青山学院大学卒の宇野慎太郎さんと一橋大学卒の中田和伸さんという〝高学歴コンビ〟さすらいラビー。在学中から数々の大会で優勝を飾り、卒業後も19年には事務所ライブ年間王者に輝くなど勢いは増すばかり。「M-1グランプリ」も2年連続で準々決勝進出を決めた。そんな2人に笑ゼミ出身の同世代コンビについて、「学生HEROES!」出演時の話、コンビ結成の経緯、9月10月と連勝中の「月笑」の存在まで聞いた。口をそろえたのは『さすらいラビーは〝今〟なんです!!』
『どこに行ってもやれる自覚が芽生えた!いい仕事しますと言いたい』
自己最高ネタができ闘志も備わり戦う準備はできた!力試しの時!!
──参戦中の「M-1グランプリ」のお話から聞かせてください。
宇野「10月中旬に2回戦が終わり無事に通りました」
中田「頑張ってきて良かった」
──手応えや意気込みは?
宇野「去年、初めて準々決勝に進んだのである程度の満足をしたけど、そこで負けてしまい…。その大会で先輩の真空ジェシカがファイナリストと全然違うステージにいったのを見て今年は決勝に行くつもりで臨んでいます(その後、準々決勝進出が決定)」
中田「毎年決勝に行くぞ!と言ってましたが魂が乗ってなかった。今年ようやくファイティングスピリットが備わりました」
──期待してます!去年と今年を比べると。
中田「ネタは良くなり自己ベストを出せることが確定している中で決勝に!という気持ちになれたので他の人と戦う段階に入りました。ワクワクします。この状態でぶつかってどうなるのか?まだ甘いのかもしれないし、ホントの力試しをしたい!」
宇野「同じ気持ちです。真空ジェシカやストレッチーズら僕らの周りが勢いづいている。応援してくれるお客さんも増えているので、追い風に乗っていきたい」
──お名前が出た笑ゼミ出身で同世代の真空ジェシカさん、ストレッチーズさんはどんな存在ですか。
中田「対抗心はあるんですが勢いも実力もあることは重々知っているので『置いて行かないでくれ』と。もちろん負けてない気持ちはあるけど人気の面でやや…若干劣るかなって。女性人気が、結構深い話になってきますけど。ちょっと…一回パスを回します」
宇野「真空ジェシカのガクさんは同じ青学のお笑いサークル出身でずっと変わらず面白い先輩という認識なので売れて良かった。面白いと思っていた人たちが日の目を見て素直に嬉しいです。ストレッチーズは10年以上一緒にやってきてライバルですけど、数々の思い出を共有してきた仲間でもある。ツギクル芸人グランプリでの優勝など2人がちゃんと評価されるのであれば、僕らも大丈夫だろうと励みになりました」
中田「付き合いが長く波のバイオリズムを交互に繰り返してきた感じがあって今はストレッチーズが上。第一に悔しいんですがもうひとつ、ココで僕らが浮上できないと〝物語〟が終わってしまう。これがキモいんですけど途絶えさせたくない、終わらせたくない。意地でも次は上がらないと」
宇野「少年漫画みたいな世界というか、僕らが諦めたら連載が打ち切りになる」
中田「マジで出版できる!」
宇野「だから諦めるワケにはいかないし、2組の物語が面白くなるためには上にいくしかない」
中田「ちょっとキモいよ」
宇野「オマエが言うな!」
──「学生HEROES!」出演時のお話もいいですか。
中田「楽屋であんな態度は大丈夫だったのかとか振り返ると相当数の失礼があったと思います」
宇野「収録中に寝てたもんね」
中田「気持ちいいマブタを閉じていた時間が長かっただけで」
宇野「寝たんじゃねえか(笑)」
中田「芸能界の大先輩方の講義を受ける番組でテレビ局に行かせてもらう有り難い機会でしたけど、そこで売れるぞ!という気持ちがなかった。よく分からず参加させてもらっていたので長い講義はちょっと…」
宇野「どんな言い訳だよ」
中田「言わないでよー」
宇野「絶対に載せてくださいね。『学生HEROES!』で寝ていたという〝事実〟を」
中田「今も繋がっている仲間たちとの出会いがあり、あそこから始まったんだなあって」
『自信が湧き出ているので株だとしたら今が買い!後悔させません!』
お互い迷いながらも芸人人生を見据えて運命共同体になりました!
──「アンタウォッチマン!」での「学生HEROES!」特集に出演されて、春日さんとは?
宇野「話らしい話は…。当時、アマチュア学生でプロの売れている春日さんにどう接したらいいのか分からないフワッとした状態で収録してましたから。アンタウォッチマン!のアンケートでもオードリー春日さんとのエピソードを聞かれましたが3組ともあれ?って首をひねってしまい」
中田「関係性を作るにはまず自分が何者かにならないといけないと思うきっかけになりました。春日さんと密に話せるようになったら僕らの格が上がった時だと」
──宇野さんが青山学院大卒、中田さんは一橋大卒。ともにお笑いサークル出身で当時から将来は。
宇野「卒業後はお笑い芸人になりたいと思ってましたね」
中田「お互い迷いながらも、そこを見据えてコンビを組もうと」
──就職活動もせずに芸人一本で勝負するぞと?
中田「就職活動もしつつですね。一社内定を頂きましたがお断りして最終的には決断しました」
宇野「僕は内定こそもらえなかったですけど一社受けて落ちたらもう一社受けて…という就職活動をさせて頂いておりました」
中田「面接みたいだな」
宇野「双子の弟は毎週のように説明会に出かけて行くんですが、僕は家でボーッとテレビを観たり。親も『慎太郎はなんで出かけないのかしら』って目で見てきて居ずらくなり外出するために一社受けてみたり。ただ就活をやればやるほど何をやりたいかという自己分析をするとやっぱりお笑いがやりたい!親の手前、してますみたいな動きもしつつ気持ちは固まっていきました」
中田「ただ一緒にやろう!と誘ったら、順序が逆なんですが内定を一社もらって親と話し合いたいから『ちょっと待ってくれ』と。待たせているのに一社受けては落ちてを繰り返す。言い方は悪いですが就活って投網方式でやるじゃないですか」
宇野「それは失礼な話じゃない。一気にいろんなところを受けて御社が第一志望ですって」
中田「言えよそれを。世の大学生に!就活生に!」
──腹を決めたのは。
中田「大学4年の春か夏に宇野から電話がかかってきて。めちゃめちゃ涙声なんです。『お笑いでー天下取ろうー』って。聞いたらその日に親御さんと話し合いをしてコテンパンに絞られた後に。『OK!やろう』と覚悟が決まったのはその日ですね」
宇野「両親に『プロの芸人になりたい』と伝えたら舐めるなよ!いかに大変か、すごい惨めな思いをするぞ!と強い言葉で説かれて。それでもやりたいなら家を出て行けよと。だいぶ絞られて気づいたら中田に電話してました」
中田「あれが1ページ目でした」
──デビュー当初に描いていた将来像はどうですか。
宇野「賞レースの結果など具体的なイメージをしてなくて30歳の頃にはクルマに乗っている、お金持ちになっているんだろうなあ、とか自信だけは持ってました。当初はそういう気持ちでした」
中田「口では人に言っていたかもしれないけど何も。大丈夫だろうという自信はあったんですが…。M-1やキングオブコントはいずれ決勝に、という感じで何も考えてなかったんだと最近思います。ダメでした、なってなかったですね夢を追う者としては」
「月笑」の看板を背負う重圧を跳ね返し売れます!勝ち続けます!
──現状はどうお考えですか。
中田「何度かチャンスを頂けたことがありましたが突き抜けられなかった。瞬間瞬間で足りなかったことが多く、それは今もあるんでけどが面白いネタを作れている自信があるので今、見出してくれ!と。自分を売り込むという意味での自信がついてます」
──チャンスの1つがフジテレビの「新しい波24」ですか。
中田「新しい波と、大きい仕事で深夜ラジオの『オールナイトニッポン0』出演。一撃オファーを頂いてトレンド入りもしたので『ラジオスターかもしれない』と勘違いするも次に呼ばれることはなく。それと『7G』。Snow Manに四千頭身、さや香さん、僕らの芸人3組でキングコング西野さんがMCの番組で3回単発放送された。売れ損ねたのはその3つです。チャンスというか、これで変わるかもと思ったのは」
──ネタ作りはどのように?
中田「今まではボケを考えて並べてキレイに台本にして出来上がりでしたが、これだと頭の中で考えたことだけで感覚的なところだったりが抜け落ちていて大爆笑ネタにはならないと気づきました」
──「アンタウォッチマン!」で披露した電話のネタは最高ですね。
中田「最高ですとまで言って頂けるとは。キャラベースの、最近の漫才はあんな感じです。キモいヤツが出てきて、観ている方が私もそうかも?と思ってもらえれば」
──連勝中の事務所ライブ「月笑」についても聞かせてください。
中田「戦い終えた後にみんなでお酒を飲みながら深夜に出る結果を待つ、ソワソワする時間が月笑に出てるなあって。ひとつは…」
宇野「たぶん違うんじゃない。オマエの待ち時間の話じゃないよ」
中田「羅列、箇条書きしてるの。違うとよく言えたな。じゃあシメろよ!言えよじゃあ!」
宇野「月笑G2、G1という一番上のクラスを手伝いで行かせてもらった時、アルコ&ピースさん、タイムマシーン3号さん、トップリードさんなどテレビで観ていた人たちが戦っていて…」
中田「これが事務所ライブの太田プロのトップかあ。華やかでゴージャスで、スゲエなあって」
宇野「僕らが出させてもらったぐらいで上の方々が卒業でバトルからいなくなりたまにゲストできてはネタを披露したりMCをやったりする状態になって」
中田「マシンガンズさんと新宿カウボーイさんはご厚意で残ってくださって。上の方とも戦い」
宇野「それなりに票も入り一番上にいさせてもらうことになったんですけど、憧れて見ていた月笑になれているのか?と。でもいいライブだし1位を取り続けて、かつ他でも結果残して『さすらいラビーが出ている月笑スゴいよね』と思ってもらえるようにしたい」
中田「今の話に完全同意なんですけどもうひとつ僕らだから感じる側面があって。年間優勝して『宮下草薙を倒して優勝だ!』と取材の方もたくさん入れて頂いた。そこで月笑の看板を背負うことになり売れないと格好がつかない。このプレッシャーはあります」
宇野「だけど自らにプレッシャーをかける意味でも勝ち続けなきゃいけない」
中田「跳ね返して売れるんだ!頑張る活力にもなるしプレッシャーを与えてくれる存在です」
──今後の抱負や目標を。
宇野「今が一番、どこに行ってもやれる自覚があります。最近ようやく掴めてきてネタでもそうだし、番組でしゃべっていてもやれているなって。自分たちに対しては自信があるし、どこに出してもちゃんと仕事できますよと言いたいです」
中田「さすらいラビーのネタはこうなんだとハッキリとスタイルが見えてきて自信が湧き出ているところなので株だとしたら今が買いです。後悔させないのでぜひ今を注目して頂きたい」
INFORMATION
さすらいラビ―
青山学院大学ナショグルお笑い愛好会出身の宇野さんと一橋大学お笑いサークルIOK出身の中田さんが大学在学中にコンビ結成。12年に「関東大学生漫才グランプリ」、13年に「第11回笑樂祭」優勝と実績を残す。16年、フジテレビ「新しい波24」出演で人気を博し、19年には太田プロライブ「月笑」年間王者に輝く。「第17回M-1グランプリ」は準々決勝進出を果たし、「M-1グランプリ2022」にも参戦中。「月笑」は9月、10月と2連勝中。ラジオ「さすらいラビーのオーライパパ」(stand.fm)が毎週月曜更新。
左)宇野慎太郎(うの・しんたろう)
1991年12月17日生まれ
東京都小平市出身
公式Twitter
公式Instagram
右)中田和伸(なかだ・かずのぶ)
1991年9月9日生まれ
東京都文京区出身
公式Twitter
さすらいラビ―
青山学院大学ナショグルお笑い愛好会出身の宇野さんと一橋大学お笑いサークルIOK出身の中田さんが大学在学中にコンビ結成。12年に「関東大学生漫才グランプリ」、13年に「第11回笑樂祭」優勝と実績を残す。16年、フジテレビ「新しい波24」出演で人気を博し、19年には太田プロライブ「月笑」年間王者に輝く。「第17回M-1グランプリ」は準々決勝進出を果たし、「M-1グランプリ2022」にも参戦中。「月笑」は9月、10月と2連勝中。ラジオ「さすらいラビーのオーライパパ」(stand.fm)が毎週月曜更新。
左)宇野慎太郎(うの・しんたろう)
1991年12月17日生まれ
東京都小平市出身
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右)中田和伸(なかだ・かずのぶ)
1991年9月9日生まれ
東京都文京区出身
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Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花