11年に大阪でコンビ結成も劇場に馴染めず、「環境を変えたい。仕事の間口を広げたい」と東京にやってきたヤーレンズのお二人。『M―1グランプリ』では2年連続でセミファイナリストに名を連ねた。M―1への意気込み、手応えはもちろんネタ選び、ライブについて、〝ヤレロマ〟な話、出会いと結成の経緯、仲がいい&ライバル視する芸人、そしてコンビ名の由来でもあるサザンオールスターズ、桑田佳祐さんの好きな楽曲まで聞かせて頂いた。24年、ブレイク確実なヤーレンズの動向から目が離せない!!
『普段通りできるか否か。いつものようにやれたら栄冠に手が届くはず!』
『大好きなお笑いライブという〝文化〟を盛り上げるための力添えができたら』
『大好きなお笑いライブという〝文化〟を盛り上げるための力添えができたら』
M―1参戦から早く抜け出してのびのび漫才ができる人生にしたい ──「M―1グランプリ」の意気込みから聞かせてください。
楢原「優勝や!〝アレ〟や!去年のリベンジや!」
出井「まずは決勝に!ホントに人生が変わりますから」
楢原「優勝しないと終わらない」
出井「予選の最中は苦しいし、早く抜け出してのびのび漫才ができる人生にしたい」
──年間のどのタイミングで意識しますか。
楢原「去年の敗者復活戦の結果が出た段階です。令和ロマンと舞台上で『ツーマンやろう!!』って。みんなが『頑張れオズワルド!』と言っている中、切り替えて」
──ネタ選びは?
楢原「温存とかできるコンビが羨ましい。常に一番のをやっているだけで自転車操業」
出井「持ち時間に合わせた一番いいヤツを。ウケはもちろん自分たちが好きなネタで」
楢原「選べるぐらい作りたいけど4分のネタができない。M―1は今年の準決勝進出者の中で一番向いてないと思う」
出井「長距離走者で10分、15分と長くやらしてもらったほうが面白いタイプなので4分は…」
楢原「準決勝のメンバーで10分の大会があったら100%優勝します!我々の10分は誰だろうが相手にならないですね」
──準々決勝終わりのブログでライブの大切さを綴られてました。
出井「メディアの仕事は頂くものでオファーがないと出られないですけど、有り難いことにライブは出たかったら出られる。仕事がなく出なきゃっていう状況が長く続いてそれがいつしか『ライブっていいなあ』に変わり、先の話ですけどお笑いライブという文化を盛り上げるために一役を担えたら。どうですか、ライブは?」
楢原「ブログを書いたのは私なのに、ずっとしゃべってましたね。出続けたいです」
──ここまでの手応えは。
出井「毎日漫才に明け暮れていて毎回ドカンとウケている」
楢原「宣伝有難うございます」
出井「客観的に見て、こんなヤツらがトップ10に入らないワケがないだろうと思うので証明できたら。お客さんやファンの方が我々を信じてくれているのを感じるので、悪くない手応えです」
楢原「2、3回戦はそんなに手応えがなかった(笑)ただ準々決勝はスゴかった。あんなに会場が重かったのに…ルミネが爆発してたもん。よく楽しんでやりたいという人がいますけど、我々の場合いつも通りできるかだけ。それができたら優勝できるはず」
──そんなお二人の出会い、コンビ結成の経緯は。
楢原「出会いは突然でしたね」
出井「そんなことなかったよ。お互いがコンビを解散したタイミングでやろうかと。辞めようかなぐらいの感じでいたら誘いがあったので。周りの芸人が結果を出し始めていたので背水の陣でした」
楢原「23歳、24歳とかでヤバい、辞めようなんて今の時代はまったく思わないのに」
今の事務所に所属したことで数多くの人と出会いに恵まれました! ──14年に大阪から東京へ活動の場を変えます。
楢原「劇場に馴染めなかったのがデカい。お客さんのウケは良かったのに作家さんにハマらずキライとまで言われて」
出井「劇場は毎日同じメンバーでやってる学校みたいなもので、僕らは遅く合流したのでずっと転校生のような感覚でした」
楢原「劇場に同じぐらいの時期に入ったロングコートダディやニッポンの社長、滝音とかとは仲が良かった」
出井「ちょっと後輩だもんね」
楢原「勝手に同期だと思っていてでも向こうからすると5年先輩なので(笑)ココともそんなに仲良くはなれない。居心地はあまり良くなかったですね」
──事務所への所属はどんな流れで。
出井「マネージャーさんがたまたまライブを見に来ていて挨拶したら誘って頂きました。それで事務所を調べたらトム・ブラウンの名前があって元々知ってはいたのでいいなと」
楢原「いながらにしてあれですけど吉本が良かったなあ(笑)」
出井「なんでだよ」
楢原「ウソです。そんなことないです。ケイダッシュステージで人との出会いに恵まれました。吉本の芸人とも仲良くなれたし」
──仲がいい芸人さんは?
楢原「トム・ブラウンとは仲いいですね。一緒にM―1ファイナリストになれたら」
出井「他事務所だとモグライダーさんとかは長く一緒にやらせてもらっていてケイダッシュに入ってなかったらどうなっていたか」
楢原「接点がなかったから仲良くなってないかもね。吉本の芸人もいっぱいライブに呼んでくれるし、いい環境です」
──トム・ブラウンさんとの印象的なエピソードはありますか。
楢原「感覚的なお笑いをやっているのでそこに関してはアドバイスをもらったりしてます」
出井「僕らは2人とも理屈をこねちゃうタイプで」
楢原「言うなよー。適当適当で」
出井「舞台袖から出てくる順番を楢原からにした方がいいと。それまでは出井、楢原の順で理由を聞いたらその方がよくない?って。2人を信用しているので、じゃあそうしようと」
楢原「期待値として変なヤツの方が先に出てきた方がいい」
出井「オードリーさんは春日さんが後からゆっくり出てくるけど我々は楢原さんが先がいいというトム・ブラウン判断で(笑)」
──芸人の道に進んだのは?楢原さんは大学受験に失敗して、ご両親のススメでと伺いました。
楢原「そのままですね。小さい頃はやりたいと言ってたけど中高ではそんなこともなく大学に行かなくなったので養成所に」
出井「大学を1年で辞めて奨学金をNSCの入学金に充てて、一昨年に全部返しました」
──サザンオールスターズの楽曲がコンビ名に由来するお二人。それぞれ好きな曲を挙げると。
楢原「今だと桑田佳祐の『月』です。この季節は沁みますねえ」
出井「桑田佳祐の『東京』を。俺も一番好きなのは『月』かも」
楢原「そうだった?あげようか。桑田さんソロの『オアシスと果樹園』にします」
──サザンだと。
出井「『ドラマで始まる恋なのに』が好きなんですが一回もライブで歌ってくれないんですよ」
楢原「『顔』ですね。唯一無二、あんな曲聴いたことがない」
今年も残り僅かですが人生変わると思います!何としても変えます ──話は変わりますが、ライバルの芸人さんは誰ですか。
楢原「ちょっと前だとランジャタイやモグライダー、トム・ブラウンとかがよく同じライブに出ていたけどみんな卒業しちゃったのでライバルと思う人がいない。芸歴18年目でM―1で戦ってる中でも先輩なので(笑)ななまがりは同期で尊敬しているけど、そんな感じじゃない」
出井「自分自身?」
楢原「でもないな。後輩をライバルというのも変だし」
出井「M―1準決勝に残っているシシガシラ。脇田(浩幸)は同期で、友だちですけどライバルと言えばライバル。切磋琢磨する仲間ですね」
──小誌が求人情報誌なのでアルバイトの話も伺えますか。
出井「東京に来てからもしばらくはバイトしてました」
楢原「僕は個人経営のうどん屋さんで東京でのバイトはそこだけ。大阪時代はよくクビになっててバイトができない。原因は能力じゃなくて性格ですね。人間関係がうまくいったことがない。いまだにお世話になっているうどん屋さんが奇跡です」
出井「大阪の時は同じ系列の別店舗で働いていたけど『アイツはダメだ』という話が系列店越しに聞こえてきましたから」
楢原「仕事ができないとかじゃなくて。とにかく人間関係が煩わしくて苦痛でした」
──バイト卒業は?
楢原「有り難いことにたくさんライブに呼んで頂けるようになり、単純に忙しくてバイトしている時間がない」
出井「朝、モスバーガーでバイトしていたけどTBSラジオ『伊集院光とらじおと』のレポーターの仕事が決まって、なかなか入れず辞めました」
──上京理由の1つに環境を変えるがありました。転職=環境を変えることも大事ですよね。
出井「だと思いますね」
楢原「モチベーションのひとつで変えて良かったにしないとダメだから頑張る。期待するだけじゃなく、いいようにしないと」
出井「環境が人をつくるという言葉がありますけど、まさにその通りで実感しました。変えることで習慣や内面が変化して自分自身が変われる。現状に行き詰まっている人はすぐ変えた方がいい」
楢原「バイトも肌に合わなかったら辞めたらいい。いろんな仕事があるから。マジでそう思う」
出井「バイトでいうとずっと深夜勤でマンガ喫茶やコンビニで働いてましたけど朝にしたら気持ちも変わりました」
楢原「大阪時代、風俗ビル1Fでのコンビニ勤務は大変でした。東京のうどん屋さんも接客ですね。高い接客術を求められず、そつなくやっておけば良かったので」
──ツイッターのプロフィール欄に「今年は変えるぜ人生」とありました。いかがですか?
出井「変わると思います」
楢原「変えなきゃダメだから」
出井「(小声で)変えたいっすねー。何としてでも変えます!」
INFORMATION
ヤーレンズ
11年9月、コンビ結成。14年に東京進出し、同年8月からケイダッシュステージに所属。「M-1グランプリ」は2年連続で準決勝に進出した。GERA放送局「ヤーレンズのラジオの虎」が毎週木曜20時から放送中。12月21日(木)新宿バティオスでの「ケイダッシュゴールドライブ」に出演予定。
楢原真樹(ならはら・まさき=写真左)
1986年11月17日生まれ 大阪府池田市出身
公式Twitter
公式Instagram
出井隼之介(でい・じゅんのすけ=写真右)
1987年3月2日生まれ 神奈川県横浜市出身
公式Twitter
公式Instagram
ヤーレンズ
11年9月、コンビ結成。14年に東京進出し、同年8月からケイダッシュステージに所属。「M-1グランプリ」は2年連続で準決勝に進出した。GERA放送局「ヤーレンズのラジオの虎」が毎週木曜20時から放送中。12月21日(木)新宿バティオスでの「ケイダッシュゴールドライブ」に出演予定。
楢原真樹(ならはら・まさき=写真左)
1986年11月17日生まれ 大阪府池田市出身
公式Twitter
公式Instagram
出井隼之介(でい・じゅんのすけ=写真右)
1987年3月2日生まれ 神奈川県横浜市出身
公式Twitter
公式Instagram
Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花