ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』で刑事・宮城遼一役で独特の存在感を放ち、主演作公開が続く俳優の細田善彦さんが主演する映画『ピア〜まちをつなぐもの〜』が4月26日より劇場公開。超高齢化社会を迎える日本にとって重要なキーワードとなる在宅医療が舞台の本作への臨み方と、5月25日から公開される主演映画『武蔵―むさし―』への熱い想いを聞いた!
「在宅医療医を演じて本人が『最期にどうしたいか』を伝えるためには、病気のことだけではなく、日頃の意思伝達が鍵を握っているのでは、と実感しました」
在宅医療現場に行き役作り病院との違いを実感して…
──在宅医療に取り組む医師の高橋雅人役を演じる際にした、事前準備を教えて頂けますか。「現場へ実際に行かせて頂いたことが、非常に大きかったです。診療を見せてくださった先生は、各患者さんに対して接し方が明確に違うんです。『お具合どうですか?』と最初から患者さんに向き合う場合もあれば、家具の変化から話に入るケースもある。寝たきりで独居の方には、すぐ診療に入られたり。在宅医療を肌で感じることができて、すごく勉強になりました」
──実際に演じてみた感想は。
「雅人の父親、圭蔵を演じた升毅さんの言葉に『病人を診るんじゃなくて、患者さんを見ろ』がありましたけど、在宅医療はまさにそれなんです。病院医療は病気を治すことが目的。対して在宅医療はもう治らないかもしれない、ではどう向き合っていくかがテーマの1つでもあります。だから先生は、患者さんに適量のお酒の飲み方や趣味の話をすることもあり、その人らしい人生の送り方に主眼を置いている。2つは全く別の職業だと感じました。だから(元エリート医師の)雅人は、違いに苦しんだのでは、と」
──苦しみながらも雅人は医師としての考え方が変わっていきますよね。
「雅人の変化を通じて、僕自身の考え方に影響を与えてもらいました。どちらが正しいかは分からないのですが、周りがご本人の選択の幅を用意することが大事だと思ったんです。在宅医療が始まるとご家族は大変な思いをされますが、ご本人が周囲に遠慮することなく『最期にどうしたいか』を伝えるためには、病気のことだけではなく、日頃のコミュニケーションが鍵を握っているのでは、と。最期についてきちんと話せる家族、地域ではないといけないんだな、と実感しました」
──できれば本作は、普段映画を観ないシニア世代も観てもらいたいのでは。
「おっしゃる通り、実は映画館で上映後、公民館などで上映会を開くプランがあるんです。シニア世代の方々の中には、リタイアしても現役時代の肩書きを捨てられずにいる人がいると聞きます。雅人も在宅医療に就くことで、周りからメッタ打ちにされて(笑)肩書きを外された状態でスタートするんです。どこかでみんな、ポジションによって人格形成されてしまう部分はあると思います。肩書きに頼ってしまう人こそ、誰にも本心を明かさずにいられないかもしれませんが、弱みや本心を他者にさらすことは決して恥ずかしいことではない。この映画が今までの概念を払拭するきっかけになればいいと願っています」
演じた武蔵は強くなりたいともがき成長する普通男子
──お仕事のお話も。役者人生での転機はいつですか?「23〜24歳の頃です。海外に住みたくなって役者を辞めて、24歳の時にカナダからアメリカを1人放浪しました。大好きな役者の先輩に相談したら『戻る場所があるとないでは全く違うから、行くなら絶対に事務所を辞めてからにしろ』と言われたのでアドバイス通りに、事務所を辞めてから行きました。海外で暮らしたからといって何かが劇的に変わるわけではないんですけど、続けてきたことを辞める決断をできた当時の自分を褒めてあげたいです。僕の過去を知っている俳優からは相談を受けたりもします」
──具体的にはどんな相談を?
「事務所を変えたいとか、役者を辞めたいとか。僕は『辞めたい』と相談されたら必ず、『一度、辞めてみたら』と言うんです。でも、数多く相談を受けてきて、今まで辞めたのは1人のみ。そう思っても辞めない人はきっと、辞めたいと言った時に〝引き止められた事実〞を次への活力にしようとしているのかもしれません。ただ、辞めたくなっている時は仕事への情熱も低下している可能性もあって。本当は、ダラダラと惰性で仕事をしないほうがいいとは思うんですけどね。たった1人やる気がない人がいるだけで、現場の士気が下がってしまうので」
──それは確かに。話は変わりますが、5月には主演映画『武蔵―むさし―』も公開されます。飛躍の1年という記事を拝見しましたがいかがですか。
「いやいや(笑)ですが三上康雄監督は、『この映画で時代劇のトップを獲るんだ』という勢いで、あえて何度も映像化されている武蔵に挑んでいます。僕自身もこの映画で、『細田善彦はこういう役者なんだ』と、ドカンと見せつけたいと考えています。今回、松平健さんという〝ラスボス佐々木小次郎〞を僕が倒しに行くので、この作品で僕もドンと出ていきたいですね」
──今回はどんな武蔵が観られるのか、という声もありますが。
「三船敏郎さんが演じた武蔵を含め、武蔵には強いイメージが根強くありますが、今回はあまり強くないかもしれません。片田舎から京都に出てきて、巌流島までの10年間を描いているので、最初から強い人などいなかったし、人は成長するという姿を演じたかった。泥臭いというか、普通の男の子が剣を用いて強くなりたいともがき続けているサクセスストーリーなので、武蔵の成り上がりぶりに共感して頂ける方も多い作品だと思います」
INFORMATION
■映画『ピア~まちをつなぐもの~』
【INFO&STORY】
若手医師の高橋雅人(細田善彦)は病気で倒れた父親の病院を継ぐため大学病院を辞めて地元に戻ってきた。父・圭蔵(升毅)の要望で訪問診療も始めるが、先端医療の研究を志していた雅人には、なかなか関心を持てずにいた。ケアマネジャー佐藤夏海(松本若菜)や介護福祉士らとの連携も消極的な雅人は次第に地域医療の中で孤立。そんな中、雅人はある患者家族の訪問診療に向かう。この出会いが医師としての雅人の考え方を大きく変えることになる……。
【CAST&STAFF】
出演/細田善彦・松本若菜・川床明日香・戸塚純貴・尾美としのり・ 水野真紀・升毅ら
監督/綾部真弥
企画・原作・プロデュース/山国秀幸
脚本/藤村磨実也・山国秀幸
配給/ユナイテッドエンタテインメント
公式HP
4月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
(C)2019「ピア」製作委員会
■映画『武蔵ーむさしー』
【INFO&STORY】
幼い頃、父親から徹底的に鍛えられた21歳の新免武蔵(細田善彦)は剣術の名門・吉岡家に挑むため、京の地へ。そこで吉岡清十郎(原田龍二)らと壮絶な戦いを繰り広げる。その頃、佐々木小次郎(松平健)は細川家の重臣・沢村大学(目黒祐樹)と出会い、剣術指南に。そして武蔵は遂に小次郎と刀を交えることとなる。
【CAST&STAFF】
出演/細田善彦・松平健・目黒祐樹・水野真紀・若林豪・中原丈雄・清水紘治・原田龍二・遠藤久美子・武智健二・半田健人・ 木之元亮ら
監督・脚本・製作/三上康雄
配給/アークエンタテインメント
公式HP
5月25日(土)全国ロードショー
(C)2019 三上康雄事務所
PROFILE
細田善彦(ほそだ・よしひこ)
1988年3月4日生まれ 東京都出身
近年の出演作にドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「真田丸」「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか?」「3年A組-今から皆さんは、人質です-」、映画『終の信託』『羊の木』などがある。「ゼクシィ」11代目のCMパートナーでもお馴染み。
公式HP
■映画『ピア~まちをつなぐもの~』
【INFO&STORY】
若手医師の高橋雅人(細田善彦)は病気で倒れた父親の病院を継ぐため大学病院を辞めて地元に戻ってきた。父・圭蔵(升毅)の要望で訪問診療も始めるが、先端医療の研究を志していた雅人には、なかなか関心を持てずにいた。ケアマネジャー佐藤夏海(松本若菜)や介護福祉士らとの連携も消極的な雅人は次第に地域医療の中で孤立。そんな中、雅人はある患者家族の訪問診療に向かう。この出会いが医師としての雅人の考え方を大きく変えることになる……。
【CAST&STAFF】
出演/細田善彦・松本若菜・川床明日香・戸塚純貴・尾美としのり・ 水野真紀・升毅ら
監督/綾部真弥
企画・原作・プロデュース/山国秀幸
脚本/藤村磨実也・山国秀幸
配給/ユナイテッドエンタテインメント
公式HP
4月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
(C)2019「ピア」製作委員会
■映画『武蔵ーむさしー』
【INFO&STORY】
幼い頃、父親から徹底的に鍛えられた21歳の新免武蔵(細田善彦)は剣術の名門・吉岡家に挑むため、京の地へ。そこで吉岡清十郎(原田龍二)らと壮絶な戦いを繰り広げる。その頃、佐々木小次郎(松平健)は細川家の重臣・沢村大学(目黒祐樹)と出会い、剣術指南に。そして武蔵は遂に小次郎と刀を交えることとなる。
【CAST&STAFF】
出演/細田善彦・松平健・目黒祐樹・水野真紀・若林豪・中原丈雄・清水紘治・原田龍二・遠藤久美子・武智健二・半田健人・ 木之元亮ら
監督・脚本・製作/三上康雄
配給/アークエンタテインメント
公式HP
5月25日(土)全国ロードショー
(C)2019 三上康雄事務所
PROFILE
細田善彦(ほそだ・よしひこ)
1988年3月4日生まれ 東京都出身
近年の出演作にドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「真田丸」「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか?」「3年A組-今から皆さんは、人質です-」、映画『終の信託』『羊の木』などがある。「ゼクシィ」11代目のCMパートナーでもお馴染み。
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一