「誰もが抱えてる孤独感や自分の不甲斐なさにいら立つ気持ちが描かれているので、みなさん、どこかしら心に刺さる映画です」
「レンガを積み重ねるように、地道にキャリアを積みたい」と語る女優黒川芽以さんが小誌に5年ぶりに登場。ロックバンド・クリープハイプの音楽を「アフロ田中」などを手掛けた松居大悟監督が映像化した映画『自分の事ばかりで情けなくなるよ』で美しき家出少女ユーナを好演している。今回は作品の話のみならず、彼女の素顔にも肉迫。「生きてきた証を顔にも身体にも年輪として刻みたいから、40代以降は素敵な笑いジワができる役者になりたい。可愛いおばあちゃんになって、家に遊びに来た孫におにぎりとかぬか漬けを食べさせるのが夢です(笑)」と語る、飾らないありのままの姿をお届けする。
クリープハイプの大ファン絶対いいものにしたかった
──5年前に登場した時と比べて大人っぽくなりましたね!「実は…あの後すぐ、自立心を高めるべく一人暮らしを始めたんですよ。でも、昔思い描いていた20代後半のイメージと、26歳になった自分は大きくかけ離れていて、まだ子どもだなと思う時がありますね」
──いえいえ、映画では大人の色気を放ってましたよ。
「本当ですか? だけど素の私は男前らしくて、友だちからは『芽以みたいな彼氏が欲しい』と言われるんですよ。友だちに『お腹空いた』と言われたら、スマホですぐ検索して店まで連れて行きますし、悩んでいたら『分かった! 飛んでく!』って感じの性格なので(笑)。色っぽいと言ってもらえるということは、役としてきちんと存在できたということですから、うれしいです」
──役作りは難しかったですか?
「今回演じたユーナほどセリフがほぼない役は初めてでしたし、クリープハイプはインディーズ時代からファンだったから、絶対にいいものにしたいという強い気持ちはありました。セリフがない上に最初は空っぽな状態の役ですから、どのあたりでどのぐらいの感情を出していくかっていう点は気を遣いました」
ここまで音楽と映画が融合した映画は前代未聞です!!
──劇中で接点が多い池松壮亮さんと、事前に話し合いなどは。「リクオとユーナの関係上、池松さんはたぶん、私とあまり話さないよう気をつけていたと思います。池松さんはストイックで、トコトン役に入り込む方で、冒頭のお酒を飲むシーンから雰囲気作りをして頂いたおかげで、私も役に入りやすかったですね」
──黒川さんが、本作に出演する経緯は、実は「偶然」ではないそうですね。
「テレビで『左耳』という曲を聴いて以来、クリープハイプのファンで、別の作品で大東駿介クンと共演した時に、彼からオススメされたんです。で、ほかの曲を聴いたらものすごい衝撃を受けて、ライブを観に行って、ボーカルの尾崎(世界観)さんにご挨拶をした1週間後ぐらいに、一緒にやりましょうということになったんです」
──では、作品へは並々ならぬ想いがありますね。
「もちろん! ここまで音楽と映画が融合した作品は前代未聞です。それに、最高のスタッフとクリープハイプと、着実にキャリアを積み重ねてきた役者さんたちの演技力が揃ってますから、いいものにならないはずがありません。誰もが抱えてる孤独感や、自分の不甲斐なさにいら立つ気持ちが描かれているので、みなさん、どこかしら心に刺さると思います」
映画の状況になったら私は闘うかこなすかを考えます
──映画のキーワードは「人生は立ち行かないことばかり」ですが、黒川さんがその立場なら?「闘うか、一度無になって仕事としてこなすかを考えますね。よく、自然を見るとかリラックスするとかまったく別のことをした方がいいなんて言いますけど、肝心なやりたいことができていない状況なら、何をしても無駄じゃないですか。だから、『自分は辛い時期を乗り越えるチャレンジをしているんだ』って気持ちで、仕事に関連したことをして過ごします」
──さすが男前! 以前、ドカンと売れたくはないと言っていましたが、その気持ちに変化は。
「ある程度の競争心が必要だとここ数年で分かりましたから、ドカンと行く時期もきっと必要なんでしょうね。私、産休を取って母親役で仕事復帰するのが夢なんですけど、そういう時期もないと復帰もできないでしょうし、作品を知ってもらうためにも必要なのかなって。昔から子どもは3人欲しいと思っていて、30代で出産するにはギリギリになってきたぞって感じですから今(笑)ドカンと行って、パパンと子どもを産めるよう頑張ります(笑)」
INFORMATION
■映画『自分の事ばかりで情けなくなるよ』
INFO&STORY
元カレが忘れられないピンサロ嬢、大好きなバンドのライブ当日に残業させられているOL、一途な思いを爆発させるオタク青年、トレーラーハウスで生活する謎の青年と美しき家出少女。どうにもうまく立ち行かない日々にただ怒りや涙を爆発させる後悔だらけの日常が少しずつ交錯していく…。クリープハイプの音楽から生まれた小さな物語が繋がり、異色も群像劇として劇場映画化。「第26回東京国際映画祭」日本映画スプラッシュ部門に正式出品される。
CAST&STAFF
出演/池松壮亮・黒川芽以・安藤聖・尾上寛之・山田真歩・大東駿介・クリープハイプ
監督・脚本・編集/松居大悟
原案・音楽/クリープハイプ
配給/SPOTTED PRODUCTIONS
公式HP
10月26日(土)から11月15日(金)ユーロスペースにてレイトショーほか全国順次公開
(C)2013 Victor Entertainment, Inc.
PROFILE
黒川芽以(くろかわ・めい)
1987年5月13日生まれ 東京都出身
97年に「鏡は眠らない」でドラマデビュー。以降、数多くの映画やドラマ、舞台で活躍。テレビ出演作に「ハート」「風のハルカ」「名曲探偵アマデウス」「毒姫とわたし」「陽だまりの樹」など。主な映画出演作は「グミ・チョコレート・パイン」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「僕たちは世界を変えることができない」「横道世之介」「冴え冴えてなほ滑稽な月」などがあり、今後も主演の「ねこにみかん」「南風」など4作品の公開が控えている。
公式ブログ
■映画『自分の事ばかりで情けなくなるよ』
INFO&STORY
元カレが忘れられないピンサロ嬢、大好きなバンドのライブ当日に残業させられているOL、一途な思いを爆発させるオタク青年、トレーラーハウスで生活する謎の青年と美しき家出少女。どうにもうまく立ち行かない日々にただ怒りや涙を爆発させる後悔だらけの日常が少しずつ交錯していく…。クリープハイプの音楽から生まれた小さな物語が繋がり、異色も群像劇として劇場映画化。「第26回東京国際映画祭」日本映画スプラッシュ部門に正式出品される。
CAST&STAFF
出演/池松壮亮・黒川芽以・安藤聖・尾上寛之・山田真歩・大東駿介・クリープハイプ
監督・脚本・編集/松居大悟
原案・音楽/クリープハイプ
配給/SPOTTED PRODUCTIONS
公式HP
10月26日(土)から11月15日(金)ユーロスペースにてレイトショーほか全国順次公開
(C)2013 Victor Entertainment, Inc.
PROFILE

1987年5月13日生まれ 東京都出身
97年に「鏡は眠らない」でドラマデビュー。以降、数多くの映画やドラマ、舞台で活躍。テレビ出演作に「ハート」「風のハルカ」「名曲探偵アマデウス」「毒姫とわたし」「陽だまりの樹」など。主な映画出演作は「グミ・チョコレート・パイン」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「僕たちは世界を変えることができない」「横道世之介」「冴え冴えてなほ滑稽な月」などがあり、今後も主演の「ねこにみかん」「南風」など4作品の公開が控えている。
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Interview&Text/内埜さくら Photo/谷口達郎
ヘアメイク/光野ひとみ(Hitomi Mitsuno)
ヘアメイク/光野ひとみ(Hitomi Mitsuno)