File.32　日本プロ麻雀連盟所属　鈴木彩夏プロ

──鈴木プロは専門学校卒とのことですが、どんな分野の勉強を？
「ファッションの専門に行ってて、アパレル関係に就職するつもりでした。でも新卒で２社、面接試験に落ちて挫折して、両親が経営するこの雀荘で働き始めたんです」

──そして現在は１歳半の息子さんがいる〝ママ雀士〟ですが、育児との両立は大変ですか。
「周りがかなりバックアップしてくれてるので、もしかしたら仕事を持つ母親からはうらやましがられるぐらいの環境にいるかもしれません。基本、お店には13時から22時まで勤務しているから息子の保育園への迎えは夫の両親がしてくれてますし、夫も麻雀をする人だから仕事を理解してくれてますし。もし夫が麻雀をやらない人だったら、今頃ケンカが増えてるかもしれません。それに両親からお店を引き継いだ兄の経営方針がユルいこともあって、融通も利かせてもらえるんです。プロの存在を知らなかった私に試験を薦めてくれたのは実母ですし…ホント、家族の有り難みを実感してます」

──家族経営ならではのアットホームなお店ですよね。今回15時からの取材なのに14時40分に入店して「14時から取材の…」と間違えて伝えたらお客様に「それ遅刻だから！」とツッコまれました（笑）
「あはは！　ウチ、フリーで来店したお客さん同士もすぐ仲良くなるんです。最初にフリーで打つには入りやすいかもしれませんね」

──ところで家族の一員である息子さんは、可愛い存在ですか。
「イヤイヤ期を迎える前だから、可愛いですね〜！　『アンパンマン』はまだ〝パンマン〟としか言えないんですけど（笑）最近、感情表現が豊かになってきたんです。怒るとスネたりするんですよ」

──どんな風に怒りますか？
「悪いことをするとすぐに、『ダメ！』と言いがちだったんですけど、番組でご一緒したママ雀士の先輩プロから頂いた『怒るのではなく人として尊重して、ダメな理由を教えてあげたほうがいい』というアドバイスを今は参考にしてます」

──なるほど。ただ、鈴木プロは美人ですから、結婚と出産で落胆したファンも多そうです。
「女流プロがアイドル的な側面を担っていることは、否定できない事実だと思います。オンライン対戦型麻雀ゲームでは女流プロの総選挙もありますから、疑似ＡＫＢ48体験もしましたし（笑）本当は公表しなくてもよかったんですけど、嘘をついてる感じがして嫌だったんです。でも今は、言ってよかったと心の底から感じますね。母になったことでアイドルという枠から外れることができたから、吹っ切れたんです。これでやっと、麻雀の実力だけで勝負できるようになりましたから」

──ファンの「また会えるのを楽しみにしてる」という言葉も後押しになり、復帰を決めたとか。
「一時期は育児に専念しようと考えたんですけど、妊娠前に結果を出していないんですよ、私。だからファンのみなさんに励まされたことで『いいところナシで終わるのもどうなんだろう』と思うようになって復帰を決めました」

──となると目標はやはり。
「タイトル獲得です。とはいっても連盟最高峰の鳳凰戦はまだ一番下のＥリーグですし、２年間休んでいた女流桜花も一番下のＣリーグなんです。どちらも壁は高いですけど、少しずつでもいいから昇級していくことが目標ですね」