「15歳で集団レイプされた私が風俗嬢になり、さらに看護師を目指した理由」|。雪村葉子さんによる衝撃的な手記を精神科医の和田秀樹氏が実写化。映画『私は絶対許さない』はインドで開催された「ノイダ国際映画祭」で審査員特別賞も受賞し世界的にも注目を集めている。今回は集団暴行被害に遭った当時の葉子を演じた西川可奈子さんと、整形後の葉子を演じた平塚千瑛さんを取材。「寒い、怖いだらけの撮影だった」と語る現場でのエピソード以外にプライベート話を聞くと、意外な共通点が!!
原作者の雪村葉子さんが集団レイプの撮影を見学した時…
──撮影を振り返っての感想は。平塚「私はこの作品が映画初主演で初脱ぎでもあったんです。上京後の葉子を演じさせて頂いたのですが、ほぼ主観撮りという声だけの表現方法で演じる難しさを痛感しました」
西川「集団レイプに遭う葉子という役柄に対してではなく、主観撮りという手法に苦労しました。私たちを含めスタッフさんも全員初めてだったんです。役はオーディションの時から『受かったら使命だ』と思っていたので戸惑いはありませんでした」
──集団レイプの被害者であり原作者の雪村葉子さんにも会ったそうですね。
平塚「私だったら誰にも言えず、二度と思い出したくないことなので、自分自身の中にしまっておくと思うんです。でもお会いしてみたら、私の抱いていたイメージとは違う、とても明るい方でした。演技の参考になるからと当時のことを『何でも聞いてください』と言って下さったのには驚きました。何もかもが初めての私に葉子さんを演じる上で必要なこと、お聞きしたことすべてに答えて下さいました」
西川「私も同じく、立ち入っていいのかなというところまで聞かせて頂いたんです。もう吹っ切ることができているからこそ自ら手を挙げて原作を執筆されたのでしょうし、集団レイプをされるシーンは見学にもいらっしゃったんです。その時に『当時のことはよく覚えていない』とおっしゃった言葉が胸に重く響きました。本当に怖い体験をすると人は記憶が飛ぶと聞いたことがあったので」
平塚「そういえば私、外見が雪村さんとそっくりだったんです。お会いした時に『似てる』とお互いに共感し、雪村さんから公認を頂きました(笑)」
──精神科医でもある和田秀樹監督の演出はいかがでしたか。
平塚「初めはこれといった演出はなかったんです。最初から全裸シーンと絡みが多く、現場で私があまりにも怯えていたので、心情を汲み取ってあえて何もおっしゃらなかったのかもしれません。後半のSMシーンの表情やプレイに対することは、本物の女王様を交えてアメとムチを使い分ける細かいレクチャーを受けました」
西川「監督は役者の意思を汲んでくださる方でした。私は本当の恐怖を感じると人は声すら出せないと集団レイプのシーンで実感したので、『助けて』とは言えませんとお伝えして、カットして頂いたんです」
前向きに生きる姿を励みに!いずれ地方自治体でも上映を
──葉子は母親と確執がありますが、お2人のお母様との関係は。平塚「20歳の時に母を亡くしているのですが正直、誕生日も血液型も同じで顔も似ていたせいかぶつかることが多かったです。これから親孝行しようと思っていた矢先に亡くなったので、そこだけを唯一、後悔しています」
西川「私も実家のある大阪で同居していた20歳ぐらいの時はぶつかり合っていました。でも今はこの仕事の一番の理解者です。この作品の出演が決まった時も、最初に報告したんです」
──今回はお2人の共通点も探りましょう。料理上手ですよね。
西川「それこそ母の影響です。母が盛りつけも上手なのでSNSにアップする時は意識します」
平塚「私はファンの方から『料理できるの?』と言われるんです。作らないイメージが定着しているので、最近はギャップ狙いで作るようにしています(笑)」
西川「私もそうだけど、和食を作る時は出汁から作るとか?」
平塚「えぇっ!そこは誰も見ていないから手抜きしてた…」
──(笑)最後に映画の見どころを。
西川「今の日本はまだ性犯罪被害者が『私も』と手を挙げられない風潮ですが、経験者は180度人生を狂わされても前向きに生きる雪村さんの姿を励みにしてほしい。劇場で観て下さい」
平塚「過激なシーンはありますが、何もかも実際に起きたことなんです。この映画が1館でも多く映画館、そして公民館などで上映されることを願います。今後、みなさんが生きていく上で心を強くするきっかけにして頂けたらうれしいです」
INFORMATION
■映画『私は絶対許さない』
INFO&STORY
15歳の元日に集団レイプに遭い、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きてきたという雪村葉子さんの手記を、精神科医の和田秀樹監督が映画化。主人公目線ですべてが撮影される完全主観撮影で、よりリアルにレイプシーンなどを描いていて、精神科医ならではのトラウマを描く新感覚社会派作品。集団レイプに遭う学生時代の葉子を西川可奈子、東京で風俗嬢になる整形後の葉子を平塚千瑛が演じている。
CAST&STAFF
出演/平塚千瑛・西川可奈子・美保純・友川カズキ・白川和子・隆大介・佐野史郎ほか
監督/和田秀樹 原作/雪村葉子(ブックマン社) 脚本/黒沢久子 配給/緑鐵
4月7日(土)からテアトル新宿ほか全国順次公開中
公式HP
(C)「私は絶対許さない」製作委員会
PROFILE
平塚千瑛(ひらつか・ちあき)
1986年8月6日生まれ 山形県出身
保険会社のOLを経て12年に「ミスユニバース・ジャパン」セミファイナリスト。TOTO、TBSなどの広告モデルとして活動。13年、「ベストボディ・ジャパン日本大会」グランプリ。現在は18年公開予定の主演映画『ノゾカレタクナイ』やドラマ「相棒」「鬼平犯科帳」、舞台など芝居を中心に活動。18年4月より山形県米沢市観光大使を務める。
公式ブログ
公式Twitter
西川可奈子(にしかわ・かなこ)
大阪府出身
上京後、舞台を中心に活動。3年前より映像作品進出。近年の出演作に舞台「オルゴール」やミュージカル「シンデレラ」「白雪姫」、ドラマ「ホテルコンシェルジュ」「セシルのもくろみ」「西郷どん」、映画『ホワイトリリー』などがある。
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■映画『私は絶対許さない』
INFO&STORY
15歳の元日に集団レイプに遭い、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きてきたという雪村葉子さんの手記を、精神科医の和田秀樹監督が映画化。主人公目線ですべてが撮影される完全主観撮影で、よりリアルにレイプシーンなどを描いていて、精神科医ならではのトラウマを描く新感覚社会派作品。集団レイプに遭う学生時代の葉子を西川可奈子、東京で風俗嬢になる整形後の葉子を平塚千瑛が演じている。
CAST&STAFF
出演/平塚千瑛・西川可奈子・美保純・友川カズキ・白川和子・隆大介・佐野史郎ほか
監督/和田秀樹 原作/雪村葉子(ブックマン社) 脚本/黒沢久子 配給/緑鐵
4月7日(土)からテアトル新宿ほか全国順次公開中
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(C)「私は絶対許さない」製作委員会
PROFILE
平塚千瑛(ひらつか・ちあき)
1986年8月6日生まれ 山形県出身
保険会社のOLを経て12年に「ミスユニバース・ジャパン」セミファイナリスト。TOTO、TBSなどの広告モデルとして活動。13年、「ベストボディ・ジャパン日本大会」グランプリ。現在は18年公開予定の主演映画『ノゾカレタクナイ』やドラマ「相棒」「鬼平犯科帳」、舞台など芝居を中心に活動。18年4月より山形県米沢市観光大使を務める。
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西川可奈子(にしかわ・かなこ)
大阪府出身
上京後、舞台を中心に活動。3年前より映像作品進出。近年の出演作に舞台「オルゴール」やミュージカル「シンデレラ」「白雪姫」、ドラマ「ホテルコンシェルジュ」「セシルのもくろみ」「西郷どん」、映画『ホワイトリリー』などがある。
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撮影◎近藤 誠 取材・文◎内埜さくら