「登場人物たちの生き方を観ることで、今日1日生きているだけでも奇跡であり幸せだと感じて頂けたらうれしいです」
初出演映画『秘密 THE TOP SECRET』で大注目を浴びた織田梨沙さんが長編映画2作目にして初主演を飾る。しかも『STAR SAND ―星砂物語―』は日豪合作ということに加え、主題曲を担当したのは坂本龍一氏。脇を固める役者陣もベテラン揃いだが物怖じせず伸び伸びと演じた彼女は、すでに大女優になるべく器を備えていた――。
16歳当時私は子供でしたが洋海は芯が強い大人の女性
──本作で流暢な英語を披露していますが、英会話力はどのように習得したのでしょうか。「小さい頃、両親が家で海外ドラマやアニメをずっと流していたんです。私は特に『フルハウス』やディズニー・チャンネルが大好きで、流れている間はテレビに夢中になっていました。もともと耳がよかったおかげか、英語を聞き流すだけで自然とリスニングができるようになりました。発音に関しては今回、少し練習しましたけど、兄のほうが英語はペラペラなんです。母は少し話せて、父は全くしゃべれない家族ですね、我が家は」
──家族といえば、演じられた梅野洋海(ひろみ)は家族と離れて独りで生きています。
「まだ16歳でありながら戦争真っ只中という状況に置かれて、不安だったと思います。でも、自分を見失わずに生きていくので、芯の強い、年齢より大人の女性という印象を受けました。私が16歳だった頃は〝ザ・子供〟という感じでしたし」
──どんな16歳でしたか?
「モデルのお仕事を始めた年齢ではありますが、学校では普通の高校生でした。授業が終わると友達と延々と女子トークに花を咲かせたり、ファストフード店に立ち寄ったり。コンビニすらない時代に生きた洋海ですが、演じる私は戦時中の日本をあまり知らないので、最初はどんなお芝居をすればいいのか迷う部分もありました」
──演じる際、どのような点を意識したのでしょうか。
「有り難いことにロジャー・パルバース監督が私が演じる洋海の感情の移り変わりをそのまま活かしてくださったんです。監督はとても穏やかな方で、演技経験が少ない私を気遣ってくださったんだと思います」
テーマは重みがありますが現場は和気あいあいでした
──現場の雰囲気はどうでしたか。「『戦場のメリークリスマス』の小さな姉妹篇ということで作品のテーマには重みがありますが、現場は和気あいあいとしていました。(隆康役の)満島(真之介)さんが持ち前のトーク力で現場を盛り上げてくださいました。(一役の)三浦(貴大)さんは寡黙な方でしたけど、『ここまで仲良くなるのは初めてぐらいかも』とおっしゃっていたのが印象的でした」
──ボブ役のブランドン・マクレランドさんとはどのようなコミュニケーションを?
「日本語が話せないので基本的に私と会話していました。そこに満島さんが混ざってきて、日本語と英語をミックスさせた言葉とジェスチャーで意思の疎通にチャレンジするという。楽しい会話でした」
──ほかに現場で楽しかったことは。
「私、海と山が大好きな自然児なんです(笑)沖縄の海がキレイだったので、撮影が早く終わった日は日が暮れるまで海で泳ぎ回っていました」
──撮影秘話をありがとうございます。作品の魅力もお願いします。
「ネタバレになるシーンがたくさんあるので多くをお伝えできないのが残念なのですが、緑魔子さんがある事実を打ち明けるシーンは、私は完成作品を観た時に泣きそうになるほど胸を打たれました。最初は恥ずかしくて観られないかも…と思ったんですけど、出ている私がストーリーに夢中になってしまうほどです。戦争真っ最中の登場人物たちの生き方をスクリーンで観ることで、今日1日生きているだけでも奇跡であり幸せだと感じて頂けたらうれしいです。戦うことを善とせず、戦わない正義もあると行動で語る彼らから、ご覧になる方はメッセージを受け取ってください」
INFORMATION
■映画『STAR SAND ―星砂物語―』
【STORY&INFO】
1945年の沖縄。戦禍から遠く離れた小さな島の洞窟で脱走兵である日本人・隆康(満島真之介)とアメリカ人・ボブ(ブランドン・マクレランド)という2人の青年に出会った16歳の少女・洋海(織田梨沙)。戦うことが嫌になり軍から離れた敵同士の2人と洋海の3人の間に不思議な関係が築かれていく。しかし、隆康の兄・一(三浦貴大)が洞窟を訪れたことから、事態は大きく変わっていく。2016年の東京。大学生の志保(吉岡里帆)は、卒業論文の資料として教授から一冊の日記を手渡される。その日記には1945年、戦時中に沖縄の小島で暮らす16歳の少女が見聞きした事柄が記されていた…。大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」で助監督を務めたアメリカ出身の作家ロジャー・パルバースが太平洋戦争下の沖縄を舞台に書いた小説を、自身の脚本、初監督作品として映画化。
【CAST&STAFF】
出演/織田梨沙 満島真之介 ブランドン・マクレランド 三浦貴大/吉岡里帆 寺島しのぶ/渡辺真起子 石橋蓮司 緑魔子
原作・脚本・監督/ロジャー・パルバース
主題曲/坂本龍一
配給/The STAR SAND Team
公式HP
8月4日(金)より渋谷ユーロライブ、8月5日(土)横浜シネマ・ジャック&ベティほか順次公開
(C)2017 The STAR SAND Team
PROFILE
織田梨沙(おだ・りさ)
1995年11月12日生まれ 千葉県出身
12年、モデルとして活動開始。15年より俳優として新たなスタートを切り、16年公開の映画「秘密 THE TOP SECRET」(大友啓史監督)にてヒロインに大抜擢され、スクリーンデビュー。主な出演作にドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」「精霊の守り人Ⅱ 悲しき破壊神」、CM GalaxyS8/S8+「昨日までを、超えてゆけ」#4 日食篇などがある。
公式HP
■映画『STAR SAND ―星砂物語―』
【STORY&INFO】
1945年の沖縄。戦禍から遠く離れた小さな島の洞窟で脱走兵である日本人・隆康(満島真之介)とアメリカ人・ボブ(ブランドン・マクレランド)という2人の青年に出会った16歳の少女・洋海(織田梨沙)。戦うことが嫌になり軍から離れた敵同士の2人と洋海の3人の間に不思議な関係が築かれていく。しかし、隆康の兄・一(三浦貴大)が洞窟を訪れたことから、事態は大きく変わっていく。2016年の東京。大学生の志保(吉岡里帆)は、卒業論文の資料として教授から一冊の日記を手渡される。その日記には1945年、戦時中に沖縄の小島で暮らす16歳の少女が見聞きした事柄が記されていた…。大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」で助監督を務めたアメリカ出身の作家ロジャー・パルバースが太平洋戦争下の沖縄を舞台に書いた小説を、自身の脚本、初監督作品として映画化。
【CAST&STAFF】
出演/織田梨沙 満島真之介 ブランドン・マクレランド 三浦貴大/吉岡里帆 寺島しのぶ/渡辺真起子 石橋蓮司 緑魔子
原作・脚本・監督/ロジャー・パルバース
主題曲/坂本龍一
配給/The STAR SAND Team
公式HP
8月4日(金)より渋谷ユーロライブ、8月5日(土)横浜シネマ・ジャック&ベティほか順次公開
(C)2017 The STAR SAND Team
PROFILE
織田梨沙(おだ・りさ)
1995年11月12日生まれ 千葉県出身
12年、モデルとして活動開始。15年より俳優として新たなスタートを切り、16年公開の映画「秘密 THE TOP SECRET」(大友啓史監督)にてヒロインに大抜擢され、スクリーンデビュー。主な出演作にドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」「精霊の守り人Ⅱ 悲しき破壊神」、CM GalaxyS8/S8+「昨日までを、超えてゆけ」#4 日食篇などがある。
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一 ヘアメイク/内藤歩 スタイリスト/杉本学子 衣裳協力:サンエー・ビューティーN. 03-5379-7748