【取材こぼれ話】「異能者 ちょっとお話いいですか?」に西谷格さん
◆中国では様々な職場にバイトとして潜入したため、取材のメモも取れなかったという西谷さん。「記憶力頼みの取材でしたね。でも、パクリ遊園地で『七人の小人に著作権はない』と言われたり、寿司屋の厨房で床の上で魚を切り始めたりするのを見たら、やっぱりメモがなくても忘れないですよ(笑)普通の取材では見られない世界を見られたと思いますし、透明人間になって知らない世界を覗いている感覚がありました」
◆中国では高級ホストクラブのバイトも経験した西谷さん。
「最初はお客さんとして遊びに行ってみて、『働かせてください』と頼んだんですけど断られて。1回遊んだだけで10万円の出費でしたし、あちこちで『働きたい』と頼んでも、背が低いとか年を食いすぎとか、顔がもっとイケメンじゃなきゃだめとか言われて、働くまでが難航した取材でした」
◆中国ではTVドラマの一大ジャンルになっている「反日ドラマ」。西谷さんはその撮影現場にも、日本兵の役者のバイトで潜入。「ゴールデンタイムに適当にチャンネルを合わせると、必ずどこかで放送されてるくらいメジャーなものなんです。ブサイクで目つきの悪い日本兵が出てきて、超善良な中国市民をいじめるんだけど、最後は打ちのめされる……というストーリーが定番です。検閲も通りやすいし、ストーリーも作りやすく、老若男女が見てくれるので、大量に作品が作られているんだと思いますね。昔は素手で日本兵を引き裂いたり、手榴弾で飛行機を落としたり、第二次世界大戦の前なのに赤外線カメラが出てきたりと、メチャクチャな描写が多かったですが、最近はそういうものは減ってきています(笑)」
6年ほど中国で生活し、ディズニーのキャラクターがパクられた遊園地や床で魚を切る衛生観念がヤバい寿司屋、反日ドラマの撮影現場などにバイトで潜入。その体験を『ルポ 中国「潜入バイト」日記』にまとめた西谷格さん。自著の宣伝用の衣装(写真)を自作して着込むなど、取材以外でも“体を張る”ことを信条とするフリーライターに、その来歴と現在の活動を聞いた。
PROFILE
西谷格(にしたに・ただす)
81年、神奈川県生まれ。フリーライター。早稲田大学社会科学部卒。地方新聞の記者を経て、フリーランスとして活動。09年に上海に移住、15年まで現地から中国の現状をレポートした。著書に『中国人は雑巾と布巾の区別ができない』(宝島社新書)、『この手紙、とどけ!: 106歳の日本人教師が88歳の台湾人生徒と再会するまで』(小学館)などがある。
公式Twitter
西谷格(にしたに・ただす)
81年、神奈川県生まれ。フリーライター。早稲田大学社会科学部卒。地方新聞の記者を経て、フリーランスとして活動。09年に上海に移住、15年まで現地から中国の現状をレポートした。著書に『中国人は雑巾と布巾の区別ができない』(宝島社新書)、『この手紙、とどけ!: 106歳の日本人教師が88歳の台湾人生徒と再会するまで』(小学館)などがある。
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