“和製ドラゴン”の異名を持ち国際派アクション俳優として活躍中の倉田保昭さんが企画した「柔術~JU-JITU」が2月19日にDVDリリース。本作は世界初の柔術映画でノーワイヤー&ノーCG! 鍛えられた肉体が織り成す究極のアクション作品だ。見どころや撮影秘話はもちろん若い世代には勉強になるアドバイスもくれた。武道十段。衰え知らずの肉体と、軸ぶれぬ強き精神を持ち続けるスターの秘密迫る!!
柔術映画はこの作品が世界初ブームを巻き起こしたい!
──倉田さんが出演された超絶武術アクション作品「柔術〜JU-JITU」のDVDが今月19日にリリース。他に企画と制作を担当されたんですよね。「今まで空手や柔道、カンフー、合気道といった武道的な作品には数多く出演してきたけど、この柔術だけは自分も未経験者でね。だから撮影前の1ヶ月間は、事務所に隣接した稽古場で出演者と朝から訓練したよ。ただ、制作まで担当するのは厳しかったね。撮影が終わるまでは安眠とはかけ離れた生活を送っていたからね」
──作品を観ると、キャスト全員が本気で戦っている感じがします。
「今回は出演者が本気で戦うのがテーマ。CGを使わず嘘も一切ナシ。“柔術らしく”ではなく、反応をどう撮るかを大切にしたんだ」
──撮影現場でケガなどをされた方もいらっしゃいましたか?
「実は…俺が撮影初日に骨折しちゃったんだよね(苦笑)。右手親指の下の方。戦うシーンで道着がつかめなくて苦労したけど、そのまま撮影は続行して、気づいたら完治しちゃった(笑)」
──ホントですか!? 撮影で工夫した点にはどんなことが。
「柔術って実は寝技が中心で、映像的には難しい武術なんだよね。ブラジリアン柔術が有名だけど本来は日本古来の技法で、戦うための術ではなく、戦わぬための術。だから柔術本来の形のまま撮影すると、同じ画ばかりが続いて見てくれる人が飽きちゃうから、立ち技と寝技の格闘シーンを適宜、入れるようにした点かな」
──作品内で「柔術は人格形成にも役立つ」というナレーションがありましたが、本当ですか?
「これは武術全般に言えることだけど、長く続けると分かること。続けると、“芯がブレなくなる”んだ。1つのことを軸ブレずに、やり続けられるようになる。強靱な心を育む。そして人格形成にも繋がる…それが武術の魅力の1つだね」
──改めて、今回の作品の見どころを教えて下さい。
「空手やカンフー映画は今まであらゆる人が何百本と撮ってきているけど、本格的な“柔術映画”はこれが世界初。でも、世界的には日本古来の柔術って、ブームになりつつあるんだよ。だからこの映画が、柔術の更なる火付け役になってくれることを願っているんだ」
──完成作を観て、倉田さん自身は出来栄えに満足していますか?
「不満はたくさんあるし、決して満足はしてない。浅井宏樹監督も、初めての撮影だから手探り状態だったしね。ただし、ラスト15分の格闘シーンは役者たちが頑張ったと褒めてあげることができる。真夏なのによくやったよ」
──リリース前ですけど、この柔術をモチーフにした次回作の構想はありますか?
「できれば次回は、女性に柔術をやってほしいんだよね。柔術は決めの姿勢に入ったら力が必要ないので、女性でも十分に迫力ある映像が撮れるから。本来は男より女性のほうが、肉体的にも精神的にも強いわけだし、ね。ただねぇ…もし映画の中ででも、男が女性に寝技をかけたら、何となくワイセツな感じがするでしょう(笑)。そこは少し、考えなくちゃと思ってる。まあ、そうは言ってもこの作品が好評じゃないと次はないんだけどね」
人が見てないところでも努力せねば実力は維持できない
──倉田さんは“和製ドラゴン”という異名を持ち国際俳優として活躍する一方、事務所社長としても活動していますよね。多方面で活躍するための原動力は何ですか。「幼い頃から映像が好きで、映像制作に携わることと出演できることが原動力かな。今は1〜2年に1本の割合だけど、カメラの前に立つためには、人が見ていないところでも努力しないとと思って鍛錬を続けてる。アクションができなくなったら意味がないし、人が見ている場所だけで努力しても、技術を維持できないからね。そういった意味では、プロのスポーツ選手と近い感覚かも知れない。必ず1人で訓練するから、若い連中から見れば、『いつ練習してるんだ!?』と思うだろうけど(笑)」
──素人にオススメの鍛え方は?
「毎日ストレッチをすること。ケガをしなくなるし、脂肪が付きづらくなる。俺も続けているんだけど、30年間で1キロしか体重が変わらないからオススメだね」
──食生活にも気を配っていますか。
「もちろん、食事制限はしてるよ。三食しっかり食べるけど、量は摂らないし、ご飯はおかわりしない。おかずも1〜2品で、どちらかといえば質素な食生活を送ってるかも知れない。だから若い頃と体重が変わらないというのもあると思う。食べた物を運動で消費すれば太るはずがないのに、食後すぐ座るから脂肪が溜まるんだよ。仕事や生活環境も関わってはいるけど、消費しないからメタボに悩まされる人が増えたんだろうね」
怒ってくれる先輩と行動を共にして夢は大小2つ持とう
──倉田さんにズバリお伺いします。夢を叶えるためにはどうすればいいでしょうか。「言い古されているけど、夢が叶うまで想い続けること。これしかない! 俺が24歳で日本人として初めて香港映画に出た時も、そう想い続けてたよ。でも今の若い人たちは、夢を持っていないよね。大きな夢をひとつ抱いて、そこに繋がる小さな夢もひとつ持つ。この小さな夢に到達できれば、簡単には挫折しないと思うんだけどね。俺だって香港映画に出演するまでは、日本でチョイ役などをしてたわけだし。そのまま日本で腐っていたら、今の俺は存在しないよね」
──想い続けることで、40年間で100本以上の海外作品に出演を果たしたんですね。
「ただし、彼らはすべてにおいて俺を歓迎してはいないけどね…。日本からキャストを呼んだら、余計な交通費や宿泊代だってかかるでしょう。何か特別な技術を持たないと、海外から呼んでもらうことは、難しいと思う。逆に一芸に秀でているとそれも可能となる。だからドカント読者も、何でもいいから『自分にしかできないこと』を身につけたほうがいい!」
──なるほど。他に最近の若者を見て感じることはありますか。
「同性の先輩と行動を共にしない若い男が増えてるよね。ウザいとか面倒くさいという理由で。だけどそれが、男として成長できない一因。女性は母になる本能を兼ね備えているけど、男はなかなか自立しない生き物だから、同性から教育を受けないと、言い訳と言い逃れの人生を送ることになるよ。叱ってくれる先輩が側にいるからこそ男は伸びるし、男に磨きもかかる。今年64歳になる俺だって、いまだに武道の先輩から指示を仰ぐことがあるんだから。じゃないとおそらく、どこかで道を間違えてしまうからね」
──いまだに師や先輩の指示を仰ぐ倉田さんは、今後も進化し続けるということですね。
「それはどうかなぁ(笑)。あと2〜3年でアクション俳優は無理だから、自然とフェイドアウトするかも知れないね。見込みのある若者が出てくれば、後継者育成に奮起するだろうけど、現時点では考えてないかな」
INFORMATION
■DVD「柔術~JU-JITU」
【INFO&STORY】
「無名道場」この名もなき道場には武術界を揺るがす秘密が隠されているという噂が絶えなかった。柔術界に名を轟かす小早川(倉田保昭)の一番弟子である真人(坂井良平)は、絶えない道場破りの相手をしつつも己の腕を試したい気持ちを抑えきれずにいる。そんな中、武術界をその手に治めようと「覇龍會」が無名道場にある伝説の“御免状”の存在を嗅ぎつける。覇龍會こそ父の仇と知る真人だが、師の小早川は柔術を仇討ちに使用することを禁じる。そして遂に、覇龍會は小早川の娘で真人の恋人・千秋を攫い…。「柔術」VS「空手」。勝負は一瞬! 機先を制した者が、生存る!! 武術の達人ゆえにブラフのない美技・妙技はアクション映画を次にステージへと昇華させる。ヌンチャクブーム、忍者ブームの火付け役にして“和製ドラゴン”と呼ばれる倉田保昭が企画、出演の超絶武術アクションから目が離せない!
【CAST&STAFF】
出演/坂井良平・宮本親臣・易楠・中村浩二・永井正浩・伊吹剛・倉田保昭
監督/浅井宏樹
脚本/岡野勇気
企画/倉田保昭
制作/倉田プロモーション
GPミュージアムソフトから2月19日リリース
(C) 2010 GPミュージアムソフト
PROFILE
倉田保昭(くらた・やすあき)
1946年3月20日生まれ 茨城県出身
大学卒業後、66年にテレビドラマでデビュー。71年、香港映画界の名門ショーブラザーズ社のオーディション合格を機に、全盛のクンフー映画界へ転身。「悪客」で香港デビュー。以降、数多くの映画に出演を果たし、日本では「闘え!ドラゴン」「Gメン75」「新・江戸の旋風」「猿飛佐助」などの作品に出演。ブルース・リーやジャッキー・チェン、サモ・ハン・キン・ポー、チョウ・ユンファ、アンディ・ラウら錚々たる国際スターと数多く共演し、世界的にも知られる。07年10月、「中国功夫全球盛典」で最優秀アクションアクター賞を受賞。近年は09年に映画「ラスト・ブラッド」「新宿インシデント」にて名バイプレイヤーぶりを発揮。世界を股にかけて活躍するアクション俳優である。俳優以外に倉田プロモーション代表として後進を育成。全日本双節棍道連盟最高顧問、創武館道場代表を務めるなど、その活躍の場は今もなお留まることを知らない。空手糸東流五段、柔道三段、合気道二段。
公式HP
■DVD「柔術~JU-JITU」
【INFO&STORY】
「無名道場」この名もなき道場には武術界を揺るがす秘密が隠されているという噂が絶えなかった。柔術界に名を轟かす小早川(倉田保昭)の一番弟子である真人(坂井良平)は、絶えない道場破りの相手をしつつも己の腕を試したい気持ちを抑えきれずにいる。そんな中、武術界をその手に治めようと「覇龍會」が無名道場にある伝説の“御免状”の存在を嗅ぎつける。覇龍會こそ父の仇と知る真人だが、師の小早川は柔術を仇討ちに使用することを禁じる。そして遂に、覇龍會は小早川の娘で真人の恋人・千秋を攫い…。「柔術」VS「空手」。勝負は一瞬! 機先を制した者が、生存る!! 武術の達人ゆえにブラフのない美技・妙技はアクション映画を次にステージへと昇華させる。ヌンチャクブーム、忍者ブームの火付け役にして“和製ドラゴン”と呼ばれる倉田保昭が企画、出演の超絶武術アクションから目が離せない!
【CAST&STAFF】
出演/坂井良平・宮本親臣・易楠・中村浩二・永井正浩・伊吹剛・倉田保昭
監督/浅井宏樹
脚本/岡野勇気
企画/倉田保昭
制作/倉田プロモーション
GPミュージアムソフトから2月19日リリース
(C) 2010 GPミュージアムソフト
PROFILE
倉田保昭(くらた・やすあき)
1946年3月20日生まれ 茨城県出身
大学卒業後、66年にテレビドラマでデビュー。71年、香港映画界の名門ショーブラザーズ社のオーディション合格を機に、全盛のクンフー映画界へ転身。「悪客」で香港デビュー。以降、数多くの映画に出演を果たし、日本では「闘え!ドラゴン」「Gメン75」「新・江戸の旋風」「猿飛佐助」などの作品に出演。ブルース・リーやジャッキー・チェン、サモ・ハン・キン・ポー、チョウ・ユンファ、アンディ・ラウら錚々たる国際スターと数多く共演し、世界的にも知られる。07年10月、「中国功夫全球盛典」で最優秀アクションアクター賞を受賞。近年は09年に映画「ラスト・ブラッド」「新宿インシデント」にて名バイプレイヤーぶりを発揮。世界を股にかけて活躍するアクション俳優である。俳優以外に倉田プロモーション代表として後進を育成。全日本双節棍道連盟最高顧問、創武館道場代表を務めるなど、その活躍の場は今もなお留まることを知らない。空手糸東流五段、柔道三段、合気道二段。
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一