ジャイアント馬場さんが創設した老舗団体・全日本プロレス、その現在のトップが宮原健斗選手だ。三冠ヘビー級王者として数々の激闘を展開、また入場やマイクパフォーマンスなど明るいキャラクターで“老舗復興”の立役者となってきました。平成生まれの若きエースが語る、全日本の現在と未来とは?
「試合もSNSも、すべて含めて全日本プロレスのPR。試合は命がけですけど、命がけのPRでもあるんです」
インスタ映えするレスラーに。僕の場合、試合は60%くらい
──宮原選手は三冠ヘビー級初戴冠以来、ここ3年ほど王座戦線の中心で活躍してきました。対戦するのは上の世代の選手が多かったですよね。「世代交代をお客さんに見せつける作業をひたすらやってきた気がしますね。それで3年。倍くらいあったような気がしますけどね。上の世代に負けたくないっていう気持ちも強かったですし。やっぱり見てきた世界が違うんで、闘う感覚も違うんですよね」
──社長でもある秋山(準)選手は地上波中継で名前が知られた世代です。
「僕の世代がプロレスを好きになったのは、PRIDEとかが出てきてプロレスが下火だった頃ですから。いい時代だけを見てきたわけじゃない。そういう世代の感覚もあるので」
──ファン時代に見ていたのは?
「ハルク・ホーガンから入ってリアルタイムでは全日本、ノアですね」
──プロレスらしいプロレスというか。
「やっぱりプロレスの良さは単純に面白さ、エンターテインメントとしての入りやすさだと思いますね。ただ、今は見ている人が頭がいい。スポーツ的な勝った負けたプラスαも大事ですよね。いろんなハードルが上がってます。SNSもあるし写真撮るのも上手じゃないですか」
──ということは、被写体に求められるものも大きくなっていると。
「インスタ映えするレスラーにならないと(笑)僕の場合、試合は60%くらいじゃないですか」
──お客さんを煽りまくる入場シーンだったり、試合後の「全日本プロレス、最高ですか!」のコール&レスポンスだったり、宮原選手は試合プラスαの楽しみがありますよね。
「日本全国回って試合する中で、会場にプロレスを初めて見る人が100人いたら、20人を宮原健斗ファンにして帰したいと思ってます。全日本プロレスをもっと上にもっていきたいので」
──そのためにはインスタ映えも気にするよ、と。
「僕を見て『この人カッコいいな』と思って写真撮ってくれたら勝ちですよね(笑)で、それをSNSに上げてくれたら、いいね押しますから(笑)」
──そこまで含めてファンサービスと。
「凄いエゴサーチしますよ、僕は。これは昔の選手には分からない感覚かもしれないですけど」
──ファンとしては、選手本人に「いいね」されたら嬉しいですよね。
「僕にとっては、試合もSNSも、すべて含めて全日本プロレスのPRなんですよ。もちろん試合は命がけでやってますけど、命がけのPRでもある。トップ選手は強くて当たり前、試合が面白くて当たり前。その上で、入場シーンだって試合と同じくらいの見せ場になりますから」
新規ファンの開拓は若い選手の役目ですから
──存在感を残すには入場も大事だし、エゴサーチもするし、と。「エゴサーチして、いいねして。お客さんに媚び売ってると思われるかもしれないですけど、それでもいいです。できることは最大限にやりたい」
──そういう活動もあって、最近の全日本は盛り上がってますよね。
「ちょっと前までの全日本は、体制が変わったり試合以外の部分がごちゃごちゃしすぎてましたから。ネームバリューがある選手はいるのに、観客動員がついてこなかった」
──宮原選手が三冠王者になって以降、それが変わってきた感じがします。
「でもまだまだですよ。もっと上に行けると思ってるので。ここ1年くらいでちょっと波が起きて、雰囲気が変わってきたかなっていう」
──今の全日本はフリーの選手を含め層が厚いですよね。
「秋山選手、大森(隆男)選手とベテランがいて、その下には諏訪魔選手がいて、フリー、他団体の選手もいる。でもよく言われるのが『ライバルがほしいよね』ってことなんです。今まで三冠戦で闘ってきたのは、キャリアが上の人たちばかりですから」
──若い世代のライバルが必要だと。
「新規ファンを掴むためにも新しい選手、若い選手の活躍が必要なんですよ。ベテランの人たちは古いファンを連れてきてくれるんですけど、新規ファン開拓は若い選手の役目ですから」
──宮原選手と同世代、後輩の世代がトップ戦線に出てくれば、という。
「19年のテーマはそこでしょうね。たとえばジェイク・リー選手。身体は大きいしルックスもいいし」
──それに青柳優馬選手、野村直矢選手と有望株がいますね。
「その3人が分かりやすいライバルになってくれると面白いですよ」
──宮原、ジェイク、青柳、野村の「新・四天王」じゃないですけど。
「まさにそうですね」
──かつての全日本にも四天王(三沢光晴、川田利明、小橋健太、田上明)がいましたけど「新・四天王」という呼び方には抵抗ないですか?
「誰かがそう言ってくれたら反論できますよ。『比べんな!』って。そのきっかけになるからОKです(笑)」
──そこまで見越して(笑)
「それもPRです(笑)今は新日本プロレスを中心にプロレス界が盛り上がってますけど、やっぱり全日本が並び立つような団体にならないと。それが真のプロレス人気だと思うし、僕の時代でそうしたいんですよ」
INFORMATION
全日本プロレス・今後の主な大会予定
『2019 NEW YEAR WARS〜YOKOHAMA TWILIGHT BLUES vol.9〜』
1月18日(金) 開場18:00/開始19:00
神奈川・横浜ラジアントホール
対戦カード/宮原健斗・野村直矢・青柳優馬 VS 諏訪魔・石川修司・青木篤志 ほか
『2019 EXCITE SERIES[開幕戦]』
2月7日(木) 開場17:30/開始18:30
東京・後楽園ホール
対戦カード/岩本煌史 VS 鈴木鼓太郎 青木篤志 VS 吉岡世起 力 VS ブラック・タイガーⅦ ほか
詳細・お問い合わせ:全日本プロレス公式サイト
公式HP
PROFILE
宮原健斗(みやはら・けんと)
1989年2月27日生まれ 福岡県出身
08年2月、健介オフィス所属として全日本プロレスでデビュー(真田聖也戦)。全日本、プロレスリング・ノアでキャリアを積み、14年に全日本入団。16年2月、史上最年少で三冠ヘビー級チャンピオンとなり、老舗復興の中心選手として活躍を続ける。
公式ブログ
公式Twitter
全日本プロレス・今後の主な大会予定
『2019 NEW YEAR WARS〜YOKOHAMA TWILIGHT BLUES vol.9〜』
1月18日(金) 開場18:00/開始19:00
神奈川・横浜ラジアントホール
対戦カード/宮原健斗・野村直矢・青柳優馬 VS 諏訪魔・石川修司・青木篤志 ほか
『2019 EXCITE SERIES[開幕戦]』
2月7日(木) 開場17:30/開始18:30
東京・後楽園ホール
対戦カード/岩本煌史 VS 鈴木鼓太郎 青木篤志 VS 吉岡世起 力 VS ブラック・タイガーⅦ ほか
詳細・お問い合わせ:全日本プロレス公式サイト
公式HP
PROFILE
宮原健斗(みやはら・けんと)
1989年2月27日生まれ 福岡県出身
08年2月、健介オフィス所属として全日本プロレスでデビュー(真田聖也戦)。全日本、プロレスリング・ノアでキャリアを積み、14年に全日本入団。16年2月、史上最年少で三冠ヘビー級チャンピオンとなり、老舗復興の中心選手として活躍を続ける。
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取材・文/橋本宗洋 撮影/おおえき寿一