「このドラマは食材に例えるなら、ピータンやナムル。メディアミックス作品だけど、ゲームをしていなくても面白く感じる内容です」

ゲームと漫画がメディアミックスされたTBS系ドラマ「クロヒョウ 龍が如く 新章」が好評放送中。シリーズ累計400万本の出荷本数を誇る人気ゲームの実写化で、主人公の右京龍也役を演じる斎藤工さんに、作品の見どころを聞きました。彼の物事を突き詰めていく考え方も、人生のヒントになるはず！
──主演ドラマ「クロヒョウ 龍が如く 新章」が放送中ですね。他と違い、斬新だと思います。
「日本のドラマや映画はやり尽くした感があるから、起承転結を壊して視聴者が観たことがないようなものを撮ろうってところから作品創りに入ってますからね。食材に例えるなら、ピータンやナムル。このドラマの前は山田孝之さんが主演のドラマ（「闇金ウシジマくん」）だし、ディープな１時間になると思いますよ」

──劇中、過激なアクションを見せてくれています。
「プロで活躍されていた格闘家の方が出ているところがリアリティがあって好きなんですよ。僕はプロだった彼らを、いつか本気でキレさせようと企んでます。それで思いっきりパンチを食らうとか（笑）」

──ブログで主人公の右京龍也を「他人事じゃない」と書かれていましたが。
「今の10〜20代の人たちって、誰かと繋がっていたい気持ちが強過ぎると思うんですよ。僕も同じなんですけど、携帯を忘れると不安になるし、寂しさを覚える。携帯を持っていれば誰かと繋がっている安心感を得られるけど、繋がりは薄い。それって結局、環境が生んだ孤独に晒されているんですよね。だからブログとかの自分主観でＳＯＳを発信する。主人公の右京は、その究極の形なんです。時代の象徴というか。このドラマを観てくれる若い人たちは、ドキッとするはずですよ」

──撮影で一番大変なことは。
「共演者のみなさんの見た目が怖い（笑）。裏の世界の風貌を持った役者さんが多いから、挨拶をされると『すみませんでした』と謝りたくなります（笑）。僕は空気のように、自分を消して生きてきた小心者ですから。右京という役柄と原作が魔法をかけてくれて、助けてもらってますけど」

──見どころを教えてください。
「ドラマとゲームと漫画がメディアミックスされているけど、ゲームをしていなくても面白く感じる内容です。深夜の娯楽作として楽しんで頂けるとうれしいですね。全編ほぼアクションという珍しい作品ですけど、あれこれ詰め込んでいない分、シンプルで分かりやすいはず。個人的には、音声をミュートして観てもいいと思いますよ」

──本作は戦いの物語ですが、斎藤さんが考える真の強さとは。
「以前、母に『人間は醜いし、ダサい。取り繕うな』と言われて、それって一つの真実かなと。その言葉を聞いてから、自分のダサさや脆さを認めることが強さだと感じています」

──でも、それを認めるって難しい作業ではないですか？
「認めてしまえば自分を過信し過ぎないし、落胆しないで済むんですよ。僕は役者って、もがいている部分をさらけ出す仕事だと思うんですよね。みんなもがいて生きているんだから、それを出して初めてリンクして、感情移入をしてもらえる。もがいているから娯楽を必要とするわけですし」

──考えさせられる言葉ですね。 ブログでもあまり私生活を明かしていませんが、夢中なのは。
「冷蔵庫にキムチがないと生きていけません（笑）。日本の漬物以上に体にとってプラスだと信じています」

──最後に今後の目標を！
「僕は微妙なエッセンスを加えないと、立っていられない役者だと思っています。だから目指すのはイマドキより、味のある役者。それでいつか日本を軸に、アジア人としてアジアで作品を表現したいですね」