「究極のフェティシズムが描かれている点がこの作品の魅力です。人間って欲望を抑えることが大切なんだとこの映画をご覧になって痛感して頂ければ幸いです」
狂っているのは、私か、男たちか――。谷崎潤一郎氏原案の乱れ咲く足への偏愛(フェティシズム)を実写化した映画『富美子の足』が絶賛公開中だ。美貌+抜群のスタイル+美脚+演技力が備わっていないと成立しない難役の富美子を演じた片山萌美さんに、作品の魅力や撮影裏話とプライベートで偏愛真っ最中の対象について聞いた。
オファーを頂いてから足には本当に気を使いました
──完成作品を拝見しましたが、足はもちろん全身美しかったです!「ありがとうございます。オファーを頂いてから足には本当に気を使いました。この撮影の前に殺陣をする舞台に出演したので、稽古で鍛えられた効果もあったと思います。普段、ケガは気にしないタイプですが舞台でついたアザや傷が気になり、千秋楽後にボディークリームを塗ったりして、女性らしいケアに励んだんです。足の爪のケアもして頂いてから撮影に臨みました」
──その美脚を高く持ち上げたままキープするシーンは、大変でしたか。
「淵上泰史さんが演じたフィギュア作家の野田が、富美子の足を観察しながらフィギュアを作るシーンですよね。『もう(足を下げても)いいですか…?』という台詞、辛かったので本気でお願いしたんです(笑)本番で採用されているシーン以上に長時間上げていたので、腹筋が鍛えられました」
──台本を読んだ段階で、富美子に抱いた印象は?
「すごく我慢して爆発してしまった女の子だな、というのが第一印象でした。最後に大爆発したかったので、それまではとにかく富美子の気持ちになってお金のため、母親のため、自分のためと我慢を重ねて溜め込む作業に専念しました」
──確かにラストの大爆発は衝撃的ともいえる展開でした。
「絶叫しながら人を蹴った経験なんてもちろんないので、ウエダ(アツシ)監督とは撮影前から何度も話を詰めさせて頂き、大声を出したりボールを使って蹴る練習もして頂いたのですが、本番では全力で叫び、蹴ったせいか立ちくらみを起こしてしまって、体内に酸素を取り込むため頻繁に外へ出て深呼吸していたんです」
お酒を飲む富美子は素顔が見え隠れするも私は酔うと…
──富美子が酔う姿も印象的でした。「お酒を飲むとタガが外れる感じは富美子の素顔が見え隠れするような場面なんですが、見えすぎてしまうのも良くないだろうという意見も監督と話し合いました。富美子は自分の足に初めて興味を示さない野田に惹かれていくんですけど、最終的には『なぜ私の足を好きにならないんだろうコイツは』と思っていたのでは、という台本を読んだ時の感想もお伝えしたんです」
──ご自身は酔うとどうなりますか。
「テンションが少し上がった後すぐ寝ちゃうんですよね。その場に誰がいても寝ちゃって、勝手に意識が戻って『ただいま』と言うことが多いかもしれません(笑)その後また飲めるんですけど、たくさん飲みたい人からしたら面倒くさい存在でしょうね。2人で飲んでいたら眠くなると帰ってしまうので2人飲みは向いていない気が…」
──あはは!ところで、でんでんさんと共演してみていかがでしたか。
「でんでんさんは最初、普通のテンションで台本を読まれているんですけど、ブツブツと独り言を繰り返しながら最後にあの塚越に変貌するんです。日頃の接し方は優しいオジサマなのにやはりベテランの役者さんはすごいな、と勉強させて頂きました」
──作品になぞらえた質問も。富美子は2人から偏愛されますが、片山さんが偏愛しているものは?
「B′zです。私の中で好き嫌いの次元を超えた神として崇めています。祈りの対象なんです(笑)好きすぎて聴かないこともありますし」
──好きすぎて聴かないとは!?
「塚越は最初、富美子の足に触れないんですけど、好きすぎるというか芸術として鑑賞したい気持ちが多分にあったと思うんです。私も同じで、好きすぎて今聴いたら泣いてしまう、気持ちが穏やかになりすぎてしまう、逆に激しくなりすぎてしまう時は仕事に支障をきたすから聴かないようにしているんです。すべての感情を引き出してくださるのがB′zなので」
──偏愛していますね〜!最後に片山さんが思う本作の魅力を。
「究極のフェティシズムが描かれている点です。こういうテイストの作品ですから取材で『何フェチですか?』と聞かれることが多いんです。私、何に対してもフェチではなかったんですけど、絞り出したら筋肉かな、と。でも、この作品を見たら迂闊には他人にそういう質問をできなくなる映画だと思います。あとは、人間って欲望を抑えることが大切なんだとこの映画をご覧になって痛感して頂ければ幸いです」
INFORMATION
■映画『富美子の足』
【INFO&STORY】
デリヘルで見つけた富美子(片山萌美)を愛人にした富豪の老人・塚越(でんでん)は、富美子の美しい足を偏愛的に慈しみ、愉悦を覚える毎日を送っていた。塚越は甥でフィギュア作家の野田(淵上泰史)に富美子の足の等身大フィギュアの製作を依頼するが、出来上がったフィギュアは塚越を満足させるものではなかった。業を煮やした塚越は「富美子の足を理解するために舐めてみろ!」と野田に命令するが……。谷崎潤一郎の短編を現代劇として映像化するシリーズ「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」の1作。
【CAST&STAFF】
出演/片山萌美・淵上泰史・武藤令子・山田真歩・福山翔大・田村泰二郎・でんでん
原案/『富美子の足』谷崎潤一郎
監督・脚本・編集/ウエダアツシ
脚本/平谷悦郎・楢原拓
配給/TBSサービス
公式HP
2月10日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開中
(C)2018 Tanizaki Tribute 製作委員会
PROFILE
片山萌美(かたやま・もえみ)
1990年10月1日生まれ 東京都出身
舞台を中心に活躍する傍らグラビアでも人気を博す。「おんな城主直虎」「ハロー張りネズミ」「日曜ワイド森村誠一終着駅シリーズ〜殺人の客人」などドラマにも多数出演。公開待機作に映画『きらきら眼鏡』がある。
公式ブログ
公式Twitter
■映画『富美子の足』
【INFO&STORY】
デリヘルで見つけた富美子(片山萌美)を愛人にした富豪の老人・塚越(でんでん)は、富美子の美しい足を偏愛的に慈しみ、愉悦を覚える毎日を送っていた。塚越は甥でフィギュア作家の野田(淵上泰史)に富美子の足の等身大フィギュアの製作を依頼するが、出来上がったフィギュアは塚越を満足させるものではなかった。業を煮やした塚越は「富美子の足を理解するために舐めてみろ!」と野田に命令するが……。谷崎潤一郎の短編を現代劇として映像化するシリーズ「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」の1作。
【CAST&STAFF】
出演/片山萌美・淵上泰史・武藤令子・山田真歩・福山翔大・田村泰二郎・でんでん
原案/『富美子の足』谷崎潤一郎
監督・脚本・編集/ウエダアツシ
脚本/平谷悦郎・楢原拓
配給/TBSサービス
公式HP
2月10日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開中
(C)2018 Tanizaki Tribute 製作委員会
PROFILE
片山萌美(かたやま・もえみ)
1990年10月1日生まれ 東京都出身
舞台を中心に活躍する傍らグラビアでも人気を博す。「おんな城主直虎」「ハロー張りネズミ」「日曜ワイド森村誠一終着駅シリーズ〜殺人の客人」などドラマにも多数出演。公開待機作に映画『きらきら眼鏡』がある。
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取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一