長原「仲間や親の大切さに改めて気づく映画だと思います。昔の男は何か事を起こす 時に、無意識に“大義名分”を持っていたという事実も知ってもらえたら」
鎌苅「親子3人のシーンが好きで、特にカレーの上にコロッケが3つ乗る場面や ラストシーンは、思い出すと今でも胸があったかくなります」
芸人、役者として活躍する長原成樹さんの自伝小説「犬の首輪とコロッケと―セキとズイホウの30年」が映画化され1月28日より公開。自ら名乗りを挙げて監督を務めた長原さんと、主役のセイキを演じた俳優鎌苅健太さんが、作品の見どころを語ってくれました。大物俳優も絶賛した本作は、見どころのオンパレード。必見です!!
“ぐっさん”を父親役に指名 二つ返事で出てくれました
芸人、役者の長原成樹さんが 初メガホンを執り、自伝小説を 映画化。昭和の大阪市生野区を 舞台に、ワルの道からお笑いの 世界へ飛び込んだ男の青春を笑 いと涙、アクションを交えて描 いた作品。若手俳優の鎌苅健太 さんが主人公を等身大で好演し ている。11年の「沖縄国際映画 祭」でも上映された同作が満を 持して全国公開!──長原さんが原作と監督の映画 「犬の首輪とコロッケと」が1 月28日に公開ですね。自伝小説 の映画化は、いかがでしたか。
長原「3年前に原作を執筆した 当時から映像化すればいいなと 思っていたから、素直にうれし かったですね。撮影期間が短く て、スケジュールがめっちゃタ イトでしたけど。でもみんな倒 れそうになるくらい、がむしゃ らに、必死に取り組んでくれて 本番中にマイクが映像に映り込 んでも文句を言う気にはなれま せんでした」
──鎌苅さんは主演を務められて、 いかがでしたか。
鎌苅「長原監督の目の前でご本 人の若い頃を演じるというプレ ッシャーがあったし、僕が経験 したことのない出来事ばかりな ので、原作を読ませて頂いた時 点からこれは頑張らなくては、 と。現場で監督に『自分だった らここはこう思う』と、手取り 足取り丁寧に指導して頂きまし たけど、その要望に応えるだけ で精一杯でしたね」
長原「僕は作品は監督のものと 考えるタイプですから、鎌苅く んには辛く当たりましたよ。自 分の若い頃を演じてもらうワケ ですから、そりゃあうるさく指 導しましたね」
──キャスティングは長原さんの 意見が反映されていますか。
長原「セイキの父親役にはぐっ さん(山口智充)を即、指名し ましたね。向こうも僕の原作を 読んでくれていてやりたいと思 ってくれていたらしくて、二つ 返事でOKしてくれました。似 てるんですよ、亡くなった親父 と背格好や雰囲気が」
鎌苅「山口さんはとても存在が 大きな方で、演じているうちに 僕も本当の父親のように甘えた り、反抗したりという演技を自 然としていました」
仲間や親の大切さに改めて気づく心があったまる映画
──それぞれ好きなシーンを教えて下さい。鎌苅「親子3人のシーンが好きで、特にカレーの上にコロッケ が3つ乗る場面とか、ラストシ ーンは今でも父親役の山口さん と兄貴役の波岡(一喜)さんの 顔を思い出して、胸があったか くなります」
長原「僕が一番こだわったのは、セイキが少年院から出てくるシーンです。1年2ヶ月、セイキ が少年院で過ごした間にお父ち ゃんが老化する。その時の経過 を1分間で表現したので、注目 してもらいたいですね」
──ズバリ見どころは?
長原「仲間や親の大切さに改めて気づいてもらえる映画だと思います。昔の男は何か事を起こ す時に、無意識に友だちのため、 親のためといった“大義名分”を持っていたんだ、という事実も知ってもらえたら」
鎌苅「僕と同世代の人たちが観ると、ゆるい繋がりではなく、深い人間関係を築くことが大事 だと思えるかもしれません。とにかく観るだけで心が温まるこ と確実です」
今回は原作の半分を映画化続編もぜひつくりたいです
──本作はある大物俳優にも絶賛されたと伺いましたが、それはどなたですか。長原「そうなんですよ。うれしいことに西田敏行さんに『よかったよ』と握手して頂きまして。この映画は主人公の生活を盗み見る感覚に近いから、大きい場所でいくつかやるより小さめの映画館でもいいから日本全国で観てほしいよね、と言って頂きました」
──ちなみに続編などは…?
長原「今回は原作の半分を映画化しました。だからこそ、続編はぜひ製作したいですね。監督業がホントに楽し過ぎて、撮影中は2年ぐらいこの状況が続けばいいのに、と思ってましたから(笑)」
鎌苅「本当に続編が決まったら、次は一度でいいから監督に褒められたいです(笑)。この役を含めて、今の仕事を自分なりに楽しんで、続けたいですね」
INFORMATION
■映画『犬の首輪とコロッケと』
【STORY&INFO】80年代の大阪・生野区。毎日、食卓にコロッケとキムチしか出さない在日韓国人の父親のもとに生まれたセイキは、ケンカや窃盗に明け暮れ、少年院に入れられてしまう。やがて少年院を出たセイキは、友人から紹介されたミチコのために真面目に生きることを決意。芸人を目指していた相棒のタツヤに誘われお笑いの道へ進むが、そんなセイキに対してミチコはある秘密を隠していた…。芸人・役者として活躍する長原成樹が、自伝小説「犬の首輪とコロッケと一セキとズイホウの30年」を自らのメガホンで映画化した初監督作。
【CAST&STAFF】出演/鎌苅健太・ちすん・中村昌也・宮下雄也(RUN&GUN)・池田純矢・波岡一喜・宮地真緒・街田しおん・松尾貴史・今田耕司(友情出演)・山口智充
監督・原作/長原成樹
脚本/稲本達郎
製作/吉本興業
配給/ファントム・フィルム
公式HP
1月28日(土)よりシネマスクエアとうきゅうほかロードショー
(C) 吉本興業
PROFILE
長原成樹(ながはら・せいき)
64年4月18日生まれ 大阪府出身
少年時代から札付きのワルだったが心機一転、83年から吉本興業に所属し、漫才師としての道を歩み始める。漫才コンビ・ヤンキースとして活躍する一方、映画「風、スローダウン」など役者として数多くの作品に出演。現在はコンビを解散。ABC「探偵!ナイトスクープ」などの人気番組に出演しながら、多方面で活躍中。
鎌苅健太(かまかり・けんた)
84年2月17日生まれ 大阪府出身
舞台「THE☆BUSAIKU」で05年に俳優デビュー。ミュージカル「テニスの王子様」宍戸亮役で人気を博し以降、映画、ドラマ、舞台、バラエティで活躍。映画はほかに「新宿区歌舞伎町保育園」「苦い蜜~消えたレコード」「アメイジング グレイス~儚き男たちへの詩~」「シャッフル」「Miss Boys!」などがある。NHK大阪「あほやねん!すきやねん!」火曜日MCとして出演中。
公式HP
■映画『犬の首輪とコロッケと』
【STORY&INFO】80年代の大阪・生野区。毎日、食卓にコロッケとキムチしか出さない在日韓国人の父親のもとに生まれたセイキは、ケンカや窃盗に明け暮れ、少年院に入れられてしまう。やがて少年院を出たセイキは、友人から紹介されたミチコのために真面目に生きることを決意。芸人を目指していた相棒のタツヤに誘われお笑いの道へ進むが、そんなセイキに対してミチコはある秘密を隠していた…。芸人・役者として活躍する長原成樹が、自伝小説「犬の首輪とコロッケと一セキとズイホウの30年」を自らのメガホンで映画化した初監督作。
【CAST&STAFF】出演/鎌苅健太・ちすん・中村昌也・宮下雄也(RUN&GUN)・池田純矢・波岡一喜・宮地真緒・街田しおん・松尾貴史・今田耕司(友情出演)・山口智充
監督・原作/長原成樹
脚本/稲本達郎
製作/吉本興業
配給/ファントム・フィルム
公式HP
1月28日(土)よりシネマスクエアとうきゅうほかロードショー
(C) 吉本興業
PROFILE
長原成樹(ながはら・せいき)
64年4月18日生まれ 大阪府出身
少年時代から札付きのワルだったが心機一転、83年から吉本興業に所属し、漫才師としての道を歩み始める。漫才コンビ・ヤンキースとして活躍する一方、映画「風、スローダウン」など役者として数多くの作品に出演。現在はコンビを解散。ABC「探偵!ナイトスクープ」などの人気番組に出演しながら、多方面で活躍中。
鎌苅健太(かまかり・けんた)
84年2月17日生まれ 大阪府出身
舞台「THE☆BUSAIKU」で05年に俳優デビュー。ミュージカル「テニスの王子様」宍戸亮役で人気を博し以降、映画、ドラマ、舞台、バラエティで活躍。映画はほかに「新宿区歌舞伎町保育園」「苦い蜜~消えたレコード」「アメイジング グレイス~儚き男たちへの詩~」「シャッフル」「Miss Boys!」などがある。NHK大阪「あほやねん!すきやねん!」火曜日MCとして出演中。
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一