「お前に食わせるタンメンはねぇ！」のギャグで知られる“勝ち残り”お笑いコンビ次長課長の河本準一さん。「ぱちんこ必殺仕事人Ⅳ」のキャラ出演、レギュラー出演する「イラっとくる韓国語講座」のリリースラッシュ、映画「ホルモン女」が収められたDVDと書籍も発売決定。と売れっ子街道まっしぐらだ。だが、そんな河本さんにも苦闘時代はあった。仕事観、人生観を聞くと至言が溢れ出す。苦労があったから、こそか。ファンならずとも必読な言葉の数々をどうぞ！
名古屋生まれ、岡山育ち。ＮＳＣ大阪校を経て94年にコンビ結成。大人気お笑い芸人は恐妻家としても知られ一男一女の父でもある。河本準一さん（次長課長）に直撃インタビュー!!

──河本さんがテレビ東京でレギュラー出演している番組「イラっとくる韓国語講座」（木曜深夜３時30分）のＤＶＤ化が決定。アプリや公式本、教科書も続々とリリースされるそうですね。まず教科書と公式本の違いは、どこにあるのでしょうか。
「公式本は番組で使わせて頂いたロケ地を地図や店名、住所まで細かく載せてあります。番組がオススメするお店もたくさん掲載されているから、現地で使える本ですね。教科書は名前のまんまです。“イラ韓”のスタッフが本当に真剣に向き合ってくれて、初心者でも話せるレベルにまでなるように、順を追って優しく解説してあります。韓国ブームですから、その波に負けないように、それでいて、買ってくれた人が勉強をしたら挫折しないように。35歳から勉強を始めた僕がしゃべれるようになるまでの解説もついてるから、読めば納得してもらえるかと」

──35歳から韓国語の勉強を始めて今ではペラペラ…すごいですね。
「正式に先生をつけたのが去年の４月、それから８ヵ月ですね。でもみんな、“勉強しなくちゃ”という気持ちになると手が動きませんよね？　それは僕も同じで、だから、自分で自分を育成しているような、“育成ゲーム”感覚で学びました。で、少ししゃべれるようになったら、あとは度胸あるのみ。ちょっと言葉を覚えられたかなと感じたら、度胸を出して現地に行くことをオススメします。もし、しゃべれなくても向こうの人は温かくて優しいから、心配しなくて大丈夫ですよ」

──河本さんがそこまで韓国にハマッた理由は？
「人のことを思いやるとか人情味の感覚が、大阪の人間と同じなんですよ。よく、東京と大阪の人間って違うと言うでしょ？　例えば道を尋ねると東京の人は『分からない』のひと言で終わりですけど、『ほな、一緒に連れてったるわー』っていうのが大阪だって。この人柄の良さを、ぜひみなさんに知って頂きたくて番組も始めたんです。ゆっくりしゃべれば伝わりますから“イラ韓”で韓国語を勉強したら、韓国に遊びに行ってもらいたいです」

──ほかにも河本さんがキャラ出演されている「ぱちんこ必殺仕事人Ⅳ」もホールデビュー。試打されたそうですがいかがでしたか。
「いやー、今まで打った必殺シリーズの中で、一番演出がスゴいんじゃないですか？」

──プライベートでもパチンコを。
「しますね。定期的にはしませんけど。行くと知らないオジさんに僕だってバレて『出てる？』と聞かれるから『出てる』って答えてます。みなさん、基本は放っておいてくれますね」

──日本テレビ系「火曜サプライズ」の人気コーナー「京さま・慎ちゃん　都バスで飛ばすぜぃ！」で共演の京本政樹さんと、先行特別展示会でご一緒されましたよね。
「実は、呼んでくれたの京本さんなんですよ！『河本と組みたい』とおっしゃってくれたみたいで。あとから柳沢（慎吾）さんに『どーなってんのよ』って突っ込まれましたけど、呼んで頂けるのはありがたいですよね、ホントに」

──各方面に引っ張りだこで忙しいと思いますが、体は大丈夫ですか。
「大丈夫です。っていうか、休みはいらないんですよ。仕事をしてる時が一番、楽しいですから」

──そんな心境になるにはどうしたら…？
「う?ん…僕がこの仕事で食べられる人間になれるかどうかが決まるまでに11年かかってますからね。食えない頃、当然バイトをしてて芸人の仕事は不定期に入るから雇用先が嫌がるんですよ。急遽、打ち合わせとかスケジュールを空けてほしいって吉本から頼まれて仕事を休むバイトなんて、雇いたくないでしょ？　それでも芸人を辞める気にはならなかった。月15万の固定給で、好きでもない仕事に甘んじたくなかった。だから僕がが言えるのは、夢に人生を捧げる覚悟があるかどうか、ですね」

──辞めたいと思ったことは。
「若い頃は特に、瞬間湯沸かし器みたいにキレて『辞めてやるわ！』ってよく叫んでました。生活がギリギリだから、先輩にご飯を奢ってもらって何とか、食いつないでいた状態でしたから。同年代でサラリーマンをしてる奴らは安定した生活を手に入れてるのに、こっちは散々ですからね。無理もありませんけど」

──それでも…。
「怒りが収まって冷静になると、やっぱりやりたい仕事は芸人だけなんだなって思えたからではないでしょうか。何度が辞めたいと思ったことがありますけど、いつもその繰り返し。だから続けるしかなかったんですよ」

──生活できるまでに11年、同年代と比較して落胆…芸人人生は楽じゃないですね。
「生き残るの大変なんですよ。テレビで活躍してる芸人って、氷山の一角すらいないと思います。この事実をもっと知ってもらいたいですね、大変なんだぞと」

──仕事で心掛けているのは。
「先輩の番組に呼ばれたら、必ず爪痕を残す。それが先輩であればあるほど爪痕を残す、ってことですかね。この世界は年功序列じゃないんで僕みたいな位置にいる芸人でも、社長クラスの芸人を倒すことができるんです。倒すっていうと大げさやけど、翌日に何となく、自分のやった仕事を自己肯定できる。それが爪痕を残すってことです。『いつかとったる！』って気持ちを先輩に対して持っていないと、やっていけない世界でもあるということですけどね。１時間番組の時は２時間収録するのが普通ですけど、それって、１時間は切られるってこと。その、切られないほうに何とか食い込んで笑いをとる。そういう観点から考えると、刺激的な世界ですわ。ずーーっとお笑いのことを考えていますよ。僕ら芸人が、視聴者のみなさんが考えうるリアクションをしていては、芸人失格なワケですよ。予測不可能なことをするから楽しんでもらえるワケで。だから四六時中、お笑いのことを考え続けてますね。好きなことだから苦じゃないですよ。でも、人と違うことを常に考え続けているわけですから、芸人なんて頭イカれてる奴ばっかりですわ」

──そんな河本さんにも息抜きの場はありますよね。
「子どもといる時間ですね。上の虎太朗も可愛いですけど、今１歳少しの娘がもう可愛い盛りなんですよ。夜泣きしてても抱っこすると、仕事の疲れは抜けますね」

──仕事もプライベートも充実、素晴らしい！　最後にメッセージをお願いできますか。
「僕が芸人を目指してた頃と今は時代が違うから、無理して１つのことを続ける必要はないと思うんですよ。向いてないことを辞めるのも１つの選択肢。いろんな職業を経験したその中から自分の個性を引き出すのも、人によってはベストな方法だと思いますよ」

　ご自身の人生観を丁寧に語ってくれた河本さん。芸能界で一時代を築いた人の話には説得力がある、と痛感したインタビューでした。