エレキングやガッツ星人は大スター。僕にとっては高倉健のような存在です
街中ですれ違えば「えぇ!?」と誰もが目を奪われる、体中が文字やイラストだらけのルックス。本業の作家活動では、大槻ケンヂ、唐沢俊一、枡野浩一らから賞賛を浴び、ウルトラシリーズの脚本家、キャラクターデザイナー、UMA探検家としても活動……。多才すぎるがゆえに、とらえどころのない男・中沢健の活動の原点に迫る!
最近は近所のコンビニで出禁になったのがショックでした(笑)
──自作のキャラに詩、イラストと、いろんなものが貼られていますね…! この「歩く雑誌・動く待ち合わせ場所」の活動は、なぜ始めたんですか?「作家になりたくて19歳で上京したんですが、家でパソコンに向かうだけの毎日で、『これじゃ東京に来た意味ない!』と気づいて(笑)路上ミュージシャンのように街中で表現する人が羨ましくなり、『自分も作家として何かしよう』と思ったんです」
──それでこの表現形態を選ぶのが凄いです(笑)
「思いついたきっかけは、テレビか何かで『電車内に広告を出すには何十万円もかかる』と知ったことでした。『それなら自分の体に作品を貼って外を歩けば凄い宣伝効果じゃないか』と思ったんですよ」
──街中で変な目で見られることは多いのでは?
「入店拒否をされることも多く、最近は近所のコンビニを出禁になったのがショックでした(笑)もう14年間はこのスタイルで外出していますが、映画出演のときなど、必要な場面では脱ぐこともあります。あくまで本業は作家で、この活動を知らしめることは僕の最大の目的ではないんですよ」
──作家活動では小説『初恋芸人』が大槻ケンヂさんなどに賞賛されていますし、ウルトラシリーズのテレビ番組『ウルトラゾーン』の脚本も手がけられていますね。もともと熱烈な怪獣マニアだそうですが。
「中学生の頃からウルトラマンの脚本を書いて、円谷プロに送っていました。だからウルトラシリーズの仕事は、本当に夢のようなことで……。『ウルトラゾーン』は過去の怪獣を登場させられる作品でしたし、エレキングやガッツ星人は僕にとって大スターだったので、日本映画で言えばオール高倉健で脚本を書けるような幸せな体験でした!」
──本当に怪獣が大好きなんですね。
「その仕事のきっかけも、怪獣モノの作品を手がける監督さんと怪獣談義で飲み明かす仲になり、『書いてみない?』と声をかけてもらったことでした。だからAKB48『会いたかった』の『好きならば 好きだと言おう』って歌詞は本当だと思いましたよ(笑)オタクの人は趣味を隠す人が多いですが、僕はもっと出していくべきだと思っています。好きなモノを好きと言い続ければ人間関係も広がり、それが仕事になることもありますから。その後で、インドネシア製作の特撮ヒーロー番組『ガルーダの騎士ビマ』の脚本の仕事をできたのも、怪獣映画好きのつながりがきっかけでしたし」
──最近では映画『燃える仏像人間』の制作にも参加されていますね。
「僕は共同脚本での参加ですが、宇治茶監督のアニメーションと漫画を融合した“劇メーション”という表現方法に触れるだけでも、価値がある作品だと思います。仏像と融合した人間など、バケモノがたくさん出てきますが、僕たちは『打倒ジブリ』のつもりで作りましたし、ストーリー自体は王道なので、大人から子供まで楽しめると思います!」
──では今後の活動の目標などは?
「僕は子供の頃に好きだったものが今も大好きなので、子供に届く作品を作っていきたいです。あと、僕の最終目標は不老不死なので、見た子供が『不老不死になりたい』と思える作品を作ることができたら最高です(笑)」
INFORMATION
『燃える仏像人間』
(インターフィルム)3800円(DVD)、4800円(Blu-ray) 4月1日発売
両親を仏像人間(仏像と人間の融合体)に惨殺された女子高生・紅子が、復讐に身を投じるアクション怪奇作。宇治茶監督のアニメーションと漫画を融合した“劇メーション”という表現形態も話題を呼び、世界の映画祭でも上映されている。2013年文化庁メディア芸術祭では文部科学大臣賞優秀賞を受賞した。オーディオコメンタリーには中沢健氏も参加している。
PROFILE
中沢健(なかざわ たけし)
1981年生まれ。
作家、脚本家、キャラクターデザイナー、UMA探検家、路上パフォーマー。
2001年より普段着に自作のキャラクターのイラストや俳句、詩などを貼り付けた「歩く雑誌」として24時間エンターティナー活動を行う。著書に長編小説『初恋芸人』(風塵社)がある。
公式HP
『燃える仏像人間』
(インターフィルム)3800円(DVD)、4800円(Blu-ray) 4月1日発売
両親を仏像人間(仏像と人間の融合体)に惨殺された女子高生・紅子が、復讐に身を投じるアクション怪奇作。宇治茶監督のアニメーションと漫画を融合した“劇メーション”という表現形態も話題を呼び、世界の映画祭でも上映されている。2013年文化庁メディア芸術祭では文部科学大臣賞優秀賞を受賞した。オーディオコメンタリーには中沢健氏も参加している。
PROFILE
中沢健(なかざわ たけし)
1981年生まれ。
作家、脚本家、キャラクターデザイナー、UMA探検家、路上パフォーマー。
2001年より普段着に自作のキャラクターのイラストや俳句、詩などを貼り付けた「歩く雑誌」として24時間エンターティナー活動を行う。著書に長編小説『初恋芸人』(風塵社)がある。
公式HP
取材・文/古澤誠一郎