「この映画は年齢が離れた人と観たほうが異なる価値観を共有できて面白い気がします。 私なら姪っ子か甥っ子、もしくは両親と観に行くかも知れません」
97年のデビュー以来、映画のフィールドを中心に活躍している尾野真千子さんが主演した映画「心中天使」が絶賛公開中! 登場人物三人の思いがシンクロするという難解な役を演じきった主演女優に、作品の魅力を語って頂きました!!
監督にどう料理さえれかが映画に出る楽しみなんです
──尾野さん主演の映画『心中天使』が公開中ですね。本作へ出演した経緯を教えて下さい。「最初に脚本を読ませて頂いた時は、本当に不思議な映画だな、と思いました。二度、三度と脚本を読んでも分からないことが多くて。でも、この作品に関しては本だけでは理解できない部分が多いからこそ、演じたらいろいろな発見があって面白いんじゃないかなと感じて、是非出たいと思いました」
──ピアニスト・アイの役作りはどのようにしましたか。
「役作りってしないんですよね、私。監督が表現したい世界観と脚本の内容を忠実に演じるだけなんです。だからこそいつも、監督にどう“料理”されるかが楽しみ。前作までは子持ちの女とか難しい役柄が多かったんですけど、この作品では珍しく、悩める女の子に料理して頂きうれしかったです」
──では、役とご自身の共通点は。
「私はピアニストではないしアイのように清純派でもないですけど(笑)、感じることや経験してきたことは似ていましたね。例えばアイは、もしかしたら自分は空を飛べるんじゃないか、実は自分ってこの世には存在していないんじゃないかという気持ちを持っている。これって幼い頃、一度は考えたことありませんでしたか? 私はそういう経験があり、共感できる一面も多かったんです」
誰かと一緒に観た後に感想を言葉に出してほしい映画
──真夏の撮影は大変でしたか?「名古屋の夏は言葉にできないほど暑かったですね。全身、汗だくで撮影しました。メイクが落ちてしまうほど顔も汗びっしりになりましたよ」
──女優は顔に汗をかかないという噂を耳にしたことが…!?
「他の方は分かりませんが、私は女優である前に一人の女ですから、汗は普通に出ますよ」
──映画撮影はスケジュールがタイトですが、事前に体力作りは。
「気力で乗り切る、がモットーなので特にはしませんでした。疲れて来たらスタッフさんたちと楽しい話をして気分を盛り上げる、の繰り返しでしたね」
──作品の見どころをお願いします。
「一人で観ると難しく考えがちな内容だと思うんです。だから是非、いろいろな人と観て、鑑賞した後は作品についての感想を言葉に出し合って頂きたいですね。観たら必ず何かを感じてもらえるはずだからこそ、誰かと話し合って欲しい映画。個人的には、年齢が離れた人と観たほうが異なる価値観を共有できて面白いような気がします。私なら姪っ子か甥っ子、もしくは両親と観に行くかも」
最終的な理想像は親近感を持ってもらえる大女優です
──本作は家族で食卓を囲むシーンが印象的でした。「ねぇ〜、料理が美味しそうでしたよね。私もたくさん食べたかったのに、役柄的に食べられなくて。名古屋の名物も食せなくて残念でした…」
──今回は家族の絆も描かれた作品への主演でしたが、ご自身の結婚観は?
「女としていつかは結婚して子を授かりたいという願望は持っていますよ。理想の夫婦像は両親。父について行く母が素敵に感じて。子どもって親の背中を見て育つものですよね」
──仕事での理想像はありますか。
「憧れですが、親近感を持ってもらえる大女優になりたいです。大女優と聞くと実在していないかのような印象を与えますけど、私が目指しているのは、存在している普通の女性が演技をすると大女優になる…というのが理想ですね」
INFORMATION
■映画『心中天使 しんちゅうてんし』
【STORY&INFO】
愛さなくちゃ、いけないの。つながりたいから一。両親と実家暮らしで、ピアノを教えているだけのアイ(尾野真千子)。妻子と別れ新しい恋人と暮らすユウ(郭智博)。母親と恋人を他人ごとのように眺めている女子高生ケイ(菊里ひかり)。「こんなことをしたいんじゃない」「本当は違う」。思いとは裏腹な現実が充満し始めた心に、“それ”が飛来した。内面生活は現実から乖離し、現実を呑み込み、周囲をも変えていく…。塚本晋也、片岡礼子を主演に迎えた「溺れる人」の一尾直樹監督の脚本監督第二作。関係性における自己存在の不確かさをテーマに、名古屋の企業が出資し、地元の協力の下、全編名古屋で35ミリ撮影した名古屋発信の映像芸術作品。
【CAST&STAFF】
出演/尾野真千子 郭智博 菊里ひかり 國村隼 萬田久子 麻生祐未 風間トオル 今井清孝 遠野あすか 内山理名
監督・脚本/一尾直樹
配給/マコトヤ
shinchutenshi.com
2月5日(土)より渋谷ユーロスペース、19日(土)より名古屋シネマテークほか全国順次公開
(C) 2010「心中天使」製作委員会
PROFILE
尾野真千子(おの・まちこ)
1981年11月4日生まれ 奈良県出身
河瀬直美監督に見出され、97年にカンヌ国際映画祭カメラドール賞を受賞した「萌の朱雀」主演でデビュー。同作で97年シンガポール国際映画祭主演女優賞、98年高崎映画祭最優秀新人女優賞ほか数多くの受賞歴を持つ。主な映画出演作は「EUREKA」「リアリズムの宿」「ナイスの森」「殯の森」「クライマーズ・ハイ」「ヤーチャイカ」「真幸くあらば」「トロッコ」「Shikasha」など。また、09年文化庁芸術大賞を受賞したNHK「火の魚」を始め、「義経」「警官の血」「空飛ぶダイヤ」「外事警察」「Mother」などテレビドラマにも出演。今後はWOWOW連続ドラマW「CO 移植コーディネーター」(3月27日日曜午後10時)の放送や、映画「小川の辺」「のぼうの城」などの公開が控えている。
■映画『心中天使 しんちゅうてんし』
【STORY&INFO】
愛さなくちゃ、いけないの。つながりたいから一。両親と実家暮らしで、ピアノを教えているだけのアイ(尾野真千子)。妻子と別れ新しい恋人と暮らすユウ(郭智博)。母親と恋人を他人ごとのように眺めている女子高生ケイ(菊里ひかり)。「こんなことをしたいんじゃない」「本当は違う」。思いとは裏腹な現実が充満し始めた心に、“それ”が飛来した。内面生活は現実から乖離し、現実を呑み込み、周囲をも変えていく…。塚本晋也、片岡礼子を主演に迎えた「溺れる人」の一尾直樹監督の脚本監督第二作。関係性における自己存在の不確かさをテーマに、名古屋の企業が出資し、地元の協力の下、全編名古屋で35ミリ撮影した名古屋発信の映像芸術作品。
【CAST&STAFF】
出演/尾野真千子 郭智博 菊里ひかり 國村隼 萬田久子 麻生祐未 風間トオル 今井清孝 遠野あすか 内山理名
監督・脚本/一尾直樹
配給/マコトヤ
shinchutenshi.com
2月5日(土)より渋谷ユーロスペース、19日(土)より名古屋シネマテークほか全国順次公開
(C) 2010「心中天使」製作委員会
PROFILE
尾野真千子(おの・まちこ)
1981年11月4日生まれ 奈良県出身
河瀬直美監督に見出され、97年にカンヌ国際映画祭カメラドール賞を受賞した「萌の朱雀」主演でデビュー。同作で97年シンガポール国際映画祭主演女優賞、98年高崎映画祭最優秀新人女優賞ほか数多くの受賞歴を持つ。主な映画出演作は「EUREKA」「リアリズムの宿」「ナイスの森」「殯の森」「クライマーズ・ハイ」「ヤーチャイカ」「真幸くあらば」「トロッコ」「Shikasha」など。また、09年文化庁芸術大賞を受賞したNHK「火の魚」を始め、「義経」「警官の血」「空飛ぶダイヤ」「外事警察」「Mother」などテレビドラマにも出演。今後はWOWOW連続ドラマW「CO 移植コーディネーター」(3月27日日曜午後10時)の放送や、映画「小川の辺」「のぼうの城」などの公開が控えている。
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一 ヘアメイク/大庭里依(NHKアート)