)。幼い頃に母が殺した父と愛人を食して以来、食卓には人間の肉を使った料理が当たり前のように並ぶようになった。ミツオの知らないうちに人を捕まえ、浴槽で手際よく料理をする母。その肉を食べただけで性別や年齢まで分かるようになってしまったミツオ。そんなミツオがペットショップの店員カナ(大貫真代)に惹かれはじめるのだが…。福満しげゆきの短編漫画「娘味」を実写映画化し、カニバリズムをベースに描いたホラーテイストのブラックコメディ。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014」オフシアター部門出品作でもある。
CAST&STAFF
出演/森田桐矢・大貫真代・延増静美・政岡泰志・種子・鈴木一功ら。
監督・脚本/中村研太郎
原作/福満しげゆき「娘味」(青林工藝舎)
配給/FUZZ FILM WORKS
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11月28日(土)ユーロスペースにてレイトショー
PROFILE
大貫真代(おおぬき・まよ)
1993年3月20日生まれ 神奈川県出身
映画、テレビ、舞台、CMなど女優として活動。近年の主な作品に、映画「罪の余白」「絶狼-BLACK BLOOD-」、テレビドラマ「美女と男子」(NHK)「デート~恋とはどんなものかしら~」(CX)、舞台「悪党どもが多すぎる」がある。千葉ロッテマリーンズ応援番組「ロッテレビ」レポーター。
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撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら