皮革の工芸=レザークラフトを通じて家族関係を描く映画『いつかのふたり』が10月12日から全国順次公開。12年にテレビドラマで女優デビューした南乃彩希さんが、離婚した母親と暮らしながらも母親と父親との“調整役”を担うという難役をみずみずしく演じている。家族関係を改めて考える本作に挑んだ南乃さんが感じた見どころとは。また、自身の家族への考え方とは――。
「性格面で似ている部分はありませんでしたが、撮影したのが真友と同じ高3だったので、環境面での共通点はありました。小6の時、事務所の先輩である北乃きいさんにスカウトされて中1から本格的に芸能活動を始めたのですが、高3の頃は進路に悩んでいた時期だったんです。真友は、離婚して自分と2人暮らしをしている母を置いて1人で大阪に行くことはできないと葛藤します。私は今も地元の神奈川県で家族と暮らしていますが進路を考えた時に『両親は、私がどの道を進んだら喜ぶだろう』と、考えたところが似ていたんです。反抗期がほぼなく、私がやりたいことを尊重してくれる両親だったからこそ悩んだのかもしれません。真友は小説家に弟子入りする夢を両親に応援されますが、私も応援ではなく反対されていたら、大学に通いながらお仕事をしている現在とは、違った人生を歩んでいたかもしれません」
「3歳上の姉に、考え方をレクチャーしてもらいました。私は姉に甘えていて心配される側なので、真友のしっかりした性格を表現する際の参考にしたかったからです。映画では、中島ひろ子さんが演じる母・麻子と岡田義徳さんが演じる父の隆弘がケンカをします。『もし、私たちの両親がケンカをしたら?』と聞きました。姉は『どちらの味方にもつかず、中立の立場でいることを大切にする』と言っていたので、演じる時に意識しました」
「すごく円満です。母が双子なので毎年、二家族と親戚の10人近くで旅行をしています。直近では長野で信玄餅の工場見学をしました。移動中の車内で母が布袋寅泰さんの『POISON』を繰り返しかけていて、歌詞が素敵だったので好きな楽曲になりました」
「母の影響でよく歌うのはSugerさんの『ウエディング・ベル』と、チェッカーズさんの『ギザギザハートの子守唄』です。歌うのが得意ではないのですが、選曲の趣味は完全に懐メロです(笑)」
「食欲の秋です!秋の旬でいうなら焼き芋とキノコ類、柿が大好物です。季節を問わないのであれば粉もの系も大好きで、もんじゃ焼きとたこ焼き、お好み焼きも大好きなんです。粉もの系といえば大阪ですが、仕事で一度しか行ったことがないんです。いつか大阪の道頓堀で、グリコサインを背にして同じポーズをしてみたいです」
「テレビやネットで話題のレザークラフトを軸に親子の物語が展開されていく作品で、ご覧頂くと改めて家族と話す機会を得られる映画だと思います。麻子と真友の掛け合いが面白いですし、家族だけではなく、ケンカしたままで縁遠くなっている友達などにも『優しくしてみよう』と思えるかもしれません。完成作を観て私は、もっと家族を大事にしようと改めて感じました」
「この作品に出演するまでは両親に対して、『進路に口出ししてくれないんだ…』と甘えた気持ちでいたんです。でも、私の仕事が朝早い時、一緒に起きてくれる母に感謝したくなりました。心が温まって周りにいてくれる人に感謝の気持ちが増すので、ぜひ観て頂きたいです」
■映画『いつかのふたり』
INFO&STORY
シングルマザーの木嶋麻子(中島ひろ子)と一人娘の真友(南乃彩希)。真友は高校卒業後、小説家に弟子入りするために大阪で一人暮らしをする予定になっていた。麻子はたまたま見かけた手芸用品店のレザークラフトに心魅かれ、ともに作品を作ることにのめり込んだ麻子と真友は充実した日々を送っていくが、2人にはちょっとしたわだかまりがあった。それは、麻子は真友に「大阪についていきたい」と言えず、真友も麻子に「大阪についてきてくれ」と言い出せないことだった。そんな素直になることができない親子に、人生の選択の時期が…。レザークラフトを通じて母と娘の微妙な心の繋がりをコミカルに描いた。
CAST&STAFF
出演/中島ひろ子・南乃彩希・石川樹・真下玲奈・鈴木ヨシエ・長尾元・吉本ひなた・仁科貴・田中隆三・霧島れいか・岡田義徳
監督・脚本/長尾元 配給/トラヴィス
10月12日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開中
公式HP
(C)DMC’S
PROFILE
南乃彩希(みなみの・さき)
1999年4月27日生まれ 神奈川県出身
12年に日本テレビ系ドラマ「悪夢ちゃん」で女優デビュー。「ミスセブンティーン2016」を受賞し専属モデルとしても活動。特技はチアリーディングで4大会連続金賞を受賞。映画出演は他に『ちはやふる-結び-』『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』がある。
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