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異能者 ちょっとお話いいですか? 連載第4回

釣崎清隆(死体写真家) 「究極の被写体を通して国を知る」

死体は国柄を反映する 死体を通してその国を語る

 紛争地帯を渡り歩き、死体を探して撮影する。それを生業としている男がいる。死体写真家・釣崎清隆氏だ。なぜ、死体を被写体として選び、撮り続けるのか…。

死体は究極の被写体…。究極の場に身を置いて撮り続ける
──死体写真を撮るようになったきっかけを教えてください。
「元々は映像作家を目指していて、それで会社に入るならAVかなと思って入社したのが、SM専門ビデオメーカーのシネマジックでした。2年ぐらい働いてそこを辞めて、海外にでも出ようかなと思っている時に、シネマジックに出入りしてた小林小太郎という雑誌編集者に持ちかけられたんです。『新創刊のSM雑誌を立ち上げるから、死体写真を撮り降ろしたい』って。何百人のカメラマンに声かけたんだけど、誰も撮りたがらないっていうので、映像作家だった僕にまで話を振ってくるぐらいで、困ってたんでしょうね(笑)」

──死体を撮ることに恐怖感とか嫌悪感ってなかったんですか?
「感じてたら続けてないと思いますね」

──最初に撮った死体はどんなものでした?
「腐っていて臭いも酷かったけど、死体自体にインパクトがあるものでした。長い期間をムダにして、やっと撮れたので嫌悪感よりも興奮が強かったですね」

──映像作家としても活躍されてらっしゃいます。ショックメンタリー三部作の最終篇「ウェイストランド」について教えてください。
「テーマとしては、9・11(アメリカの同時爆破テロ)から3・11(東日本大震災)までの10年の人類史的分水嶺というものがあります」

最初に撮った時は嫌悪感よりも興奮が強かった
──焦点を当てているのはどの地域でしょうか?
「まずは9.11に共振した中東、パレスチナ。そして3.11に揺さぶられた日本。どちらもこの10年酷い目に遭ったけれど、負けないくらい過酷だった西半球、メキシコを指摘したいと思ってます」

──死体写真家という肩書きから、死体ばかりを追いかけていると思っていたのですが、実際には政治情勢を追いかけてらっしゃる印象を受けます。
「死体を撮影する時は、その国柄を反映した死体ということを意識して撮影してますんで。実際には、ヘタな戦争カメラマンなんかより内部情報に通じてないとやれない仕事でもある」

──ここ最近は、どの国で写真を撮られることが多いんですか?
「何といってもメキシコ。東半球ではこれまでタイでの取材が多かったんだけど、政情が不安定なここ数年でばたばたって御遺体の撮影に対する規制が厳しくなって、グロい死体写真を掲載することで世界でもとても有名だったメディアがあっさり壊滅してしまった。お隣のカンボジアなんかは、これからいけそうだと思ってるけど、今は何と言っても麻薬戦争という国難真っ只中にある最強最後のゴア超大国となったメキシコばっかりになってるね」

──これからの活動について教えてください。
「僕はこの20年弱の間ずっと死体を見てきた。そんな視点で世界を見てきた人はあまりいないだろうから、自分なりの確信に基づいて祖国日本の危機を訴えているつもり。これからも、メキシコはウォッチしていくことは変わらないし、死体写真は撮っていく。それから、後は映画はドキュメンタリーの3部作が一段落したんで、劇映画を本格的にやりたいと思ってます」

INFORMATION
DVD『ウェイストランド』
(UPLINK/定価3,990円)絶賛発売中!!

 釣崎清隆が送るショックメンタリー三部作の最終篇は関西メタル・ハードコアシーン発で世界にその名声を轟かせる孤高のバンドCorruptedとの本格コラボレーション。釣崎がこの10年に世界の危険地帯で納めたフッテージを併走させ縦横無尽にスリリングなコラージュを紡ぐ。

123-tsurisaki02 PROFILE
釣崎清隆(つりさき・きよたか)
死体写真家・映像作家・文筆家。1966年富山県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。学生時代から自主映画制作、文筆活動を開始し、AV監督を経て写真家として活動開始。ヒトの死体を被写体にタイ、コロンビア、メキシコ、ロシア、パレスチナなど世界各国の無法地帯、紛争地域を取材し、これまでに撮影した死体は千体以上。

公式HP

取材・文/嶋田真己

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