メジャー格闘技イベント『ＲＩＺＩＮ』の中でも注目度が上昇中なのが未来（みくる）と海（かい）の朝倉兄弟です。２人揃って強豪相手にＲＩＺＩＮ で７連勝。『THE OUTSIDER』から成り上がり、アグレッシブな試合ぶりで人気を集める２人の魅力に迫ってみました。

「次のＲＩＺＩＮは、つまらない試合になるのが想像つかない」（海）
「世界一強くなるか、世界一稼ぐかだったら稼ぐほうを選びます」（未来）


──ここまでのＲＩＺＩＮでの闘いを振り返って、いかがですか。
海「２人とも全勝でこれたのは良かったと思います」

未来「結果は出せたなと。上京してからの自分たちが強くなりすぎて、相手が強かったとも思わないくらいで」

──とはいえ強豪、ベテラン相手に勝ってきています。
未来「それでも自分たちのほうが強いと思ってましたからね。観る人がそれに気づいていなかっただけで。試合で結果を出せば分かってもらえるんですけど。自分たちの中では、自信が確信になった感じですね」

海「もともと弱い相手は求めていないし、意味のない試合はしたくなかったので、強い相手に勝てたのは良かったですね」

──その自信は、どこから出てくるものなんですか？
海「やっぱり練習ですね。基本、出稽古なんですけど、強い選手とやってきてるので」

──現在、お２人は地元の愛知から東京に拠点を移しています。練習環境はどう変わりましたか。時間、質、それに相手……。
未来「まさに、その全部ですね（笑）」

海「地元では仕事をしていたので、練習はできても１日２時間とかでした。スパーリングパートナーもあまりいないですし。愛知の中でも、自分たちがいた豊橋は総合格闘技をやってる人が少なくて」

未来「東京に来て特に驚いたのは練習の量と質ですね。同じ２時間でもこんなに疲れるのかって。地元ではスパーリングでも相手によってはそこまで疲れるような感じでもなかったんですけど。上京したてくらいの時は、帰りに階段を昇れないくらい疲れていたのを覚えてますね」

海「プロ選手がたくさんいて、教えてくれる技術も多くて。見てるだけじゃ分からないこともあるので。それを吸収して強くなれたと思いますね」

──今回の取材のように〝朝倉兄弟〞としてフィーチャーされることも多いですが、兄弟２人で格闘技をやってきて良かったと思う点はどこですか？
未来「２人で勝つと評価の上がり方も違いますね。ＲＩＺＩＮでは２人で７戦してるんですけど、その７戦で〝朝倉兄弟〞として両方の評価が上がっていくっていう。どっちかが勝てばお互いの評価が上がるんですよ」

海「だからこそ負けられない足を引っ張れないっていうのもありますね」

──未来選手はケンカでならした過去でも有名ですが、格闘技との共通点は感じますか？
未来「ルールがあるのとないのではかなり違いますね。格闘技にはルールがあって、その中でみんなが努力したり工夫する。体重も一緒ですし。ケンカは体重も人数も違うし武器を使ってくるヤツもいる。やる場所によっても戦略が違いますし。だから全然違いますね。共通するのは気持ちの強さが大事ということくらいですかね。ケンカが強いヤツってなかなかあきらめないんですよ。ケンカはルールがないから、参ったと言わなければ負けにならない。格闘技もきつい場面であきらめないかどうかが大事なので」

──ケンカにおける戦略というのも興味深いですね。
未来「格闘技のほうが、映像でより細かい分析ができるんですけね」

──そういう分析は得意ですか。
未来「得意なほうですね。なので試合では思い通りにいくことが多いです」

海「僕も相手の癖とか弱点とか、けっこう見るほうですね」

──４月21日の横浜アリーナ大会では、未来選手がルイス・グスタボ選手、海選手が佐々木憂流迦選手と対戦。どちらも強敵ですね。
未来「これまでの相手の中で一番強い。死闘になると思います。まあでも、俺のほうが強いかなと。特にテクニックでは自分の方が上だと思ってます。もし俺が負けたら日本で勝てるヤツはいないだろうなって」

海「強敵なのは間違いないですけど、勝つ自信もあるし、それと、間違いなく面白い試合になるっていう自信もあります」

──攻防が噛み合いそうですよね。
海「絶対に噛み合いますね。つまらない試合になるのが想像つかないっていうか。僕が狙うのは打撃でＫОですね。相手の寝技、極めの強さは気を付けてますけど、逆に言えばそこだけかな」

※後日、佐々木選手の欠場が発表され、対戦相手がジャスティン・スコッギンス選手に変更となった。

──今後、目指していく理想のファイター像を教えてください。
未来「とにかく稼ぎたいですね。世界一強くなるか、世界一稼ぐかだったら稼ぐほうを選びます。強くても面白くない選手にはなりたくないんで」

──稼げるということは試合が面白くて人気があると。
海「僕は日本の中心になりたいです。そこから、ゆくゆくは世界の中心に。魅せる試合にもこだわってます。サッカーとか野球に負けないくらいのことをしてると思ってるんで、格闘技を盛り上げていきたいですね」