「ワイルドだろぉ?」で一躍ブレークを果たしたスギちゃんが今回のパイセンゲスト。「新語・流行語大賞」を受賞すると芸能界から“消える”というジンクスが大々的に言われている一方で、彼は自身を「だいぶ落ちてきている」と自嘲するが、何の何の。しっかりと生き残っているではないですか! 若手が続々とデビューし、熾烈な闘いを強いられる芸能界を泳ぎ切る秘訣とは!? 実は流れに乗る時期を見逃さない、鋭い判断力にあったのだ!!
「自分で破った」と言う袖なしのGジャンとデニムのハーフパンツ姿といえばこの人。お笑い芸人のスギちゃんさん。「スタッフ受けもよく先輩芸人にもかわいがられているから芸能界で重宝されている」という噂だが、果たして真実か!? テレビでは見せない彼の真の姿に迫る!
本当は一度だけじゃなく何回か“戦力外通告”されてるんです
(小誌をパラパラとめくりながら)「ドカントさんはフリーペーパーと販売両方あるの? 売ってる方はグラビアがたくさん載ってるんだぁ…うわぁ、すげえ! こりゃあ買いますわなぁ。では僕は今度、このコたちを見ながら…」──あの…インタビューに入ってよろしいですか(笑)まずは芸人を目指した経緯をお聞きしたいです。
「あぁ、はい(笑)両親が夫婦でアマチュアのマジシャンをしていたんで、小さい頃からよく親父が吉本の劇場に連れて行ってくれてたっていうのが理由の1つですね。当時はダウンタウンさんの人気が出始めた頃で、NGK(なんばグランド花月)に観に行ったら満員で、舞台にかぶりつきの女のコたちが大勢いるわけです。それを見て、僕も女の子にモテたい、チヤホヤされたいっていうが始まりですね」
──その割に、性への目覚めは遅いんじゃなかったでしたっけ。18歳の頃に「NEWS23」を観ながらイッてしまったとか…。
「よう知ってますね(笑)でも、モテたいっていうのは男女どちらでもよくて、ワーワー騒がれる存在になりたかったんです」
──その後芸人としてデビューしますが、紆余曲折あったと思います。中日ドラゴンズで戦力外通告された堂上剛裕選手を「僕も1回クビになった」と励ましたそうですね。
「正式には一度ですけど、本当は何度か“戦力外通告”はされてるんですよ。某事務所に所属してた頃、あるスタッフが辞めることになったんです。で、僕はその人のことが大嫌いだったんで喜んでたら、上の人に、『君も辞めていいいよ』と言われて、別の事務所に移籍したこともありましたし。結果的に大嫌いなヤツと離れることができたんで、願いは叶うんですねー」
──人のことを平気で「嫌い」というとはテレビと違います。ブラック…スギちゃんさん!?
「ブラックじゃないですよ。嫌いな人と一緒にいると、こっちまで性格が悪くなるから、早い段階で離れたほうがいいんです。気を遣う行為こそが、人間をダメにするんです。嫌いだってことは、相手に知らせてやらないと」
──先輩芸人やスタッフさんへ気遣うからこそ、評判がいいのかと。
「いや、まったく気は遣っていませんよ。小動物のように怯えてるだけです。人間って、怯えてる人を怒れないでしょう? って、自己分析ですよ。計算じゃなくて」
──そうだったんですね。ちなみに嫌いじゃなくても別れた経験は。
「昔、メカドッグというコンビを組んでいたんです。移籍する時、売れないコンビが移籍しても売れるワケがないと思って、僕からお願いしました。『これでダメだったら芸能界を辞めるから、ピンで行かせてくれ』と。そしたら案の定『ダメ!』と一蹴されましたけど、僕の頭の中ではもう、コンビを続けても将来性を見出せなかった。だからね、僕が堂上選手に言いたかったのは“クビになった時こそチャンス”ということだったんです」
──なるほど!
「自分から辞めますと言ったことは上手くいかないんですけど、誰かがクビを仕向けて来た流れに乗ると、アガるんですよ。だからね、クビ宣告をされた時、僕は『たぶんイケる。いい予兆だ』と分かっていたんです」
──途中、挫けたりは? 今は就活が成功しない人も増えています。
「えっ、就職が決まらないなんてことあるの!? それは大企業を受けた場合の話でしょう?」
──ありますよ、不景気ですから。ロレックスをしているだけあって、不景気とは無縁なんですね。
「まぁねー(笑)っていうのは冗談で、僕は、バイトの面接は割りと受かるんですよ。面接の時だけいい顔をするから」
シースルーパブバイトを始めて1週間毎日勃起してました(笑)
──今までどんなバイトを?「上京して最初のバイトは、キャバクラのボーイ。もうね、クソ女どもがワガママなんですよ。でも、時折話しかけられるだけで全部ね、許せる(笑)名古屋時代は、シースルーパブのボーイをしてました」
──男性の職場として楽しそうです。
「入って1週間目までは、バイト中ずっと勃起してました」
──あははははは! ですよねぇ。
「1週間ぐらい経つと全員のハダカを見るから、慣れてくるんです。でもね、肌を露出されると何だか好きになっちゃうもんなんですよ。入り込みやすい感じがして」
──もっと苦労しているかと。
「楽なバイトを探すプロなんですよ。ほかの芸人も僕がバイトを始めると、同じ職場で働きたがってました」
──楽なバイトとは?
「スーパーは5人ぐらい紹介しましたね。朝5時からの勤務で、品出しです。でも、しょっちゅう寝坊して7時ぐらいに遅刻して行くと、トラックがすげー並んでるんです。芸人って基本マジメなんで、店長が変わった途端に僕だけクビになりました。下克上ですよ」
──品出しが楽とは意外です。朝も早いし。
「昼で終わるから楽なんです。芸人の辛いところは、夕方からライブが入るから、働く時間を制限されること。働くとしたらライブ前までか、ライブが終わってから。僕も最初は深夜帯に働いてたんですけど、翌朝そのままオーディションに行っても、眠くて頭が回転しないから、上手くいった試しがない。『このままの生活じゃ売れるワケがない』と判断して、朝型に切り替えたんです」
──深夜のバイトは良くない、と。
「いいバイトもありましたよ。漫画喫茶の宣伝カーに乗ってるだけのバイト。バッテリーが切れたら入れ直す仕事なんですけど、僕は切れてることすら確認せず、寝てました(笑)寝てる間に時給が入るという、最高のバイトですよ。当時は昼間のバイトも込みで、35万ぐらい稼いでましたねぇ」
──いつまでバイトを。
「スギちゃんに改名直後ぐらいかな。12年の『新春レッドカーペット』で『レッドカーペット賞』をもらえたから、これはイケる! と思って辞めました。そしたら、仕事は少しずつ増えていったけど、ギャラは遅れて入るから、3ヶ月ぐらい無収入だった(笑)でも、今振り返って思うんですけど、叶えたい夢を持ちながら働いている人は、居心地のいいバイトは辞めたほうがいい。嫌なヤツがいるところに無理していたほうが、夢を叶えてやる! って原動力になるじゃないですか。僕もテレビに出られるようになった時は、嫌なバイトをしていた頃でしたから。消費者金融の督促電話をするバイトは楽で3~4年続きましたけど、芸人としても芽が出なかった。電話する時、社名を名乗っちゃいけないのにうっかり言って、本人に『杉山を出せ!』と怒鳴り込まれたりして、それも結局、クビになりましたねぇ。本業以外は僕、ダメ人間なんです」
──先輩芸人から学んだ教えも聞かせて頂きたいのですが。
「ある大物タレントさんの著書で、『上手くいっていない時こそ運が貯まってる』という言葉を知ってから、悪い時期でもあまり凹まなくなりました。運は貯まっていって、いつか爆発すると。だからギャンブルも辞めたんですけど、どん底まで行けば後は上がるだけだと考えると、気が楽になるんですよね。“ダメな時こそ喜べ”ということです。どん底の時にちょっといいことが起きて、来たか!? と思うとそうじゃなくて、まだか~ってガッカリすることもありますけど(笑)今、テレビに出させて頂くようになって3年ぐらいですかねぇ。だいぶ落ちてきてる自覚があるんですよ」
──そんな…(笑)
「いい時期を経験したからこそ、よく分かるんです。でもアガる前は、バイトをクビになり、彼女とも別れ、お金もなくて最悪だった。今は下がりつつありますけど、どん底に行く前には何とかしたい。運を貯めて爆発させたいですね」
インタビュー終了後、外で撮影をしていると近くの専門学校生が、スギちゃんさんを発見して写真撮影の連続。「僕がされたいチヤホヤはこれなんですよ。エッチな気持ちじゃないんですよ」とおっしゃっていました。本音を、しっかりと見届けさせて頂きました!
PROFILE
スギちゃん
1973年8月24日生まれ 愛知県出身
名古屋吉本所属のお笑いコンビとして芸人活動スタート。その後、上京しお笑いコンビ・メカドックとして活動も08年4月に解散。以後、ピン芸人に転向。09年から11年にはTBS「A-Studio」の前説を行っていた。11年11月、芸名をスギちゃんに改名。12年の「R-1ぐらんぷり」で初の決勝進出を果たし、準優勝に輝いた。これを機にブレイク。同年には「新語・流行語大賞」の年間大賞に持ちネタである「ワイルドだろぉ?」が選ばれた。NHK Eテレ「さんすう犬ワン」(月曜9時10分)、soraxniwaFM「サンミュージックFM~スギちゃんのラジオ」(水曜21時)レギュラー出演中。
公式ブログ
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スギちゃん
1973年8月24日生まれ 愛知県出身
名古屋吉本所属のお笑いコンビとして芸人活動スタート。その後、上京しお笑いコンビ・メカドックとして活動も08年4月に解散。以後、ピン芸人に転向。09年から11年にはTBS「A-Studio」の前説を行っていた。11年11月、芸名をスギちゃんに改名。12年の「R-1ぐらんぷり」で初の決勝進出を果たし、準優勝に輝いた。これを機にブレイク。同年には「新語・流行語大賞」の年間大賞に持ちネタである「ワイルドだろぉ?」が選ばれた。NHK Eテレ「さんすう犬ワン」(月曜9時10分)、soraxniwaFM「サンミュージックFM~スギちゃんのラジオ」(水曜21時)レギュラー出演中。
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Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一