最も身近な他人といえる夫婦（あるいは恋人）が正面きって本音をぶつけあったらどうなるのか――。そんな人間関係を浮き彫りにし、時期的にもマッチした映画『あなたにふさわしい』が６月12日に公開。物語の重要な鍵を握る不倫中の専業主婦・飯塚美希を演じた女優山本真由美さんが、自身の価値観とともにインタビューに答えてくれた。

──不倫中の専業主婦、飯塚美希を演じてみていかがでしたか。
「参加した映画祭では一部の男性から『美希だけはパートナーにしたくない』という声が上がりましたが、奔放な行動を取るのでそういった意見が出るのも当然かなと。ですが私は台本を読んだ時、何を考えているのか分からない反面、理解してあげたい役だと思いました。美希に関して言うと、奔放すぎるというか何を考えているのかちょっと分からない部分もあると感じる一方、誰しも感じたことのあるような焦燥感や胸に抱えるモヤモヤしたものが描かれていると思いました。演じる際、例えば殺人者の役であっても、自分の中から小さな取っ掛かりを見つけたり、他人には理解されなくてもその人にはある理由みたいなものを探します。美希は人生を変えたいと葛藤していて、進むべき道をみずから選んではいますが、その場の雰囲気に恣意的に身を任せながら流されてしまう。日々の中でも相手に言いたいことを伝えられずにいた結果、お互いの気持ちにズレが生じて溝が深まるようなことは誰にでも起こりえると思います」

──確かに。美希は難役ですが、長野・軽井沢の別荘での泊まり込みロケが一役買ってくれたとか。
「宝隼也監督と役者が衣食住の食と住をともにすごした数日間は、作品を作る上で贅沢な時間でした。朝起きたらすぐ現場に入ることができて、映画のことだけを考えられますし、お風呂上がりは自然と役者がリビングに集まって稽古をしていました。軽井沢は開放感あふれる土地でしたけど、美希は閉塞感を抱えているというギャップも、泊まり込みだからこそ乗り越えられたと思います」

──食住をともにした宝監督は、どのような方でしたか。
「飄々としている方なのですが内に秘めた情熱があって、時々真顔でいう冗談でみんなを困惑させる、楽しい方でした。役についても、現場で一緒にいる分その都度相談もしながら進められることができた気がします」

【関連リンク】高収入求人サイトドカントはこちら！ ──プライベートなお話も。中国語も話されるとか。
「４年ほど前に半年間ほど、知り合いを頼って１人で上海に語学留学をしました。中国映画を観ていて中国語の歌っているような音感にひかれて、独学で勉強しだして、そのうち現地を知らないのは失礼だと思い渡ったんです。留学期間に日本での撮影が入って、富山県と上海を行き来する生活だったので、話せるのは日常会話程度ですけど」

──オンラインで英会話も習っていますよね。
「英語は幼稚園の頃から英会話教室に通ったり、大人になってから短期留学にも行ったことがありますがまだまだ（笑）やはり話す機会を増やすのは大切だなとオンラインは最近始めました。海外旅行でいろんな場所を訪れる度、もっと人に気持ちを伝えられたらともどかしく思うことも沢山ありますし、海外でもお仕事をしたいので、根気よく続けていきたいです」

──プライベートな話をもうひとつ。自粛生活を続けて変化はありましたか。
「自炊する機会は自ずと増えました。食べることもそうですし、生活について今は本当にやりたいことや必要なものを見直す機会にもなっている気がします。仕事でいうと今はラジオ番組がリモート出演に切り替わっています。ルームウェアは着心地重視ですが気持ちが上がるようなデザインを選んでいます。カラダが締めつけられるのがイヤで、下着を身に着けずにパジャマ１枚で寝る夜もあります。…こんなことを言っても大丈夫でしょうか？」

──貴重な情報を有難うございます。改めて映画の魅力を。
「この作品は不倫がフィーチャーされがちですが、ご覧になる方々にはご自身の人間関係を振り返って頂きたいと思っています。ご自身と周囲の人が心の底から分かり合い、認め合い、尊重し合えているのか。考えるきっかけになってくれたらうれしいです。橋本一郎さんが演じた美希の夫、由則が最後に下す決断も、人により感想が分かれると思います。みなさんの反応が気になる作品なのでご覧になった感想を、SNSで教えて頂けたらとても有り難いです」

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