極彩色の背景とマンガチックな女の子を組み合わせたポップかつエキセントリックなイラストで人気の〝絵描き〟おくさきなおみさん。それらの自作イラストをあしらった原宿系アパレルブランド『アンサングヒーロー』の代表取締役社長という〝実業家〟としての横顔ももつ彼女に、クリエイターとしての矜持や、これまでの歩みを聞いてきた!!
「もともと好きな〝色のぶつかりあい〟とマンガ絵を組み合わせたら面白いなって」
〝原宿系〟で最注目!!異能の絵描きの素顔とは
──目下、10代、20代の原宿系女子に人気だという『アンサングヒーロー』ですが、もともとの出発点は犬服ブランドだったとか。
「そうですね。最初はそれこそお金持ちのマダムをターゲットにしたような犬服ブランドとして立ちあげました。で、なんか物足りないなって思ってたときに、いまみたいなテイストで犬服を作って、試しにお台場のヴィレッジヴァンガードさんに置いてもらったら、それがすごく評判もよくて。そこから『スマホケースとかグッズも作ってみないか』って話になり、今度は洋服を作るようになり、気がついたら、犬服はやらなくなっていたって感じです」
──現在のテイストこそが、本来自分の描きたかったものだと?
「一応、対外的には『愛くるしさに隠れた狂気を追い求める』って自称してるんですけど、なんて言うか、色と色のぶつかりあいみたいな配色がもともと好きなんですよね。で、そういう色彩と、日本にしかないマンガ絵を組み合わせたら、面白いんじゃないかって始めたのが、ちょうど2年ぐらい前。これでも学生の頃はずっと少女漫画家を目指していたこともあったので(笑)」
──立ちあげからここまでは、ビジネスとしても順調に?
「それが全然で(笑)会社そのものは犬服をやってたときに作ってあったから、その点での〝信用〟みたいなものはありましたけど、どんなに売りこみをかけても、最初は『誰だこいつ』って感じでしたね。始めて3ヵ月とか半年ぐらいで、自分のなかにあった根拠のない自信は一気にマイナスになりました。『自分よりウマい人はいっぱいいるし、人気もないし、ダメかもしれない』って」
──それがいまや原宿系な女の子には絶大に支持されるまでに。そこにはなにかしらのきっかけが?
「いまはなくなっちゃいましたけど、去年の2月に、渋谷パルコさんでいろんなクリエイターを集めた『カワイイメーカー』っていう、雑誌『KERA』とのコラボイベントがあったんです。そこに運よく声をかけてもらえて、私自身にも人とのつながりがたくさんできた。それはすごく大きかったと思います」
──今年1月には〝聖地〟とも言える『ラフォーレ原宿』でも、期間限定でショップを出店されました。一時はマイナスになった自信も、かなり取りもどせた感じですか?
「2年もかかっちゃいましたけど、始めた時点で思い描いていたところにはようやく来れたかな、とは思います。ただ、いまは企画から制作、運営までぜんぶ私ひとりでやっている状態なので、ラフォーレさんでの1週間は、ほとんど寝る時間もなくて、体力的にはホントにキツかったですけどね。どうやら期間中に毎日イベントを打つなんていう無謀なことをしたのは、私が初めてだったらしいので(笑)」
──それにしても、原宿と言えば、アパレル業界のなかでも屈指の激戦区。ライバルも多いですよね。
「多いですねぇ。だからこそ、ヘンに流行を追ったりせずに、自分が心底、『かわいい』『着たい』と思えるようなものを作るようにはしています。やっぱり〝ユメカワ〟とか〝パステル〟とかは『かわいい!』とは思っても、自分で『着たい!』とは思わない。私の目指すところは、さっきも言った〝色と色のぶつかりあい〟ですからね(笑)」
──今後の具体的な目標みたいなものはすでに思い描いてます?
「私のなかでは、アメリカのグラフティに影響を受けているところもすごくあるんで、いつかはニューヨークとかで個展みたいなものも開いてみたいっていうのは野望としてありますね。単なるポップアイコンとしてじゃなく、1枚の絵として、私のイラストを純粋に見てもらいたい。マンガ絵の表現はむしろ海外のほうがストレートに受けとってもらえるんじゃないかとも思うので」
──ちなみに、モチーフは女の子ばかりですけど、男の子は?
「これがいっさい描きたいと思わないんですよね。私のなかでグッと来るのは断然、かわいい女の子。そのおかげで恋愛対象も女性だと思われがちですけどね(苦笑)」
PROFILE
おくさき・なおみ
東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程を卒業後、14年に株式会社unsung heroを設立。自作のイラストを衣服や雑貨にプリントした同名のアパレルブランドを運営しながら、様々なタレントとのコラボグッズも手がけ、一躍注目を集める存在となる。今年8月には2度目の個展を予定するなど、クリエイターとしての創作活動も積極的に展開中。
公式HP
公式Twitter
おくさき・なおみ
東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程を卒業後、14年に株式会社unsung heroを設立。自作のイラストを衣服や雑貨にプリントした同名のアパレルブランドを運営しながら、様々なタレントとのコラボグッズも手がけ、一躍注目を集める存在となる。今年8月には2度目の個展を予定するなど、クリエイターとしての創作活動も積極的に展開中。
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取材・文/鈴木長月